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草原の椅子

「見どころ」にPR表現を含みます。

『草原の椅子』は宮本輝の同名小説を基にしたヒューマンドラマ。阪神淡路大震災のトラウマを抱える50歳のサラリーマン・遠間憲太郎が、親友の富樫、骨董店主の貴志子、虐待された少年・圭輔と共に、パキスタンのフンザを目指す旅に出る。荒涼とした大地を背景に、傷ついた心の再生を描く。成島出監督の繊細な演出と圧巻のロケーション撮影が光る作品。

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基本情報

  • 原題:草原の椅子
  • 公開年:2013年
  • 製作国・地域:日本
  • 上映時間:139分
  • 配給:東映
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女優の活躍

『草原の椅子』では、吉瀬美智子が篠原貴志子役を演じています。貴志子は骨董店を営む女性で、主人公の憲太郎と出会い、旅の途中で自然と一行に加わる重要なキャラクターです。吉瀬は、普段のクールなイメージとは対照的に、穏やかで包容力のある女性像を体現しています。旅の過酷な環境の中で、少年の圭輔を優しく見守る姿や、憲太郎との微妙な心の交流を、静かな眼差しと細やかな表情で表現します。特に、フンザの美しい谷で風に髪をなびかせながら微笑むシーンでは、彼女の内面的な強さと優しさが際立ち、観客の心を温かく包み込みます。この役柄を通じて、吉瀬は中年女性の複雑な感情を深く掘り下げ、旅の癒しの象徴として活躍します。彼女の演技は、全体の静謐なトーンを支え、物語の情感を豊かにしています。

もう一人の女優、小池栄子は圭輔の母親役を務めています。母親は息子を虐待してしまう複雑な過去を持ち、物語の序盤で憲太郎と出会います。小池は、この役で母親の苦悩と後悔を痛切に演じきります。虐待のシーンでは、苛立ちと無力感が混じり合った激しい感情を爆発させ、観る者を震撼させます。一方、圭輔との再会を予感させる後半の描写では、静かな悔恨の表情が印象的です。小池の演技は、単なる悪役ではなく、社会的な問題を抱えた一人の女性として深みを加え、物語のテーマである「再生」を強調します。彼女の存在は、旅の参加者たちに過去の影を投げかけ、全体のドラマをより重層的にしています。両女優の活躍により、本作は男性中心の旅路に女性らしい視点と温かみを注入し、バランスの取れた人間ドラマとなっています。

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女優の衣装・化粧・髪型

吉瀬美智子演じる貴志子の衣装は、日常シーンではシンプルで上品なものを基調としています。骨董店での登場時は、淡いベージュのブラウスに膝丈のスカートを合わせ、首元に小さなペンダントをアクセントに。化粧はナチュラルメイクで、薄いファンデーションとピンクのチークが柔らかな印象を与えます。髪型は肩にかかるミディアムヘアを軽くウェーブさせ、自然な落ち感を活かしたスタイルです。これにより、知的で穏やかな女性像が強調されます。

旅のシーンに移ると、衣装は実用性を重視したものに変わります。フンザへの道中では、ゆったりしたコットンのチュニックにワイドパンツを合わせ、動きやすさを優先。色合いはアースカラーで、砂漠の風景に溶け込むように選ばれています。化粧は最小限で、日焼け止めとリップのみのすっぴん風。髪型はポニーテールにまとめ、埃っぽい風にも耐えうる機能性を保ちつつ、時折解いて風になびく姿が詩情を添えます。この変化は、貴志子の内面的成長を視覚的に象徴します。

小池栄子が演じる母親の衣装は、家庭内のシーンで強調されるやや乱れた印象です。薄手のシャツにジーンズを合わせ、袖がくしゃくしゃになった状態で登場。化粧は薄暗い部屋の照明下で、アイシャドウが少し滲んだような疲労感を演出し、髪型は無造作に束ねたアップスタイルで、苛立ちの感情を表します。虐待の緊張感を高めるため、爪の剥げたネイルやシワの入った服が細部まで計算されています。

後半の再会シーンでは、衣装が少し整い、淡いグリーンのワンピースにシフト。化粧は穏やかなトーンに戻り、髪型はストレートのロングヘアを下ろして、悔悟の柔らかさを表現します。これらの要素は、小池の役柄が持つ二面性を視覚的に支え、観客に強い印象を残します。全体として、女優たちの衣装・化粧・髪型は、物語のテーマに沿った自然で現実的なデザインが特徴で、旅の過酷さと心の癒しを体現しています。

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あらすじ

『草原の椅子』の物語は、阪神淡路大震災の記憶を胸に抱える50歳のサラリーマン、遠間憲太郎を中心に展開します。憲太郎はカメラメーカーの中間管理職として忙しい日々を送っていますが、妻との離婚後、大学生の娘と夙川のマンションで静かに暮らしています。ある日、取引先の社長である富樫重蔵から、かつての約束を思い起こさせる言葉をかけられます。富樫は、震災後に訪れたパキスタンのフンザの美しさを語り、二人で再びあの地を目指す旅を提案します。フンザは「世界最後の桃源郷」と呼ばれる谷で、憲太郎も過去に訪れた経験があり、心に残る場所です。

