『ロベレ将軍』は1959年にイタリアで公開された映画。監督はロベルト・ロッセリーニで、ヴィットリオ・デ・シーカが主演。実話に基づき、勇気と人間性のテーマを描きます。
第二次世界大戦中のイタリアを舞台に、詐欺師がナチスに利用され、偽の将軍として刑務所に潜入するが、徐々に本物の英雄へと変貌していく物語です。ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞受賞作。
基本情報
- 邦題:ロベレ将軍
- 原題:IL GENERALE DELLA ROVERE
- 公開年:1959年
- 製作国・地域:イタリア
- 上映時間:132分
- ジャンル:アクション
女優の活躍
本作『ロベレ将軍』では、サンドラ・ミーロがオルガ役を演じています。彼女はバルドーネの恋人として登場し、物語の初期段階で彼の生活を支える存在です。ミーロの演技は、戦時下の女性の現実を反映した自然な情感を表現しており、バルドーネのペテン師としての側面を際立たせます。彼女のシーンは、ジェノヴァの日常を描く部分で重要で、バルドーネの人間性を柔らかく描き出しています。
ジョヴァンナ・ラッリはヴァレリア役で出演します。彼女は娼婦として描かれ、バルドーネの周囲の人物として絡みます。ラッリの活躍は、戦乱のなかで生き抜く女性の強さを体現し、短いシーンながら印象的です。彼女の対話は、物語の緊張を高め、バルドーネの倫理的葛藤を助長します。
アンヌ・ヴェルノンはクララ・ファッシオ役、つまりロベレ将軍の夫人を務めます。彼女の活躍は物語の後半で顕著で、手紙を通じてバルドーネに影響を与えます。ヴェルノンの演技は、夫の名誉を守る気高さを強調し、バルドーネの変容のきっかけとなります。彼女のシーンは、感情的な深みを加え、映画のクライマックスを支えています。
マリア・グレコはマダマ・ヴェラ役で、娼婦館の女主人として登場します。グレコの活躍は、バルドーネの初期の詐欺行為を助ける役割で、コミカルながらも戦時の暗さを描きます。彼女の存在は、物語の社会的背景を豊かにします。
リンダ・ヴェラスはドイツ人アテンダント役で、短い出演ながらナチス側の冷徹さを表現します。ヴェラスの活躍は、緊張感を演出し、全体の雰囲気を引き締めます。これらの女優たちは、男性中心の物語に女性の視点を提供し、戦時下の多様な人間像を描き出しています。
女優の衣装・化粧・髪型
サンドラ・ミーロの衣装は、1940年代のイタリア女性を反映した質素なドレスが中心です。戦時下の設定のため、布地は粗く、色調は地味なグレーやブラウンで、日常の苦労を表しています。化粧は控えめで、薄い口紅と軽いパウダー程度で、自然な肌を強調。髪型は肩までのウェーブヘアで、ピンでまとめ、乱れやすい戦時の生活を象徴します。
ジョヴァンナ・ラッリの衣装は、娼婦役にふさわしく、少し華やかなスカートとブラウスですが、戦争の影響でくたびれた印象を与えます。化粧は目元を強調したアイラインと赤い口紅で、魅力を演出しつつ、疲労感を加味。髪型はボブスタイルで、緩くカールさせ、街中の女性らしさを保っています。
アンヌ・ヴェルノンの衣装は、上流階級の夫人らしく、シンプルながら上品なワンピースで、ダークカラーが主流です。化粧は洗練され、眉を整え、淡いチークで気品を保ちます。髪型はアップスタイルで、厳格さと優雅さを兼ね備え、手紙のシーンでその美しさが際立ちます。
マリア・グレコの衣装は、娼婦館の女主人として、フリル付きのドレスですが、時代背景から派手さを抑えています。化粧は濃いめで、ルージュとマスカラを活用し、経験豊かな女性を表現。髪型はロングヘアをまとめ、ピンやリボンで飾り、コミカルなシーンを支えます。
リンダ・ヴェラスの衣装は、ドイツ人役として制服風のスカートスーツで、軍事的厳しさを示します。化粧はミニマルで、淡いファンデーションのみ。髪型はストレートのショートヘアで、規律正しさを強調します。これらの要素は、モノクロ映像で陰影を活かし、キャラクターの内面を視覚的に補完しています。
あらすじ
