『ジュリエットからの手紙』は、2010年に公開されたアメリカ製作のロマンティック・コメディ映画。シェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』の舞台であるイタリアのヴェローナを訪れた若い女性が、50年前に書かれた恋愛の手紙を発見し、それを通じて失われた愛を探す旅を描いています。
アマンダ・セイフライド主演で、ヴァネッサ・レッドグレイヴが共演し、愛の永遠性をテーマに心温まるストーリーが展開されます。美しいイタリアの風景が魅力です。
基本情報
- 邦題:ジュリエットからの手紙
- 原題:Letters to Juliet
- 公開日:2011年
- 製作国・地域:アメリカ
- 上映時間:105分
- ジャンル:ドラマ、コメディ
- 配給:ショウゲート
女優の活躍
本作では、アマンダ・セイフライドが主人公のソフィー・ホールを演じています。彼女はライター志望の若い女性として、好奇心旺盛で情熱的なキャラクターを魅力的に表現しています。セイフライドの演技は、物語の中心をしっかりと支えており、彼女の自然な表情の変化や感情の機微が観客を引き込みます。特に、失われた愛を探す旅の中で成長していくソフィーの内面的な葛藤を、繊細に描き出しています。彼女のこれまでの出演作である『マンマ・ミーア!』での明るいイメージを活かしつつ、より深みのある演技を見せています。批評家からも、彼女の美しさだけでなく、知性と温かみを兼ね備えたパフォーマンスが高く評価されています。
ヴァネッサ・レッドグレイヴは、クレア・スミス=ワイマンを演じています。この役は、50年前の恋を再び追い求める高齢の女性で、レッドグレイヴの優雅で洗練された演技が光ります。彼女は、年齢を感じさせない気品と繊細な感情表現で、物語に信ぴょう性と感動を与えています。実際の夫であるフランコ・ネロとの共演も話題となり、リアルな恋人役として自然なケミストリーを発揮しています。レッドグレイヴのキャリアは長く、数々の名作でアカデミー賞にノミネートされるなど、英国を代表する女優として活躍しています。本作では、彼女の存在感が全体を高め、若い世代との対比がテーマの深みを増しています。
また、ルイーザ・ラニエリをはじめとする「ジュリエットの秘書」たちを演じる女優陣も、脇役ながら重要な役割を果たしています。
彼女たちは、恋愛相談の手紙に返信するボランティアとして、ユーモアと温かみを添え、物語の軽やかな雰囲気を支えています。各女優の個性が活かされ、イタリアらしい情熱的な演技が印象的です。これらの女優の活躍により、本作は単なるロマンスではなく、女性たちの絆と愛の多様な形を描いた作品となっています。セイフライドとレッドグレイヴのコンビネーションは特に素晴らしく、世代を超えた友情と恋愛の美しさを体現しています。
全体として、女優たちのパフォーマンスが映画の魅力を最大限に引き出しており、観客に感動を与える要因となっています。
女優の衣装・化粧・髪型
アマンダ・セイフライド演じるソフィーの衣装は、イタリアの美しい風景に溶け込むような軽やかでロマンティックなスタイルが特徴です。グリーンのスイートハートネックラインのドレスや、膝丈の流れるようなスカートを着用し、淡いピンクのショールでアクセントを加えています。これらの衣装は、彼女の若々しさと冒険心を表現しており、カジュアルながらもフェミニンな印象を与えます。化粧はナチュラルで、デミュアでロマンティックなイングリッシュローズ風のメイクアップが施されています。淡いピンクのチークとリップが、彼女の透明感のある肌を引き立て、全体的にソフトで優しい雰囲気を演出しています。髪型は、ブロンドの長い髪を活かしたスタイルが多く、フロントにツイストを加えたハーフアップや、サイドにブレイドを入れた柔らかなウェーブが登場します。これにより、バルコニーシーンなどのロマンティックな場面で、風に揺れる自然な美しさが強調されています。
ヴァネッサ・レッドグレイヴ演じるクレアの衣装は、エレガントでクラシックなものが中心です。インド産のムスリンのカラフルなペティコートや、シンプルなブラウスとスカートの組み合わせが、彼女の優雅さを際立たせています。年齢に合った上品なデザインで、旅のシーンでは快適さとスタイルを両立させたものが選ばれています。化粧は控えめで、自然な肌の質感を活かしたメイクアップが施され、目元を優しく強調するアイメイクが特徴です。これにより、彼女の経験豊かな表情がより深みを増しています。髪型は、白髪を活かしたソフトなラウンドスタイルで、顔周りを柔らかくフレームするものが多く、全体的に穏やかで洗練された印象を与えています。この髪型は、彼女のキャラクターの内面的な強さと優しさを象徴しています。
その他の女優、例えばルイーザ・ラニエリ演じるイザベラの衣装は、イタリアらしい情熱的なファッションが目立ちます。鮮やかな色のドレスやスカーフを着用し、アクセサリーで個性を加えています。化粧は明るく、赤いリップや強調されたアイラインが特徴で、地中海風の活気あるメイクアップです。髪型は、ダークヘアをアップスタイルやウェーブにまとめ、動きやすいものが選ばれています。これらの要素は、映画のテーマである愛と冒険を視覚的に支えており、女優たちの外見が物語の魅力を高めています。
全体として、衣装、化粧、髪型はイタリアのロケーションに調和し、各キャラクターの性格を反映したものとなっています。これにより、観客は視覚的に没入感を得ることができます。
あらすじ