そんな中、憲太郎は幼い少年・圭輔と出会います。圭輔は4歳で、母親からの虐待に苦しむ境遇にあり、憲太郎は児童相談所の依頼で一時的に面倒を見ることになります。圭輔の無垢な瞳に、自身の過去の傷を重ね合わせ、徐々に愛情を注ぐようになります。一方、趣味の骨董店で出会った女性、篠原貴志子に惹かれます。貴志子は穏やかな性格の持ち主で、店主として静かに生きる女性です。

旅の計画が進む中、圭輔の母親が問題を起こし、圭輔の保護が難しくなります。衝動的に、憲太郎は富樫と共に圭輔を連れて旅立つことを決意します。さらに、貴志子を誘い、彼女も人生の岐路に立っていたため、参加します。四人は年齢も性別も異なる異色のグループとして、日本を発ち、パキスタンへ向かいます。道中は過酷で、言葉の壁や文化の違い、身体的な疲労が彼らを襲いますが、互いの存在が支えとなります。

インド洋の港町から始まる陸路の旅は、荒涼とした砂漠を横切り、山岳地帯を越えます。圭輔は徐々に心を開き、憲太郎と富樫の父親代わりとして慕います。貴志子は女性らしい気遣いで一行をまとめ、時には自身の過去を明かします。フンザに到着した彼らは、雪化粧した峰々に囲まれた緑の谷で、静かな感動を味わいます。そこで出会う現地の人々から、人生の教訓を得て、各々が内面的な再生を遂げます。帰国後、憲太郎は新たな人生を歩み始め、物語は希望の光を残して幕を閉じます。この旅は、単なる移動ではなく、心の旅として描かれ、観る者に深い余韻を残します。

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解説

『草原の椅子』は、宮本輝の小説を原作とした作品で、阪神淡路大震災の被災経験を背景に、作者がシルクロードを旅した実体験を織り交ぜて描かれています。1997年から1998年に毎日新聞で連載され、1999年に書籍化されたこの小説は、震災後の喪失感と再生のテーマを、異国情緒豊かな旅を通じて表現しています。成島出監督は、『八日目の蝉』で日本アカデミー賞を総なめにした実績を持ち、本作でも繊細な人間心理の描写に長けています。脚本は複数人で手がけ、原作のエッセンスを損なわずに映像化に成功しました。

製作の背景には、プロデューサー原正人の情熱があります。2000年の入院中に原作に感動し、企画を立ち上げましたが、脚本家の選定に難航。成島監督との出会いが転機となり、10年以上かけて完成に至りました。原は本作でプロデューサーを引退し、集大成と位置づけています。撮影は日本映画として初の本格的なパキスタン長期ロケで、フンザ、カリマバード、スカルドゥなどで約1か月半を費やしました。この地域の過酷な自然環境を活かし、荒涼とした大地が登場人物の心象風景を映す鏡となっています。現地での長期滞在は、キャスト・スタッフに本物の旅の厳しさを体感させ、演技のリアリティを高めました。

テーマ的には、震災のトラウマと家族の絆、異文化を通じた自己発見が中心です。憲太郎の「瞳に三つの青い星」という予言は、潔癖、淫蕩、使命の象徴として、彼の内面を象徴します。旅を通じて、これらが統合され、再生のプロセスが描かれます。また、虐待された少年の存在は、社会問題を投げかけ、血縁を超えた愛情の可能性を示します。女性キャラクターの貴志子は、静かな強さを体現し、男性中心の物語にバランスを与えます。

映像面では、長沼六男の撮影が秀逸です。パキスタンの壮大な風景を、広角レンズで捉え、人物の孤独とつながりを対比させます。主題歌のGLAY「真昼の月の静けさに」は、旅の孤独と静謐さを強調し、情感を高めます。公開当時、興行収入は控えめでしたが、批評家から高評価を受け、長期的に支持を集めました。パキスタンでの試写会は日パ友好60周年記念として行われ、国際的な意義も持っています。本作は、単なるロードムービーではなく、人生の岐路に立つ人々へのメッセージとして、時代を超えて響きます。監督の成島は、日常のささやかな喜びと苦しみを丁寧に描くスタイルで、観客に希望を届けます。

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キャスト

  • 佐藤浩市:遠間憲太郎
  • 西村雅彦:富樫重蔵
  • 吉瀬美智子:篠原貴志子
  • 小池栄子:圭輔の母親
  • 寺島進:児童相談所の職員
  • 森山未來:若い頃の憲太郎(回想)
  • 子役:圭輔役(詳細非公表)

スタッフ

  • 監督:成島出
  • 脚本:加藤正人、奥寺佐渡子、真辺克彦、多和田久美、成島出
  • 製作総指揮:原正人
  • 撮影:長沼六男
  • 美術:種田陽平
  • 編集:田中和彦
  • 音楽:川井憲次
  • 主題歌:GLAY「真昼の月の静けさに」
  • 製作プロダクション:東映東京撮影所
  • 配給:東映
劇場映画
なむ

洋画好き(字幕派)。だいたいU-NEXTかNetflixで、妻と2匹の猫と一緒にサスペンスやスリラーを観ています。詳細は名前をクリックしてください。猫ブログ「碧眼のルル」も運営。

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