1943年、イタリアは連合軍に降伏しましたが、北部ではナチス・ドイツがムッソリーニを首班に傀儡政権を樹立し、戦争を継続します。ジェノヴァで暮らすエマニュエーレ・バルドーネは、小心者の詐欺師で、ゲシュタポに逮捕された人々の家族から金を騙し取っていました。バルドーネは引退した軍人グリマルディ大佐を名乗り、家族の嘆願を装って金を巻き上げ、博打に費やします。
しかし、バルドーネの悪事がばれ、ゲシュタポのミュラー大佐に逮捕されます。ミュラーは、パルチザンの指導者ファブリッツィオを特定するため、刑務所にスパイを潜入させようと計画します。偶然、レジスタンスのロベレ将軍が射殺されたため、ミュラーはバルドーネに将軍のなりすましを命じます。無罪放免と引き換えに、バルドーネはミラノのサン・ヴィットーレ刑務所に「ロベレ将軍」として収監されます。
刑務所内で、バルドーネは政治犯たちと接触します。受刑者たちは拷問に耐え、互いを励まし合います。バルドーネはファブリッツィオを探りますが、獄中の人間性に触れ、徐々に心が変わります。将軍の夫人クララから手紙を受け取り、彼女の夫への信頼を知ったバルドーネは、愛国心を芽生えさせます。
最終的に、バルドーネはファブリッツィオの正体を知りますが、裏切らずに将軍を演じ続けます。夫人にメモを託し、銃殺刑に処せられる道を選びます。バルドーネの死は、抵抗運動の象徴となり、物語は人間の変容を描きながら締めくくります。
解説
『ロベレ将軍』は、第二次世界大戦中のイタリア戦線を背景に、実話に基づいた物語です。監督ロベルト・ロッセリーニは、ネオリアリズムの巨匠として知られ、本作でも現実的な描写を重視します。詐欺師バルドーネの変貌を通じて、勇気、忠誠心、人間性のテーマを探求します。モノクロ映像は、戦時の陰鬱さを強調し、刑務所のシーンで緊張感を高めます。
原作はインドロ・モンタネッリの小説で、実際の出来事を基にしています。ロベレ将軍のなりすましは、ナチスの策略を象徴し、イタリアのレジスタンス運動の苦闘を描きます。ヴィットリオ・デ・シーカの演技は、コミカルからシリアスへの移行が見事で、映画の核心を担います。ハンネス・メッセマーのミュラー大佐も、冷徹な敵役として印象的です。
ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した本作は、戦後イタリア映画の傑作です。ロッセリーニの演出は、ドキュメンタリー風のリアリズムを活かし、観客に戦争の残酷さを問いかけます。音楽のレンツォ・ロッセリーニは、緊張を助長するスコアを提供します。全体として、人間ドラマと歴史的文脈が融合した作品です。
本作の影響は、後年の戦争映画に及び、偽りのアイデンティティと本物の英雄性の対比が繰り返し描かれます。イタリアのファシズム批判も含み、戦後の反省を促します。撮影のカルロ・カルリーニは、光と影の使い分けで心理描写を強化します。編集もテンポよく、物語の展開を支えています。
キャスト
- ヴィットリオ・デ・シーカ:エマニュエーレ・バルドーネ / グリマルディ
- ハンネス・メッセマー:ミュラー大佐
- ヴィットリオ・カプリオーリ:アリスティデ・バンケッリ
- サンドラ・ミーロ:オルガ
- ジョヴァンナ・ラッリ:ヴァレリア
- マリア・グレコ:マダマ・ヴェラ
- ヘルベルト・フィッシャー:ドイツ人軍曹
- アンヌ・ヴェルノン:クララ・ファッシオ
- フランコ・インテルレンギ:アントニオ・パスクアーリ
- イヴォ・ガッラーニ:パルチザンの首領
- リンダ・ヴェラス:ドイツ人アテンダント
スタッフ
- 監督:ロベルト・ロッセリーニ
- 脚本:セルジオ・アミデイ、ディエゴ・ファッブリ、ロベルト・ロッセリーニ、インドロ・モンタネッリ
- 原作:インドロ・モンタネッリ
- 製作総指揮:モリス・エルガス
- 音楽:レンツォ・ロッセリーニ
- 撮影:カルロ・カルリーニ
- 編集:セザーレ・カヴァーニャ、アンナ・マリア・モンタナーリ
- 製作会社:ゼブラ・フィルム、Société Nouvelle des Établissements Gaumont (SNEG)
- 配給:チネリッツ(イタリア)、ゴーモン・ディストリビューション(フランス)





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