ニューヨークで『ニューヨーカー』誌の調査員として働くソフィー・ホールは、ライターになる夢を抱いています。婚約者のヴィクターとともに、イタリアのヴェローナへ婚前旅行に出かけます。しかし、ヴィクターは現地でレストラン開業のための食材探しに夢中になり、ソフィーは一人で観光を楽しむことになります。シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の舞台となったジュリエットの家を訪れたソフィーは、恋愛の悩みを綴った手紙が壁に貼られる習慣を知ります。そこで、手紙を回収し返信するボランティアの女性たち、「ジュリエットの秘書」と出会います。彼女たちを手伝う中で、ソフィーは壁のレンガから50年前に書かれた古い手紙を発見します。それは、イギリス人のクレアが、両親の反対を恐れて恋人のロレンツォとの駆け落ちを諦めた苦悩を記したものでした。
手紙の内容に心を動かされたソフィーは、クレアへの返事を書きます。すると、数日後、クレア本人が孫のチャーリーと一緒にヴェローナに現れます。クレアは手紙の返事に感動し、50年ぶりにロレンツォを探す決意をします。ソフィーは取材のチャンスと捉え、クレアとチャーリーに同行してイタリア中を旅します。チャーリーは当初、祖母の行動を現実離れしたものとして反対しますが、徐々にソフィーと打ち解けていきます。一方、ソフィーはヴィクターとの関係に疑問を抱き始めます。旅の途中で、数多くのロレンツォ・バルトリーニという同姓同名の人々を訪ね歩きますが、なかなか本物の恋人を見つけられません。しかし、クレアの揺るぎない信念とソフィーの励ましにより、旅は続きます。
やがて、クレアは本物のロレンツォと再会します。彼は未亡人となっており、クレアのことをずっと待っていたのです。二人は再び愛を誓い合います。一方、ソフィーはチャーリーとの間に芽生えた恋心に気づき、ヴィクターとの婚約を解消します。物語は、クレアとロレンツォの結婚式で締めくくられ、ソフィーとチャーリーも幸せな未来を予感させます。このあらすじは、失われた愛の再発見と、新しい愛の始まりを描いた心温まるものです。イタリアの美しい田園風景やワイン畑が、旅のロマンティックさを強調しています。ソフィーの成長と、世代を超えた愛のテーマが、観客に感動を与えます。
解説
本作は、シェイクスピアの古典『ロミオとジュリエット』をモチーフにしながら、現代的なロマンティック・コメディとして再構築されています。実際のヴェローナで存在する「ジュリエットの秘書」というボランティア活動を基に、フィクションを織り交ぜたストーリーが魅力です。この活動は、世界中から寄せられる恋愛相談の手紙に返信するもので、映画公開後、手紙の数が急増したというエピソードもあります。監督のゲイリー・ウィニックは、『シャーロットのおくりもの』などで知られるように、温かみのある人間ドラマを得意としており、本作でも家族や恋愛の絆を丁寧に描いています。脚本はティム・サリヴァンとホセ・リベーラが担当し、ユーモアと感動のバランスが絶妙です。
テーマとしては、愛の永遠性とタイミングの重要性が挙げられます。クレアの50年越しの恋は、諦めずに信じ続けることの美しさを示し、ソフィーの物語は、現在の関係を見直す勇気を促します。イギリス、アメリカ、イタリアの文化の違いが、キャラクターの対立と和解を生み、国際色豊かな魅力となっています。批評では、Rotten Tomatoesで支持率42%、Metacriticで50/100と賛否両論ですが、ヴァネッサ・レッドグレイヴとフランコ・ネロの実生活での関係が、劇中のリアリティを高めている点が評価されています。彼らは1967年に出会い、2006年に結婚したカップルで、本作がスクリーン上での再会となりました。
視覚的には、イタリアのトスカーナ地方の風景が美しく、ワイン畑や古い街並みがロマンティックな雰囲気を醸し出しています。音楽はアンドレア・グエラが作曲し、イタリアらしいメロディーが感情を盛り上げます。本作は、単なるラブストーリーではなく、女性のエンパワーメントや世代間のつながりを描いており、特に女性観客に共感を呼んでいます。予測可能な展開ながら、キャラクターの成長と感動的なクライマックスが、心地よい余韻を残します。全体として、愛を信じるすべての人にオススメの作品です。この映画は、日常の忙しさの中で忘れがちな純粋な恋心を思い出させてくれます。興行収入は世界で約7900万ドルを記録し、商業的にも成功を収めました。
ジュリエットからの手紙:削除シーンとイントロ(アマンダ・セイフライド、クリストファー・イーガン、ガエル・ガルシア・ベルナル)
キャスト
- ソフィー・ホール:アマンダ・セイフライド
- チャーリー・ワイマン:クリストファー・イーガン
- クレア・スミス=ワイマン:ヴァネッサ・レッドグレイヴ
- ロレンツォ・バルトリーニ:フランコ・ネロ
- ヴィクター:ガエル・ガルシア・ベルナル
- イザベラ:ルイーザ・ラニエリ
- 編集長ボビー:オリヴァー・プラット(カメオ出演)
スタッフ
- 監督:ゲイリー・ウィニック
- 脚本:ティム・サリヴァン、ホセ・リベーラ
- 製作:エレン・バーキン、マーク・カントン、キャロライン・カプラン
- 製作総指揮:ロン・シュミット
- 音楽:アンドレア・グエラ
- 撮影:マルコ・ポンテコルヴォ
- 編集:ビル・パンコウ





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