『バンパイア・ラヴァーズ』は1970年にイギリスのハマー・フィルム・プロダクションが製作したホラー映画。原作はジョゼフ・シェリダン・レ・ファニュの小説『カーミラ』で、女吸血鬼カーミラが若い女性を誘惑し血を吸う物語を描いています。イングリッド・ピットが主演し、レズビアン的な要素を含むセクシーな描写が特徴です。ピーター・カッシングらが出演し、ゴシックホラーのスタイルを保ちつつ、当時の過激さを加えています。
基本情報
- 邦題:バンパイア・ラヴァーズ
- 原題:THE VAMPIRE LOVERS
- 公開年:1971年
- 製作国・地域:イギリス
- 上映時間:91分
女優の活躍
映画『バンパイア・ラヴァーズ』ではイングリッド・ピットが女吸血鬼カーミラを演じ、物語の中心として活躍します。彼女は複数の名前を使い分け、若い女性を次々と誘惑し、血を吸うシーンで存在感を発揮します。特に、被害者たちとの親密な交流を通じて、妖艶で魅力的なキャラクターを表現しています。ピットはホラー映画の女王として知られ、この役でセクシーさを強調した演技が評価されています。
マデリン・スミスはエマ・モートン役で登場し、カーミラの犠牲者として描かれます。彼女は抵抗しながらも次第に魅了されていく過程を繊細に演じ、物語の緊張感を高めます。スミスは無垢な少女像を体現し、ホラー要素を支えています。また、ピッパ・スティールはローラ役で、最初のカーミラの標的として短いながら印象的な活躍を見せます。彼女の死が物語のきっかけとなります。
ケイト・オマラは家庭教師のマドモアゼル・ペロド役を務め、カーミラに誘惑され共犯者となる役どころです。オマラは理性と欲望の間で揺れる演技で、物語に深みを加えます。ドーン・アダムズは伯爵夫人役で、カーミラの共謀者として陰で支え、謎めいた存在感を放ちます。これらの女優たちは、ホラーとエロティシズムを融合させた本作の魅力の源です。
キルステン・リンドホルム、ケイト・オマラ、イングリッド・ピット、マデリン・スミス、ピッパ・スティール出演『バンパイア・ラヴァーズ』(1970年)
https://www.imdb.com/title/tt0066518/mediaviewer/rm929694721/
女優の衣装・化粧・髪型
イングリッド・ピットの衣装は、物語の冒頭で透け感のある白いガウンやシュラウドをまとい、霧の中から現れる幽霊のような姿が印象的です。誘惑シーンでは低めのネックラインのドレスを着用し、肌の露出を強調しています。化粧は淡い肌色に鋭い牙を加え、妖艶さを演出します。髪型は長く流れるストレートヘアで、神秘的な雰囲気を醸し出しています。
マデリン・スミスの衣装は、19世紀風の白いナイトガウンやシンプルなドレスが多く、無垢さを表しています。化粧は自然で、病床シーンでは青白く疲れた表情を強調します。髪型はゆるく結んだロングヘアで、少女らしさを保っています。ピッパ・スティールの衣装も同様に時代物のドレスで、パーティーシーンでは華やかなものを着用します。化粧は健康的ですが、死の直前は蒼白に変わります。髪型はアップスタイルが中心です。
ケイト・オマラの衣装は家庭教師らしい控えめなドレスですが、誘惑シーンで乱れを加えています。化粧は厳格な印象から、魅了された後は柔らかく変わります。髪型はタイトなバンで、プロフェッショナルさを示します。ドーン・アダムズは貴族らしいエレガントなドレスを着用し、化粧は洗練されたメイクです。髪型は巻き髪のアップで、威厳を保っています。これらの要素が、映画のゴシックな雰囲気を支えています。
キルステン・リンドホルム、ケイト・オマラ、イングリッド・ピット、マデリン・スミス、ピッパ・スティール出演『バンパイア・ラヴァーズ』1970年
https://www.imdb.com/title/tt0066518/mediaviewer/rm711590913/
あらすじ
物語は1794年のスティリア地方で始まります。ヴァンパイアハンターのハートグ男爵が、妹を殺した吸血鬼の一族に復讐します。彼はほとんどの吸血鬼を滅ぼしますが、一人を逃します。数十年後、スピルスドルフ将軍の屋敷でパーティーが開かれ、伯爵夫人と娘のマルシーラが訪れます。伯爵夫人は急用で去り、マルシーラを預けます。マルシーラは将軍の姪ローラに近づき、性的な魅力を発揮します。
ローラは巨大な猫の悪夢にうなされ、徐々に衰弱します。胸に噛み跡ができ、死に至ります。マルシーラは消え、将軍は復讐を誓います。一方、マルシーラは今度はカーミラと名乗り、モートン家の近くで馬車事故を装います。伯爵夫人はカーミラをモートン家に預けます。カーミラはモートンの娘エマを誘惑し、同じように悪夢と衰弱を引き起こします。エマの家庭教師ペロドもカーミラに魅了され、共犯者となります。
村人たちが血を抜かれた死体を発見し、吸血鬼の噂が広がります。モートンはウィーンへ行き、留守中にカーミラはエマを連れ去ろうとします。将軍とハートグ男爵、モートン、エマの婚約者カールがカーンシュタイン城の廃墟へ向かいます。そこでカーミラの本当の姿が明らかになり、将軍が彼女を杭で刺し、首を切ります。エマは回復し、物語は終わります。
解説
映画『バンパイア・ラヴァーズ』はハマー・フィルムの吸血鬼シリーズの転換点です。従来のドラキュラ中心から、女吸血鬼カーミラを主役に据え、セクシャルな要素を強めました。1970年代の映画界の変化に対応し、ヌードやレズビアン描写を導入しています。これにより、ホラー映画のファン層を広げ、カルト的な人気を博しました。監督のロイ・ウォード・ベイカーは、ゴシックな雰囲気を保ちつつ、緊張感を演出しています。
原作『カーミラ』の忠実な適応ですが、ホラー要素を強調し、視覚的なインパクトを加えています。イングリッド・ピットの演技は特に注目され、彼女の妖艶さが映画の成功要因です。批評家からは脚本の平板さを指摘される一方、セクシーさとプロダクションの質を評価する声もあります。続編として『鮮血の処女狩り』や『ツインズ・オブ・イビル』が作られ、カーミラ三部作を形成しました。
時代背景として、19世紀のヨーロッパを舞台に、貴族社会の腐敗や欲望を描いています。吸血鬼のメタファーは性的誘惑や死の象徴として機能します。本作はホラー映画の歴史で、女性中心のヴァンパイア物語の先駆けです。現代の視点から見ると、ジェンダー表現の進化を示す作品としても興味深いです。
https://www.imdb.com/title/tt0066518/mediaviewer/rm728368129/
キャスト
- マルシーラ/カーミラ/ミラーカ・カーンシュタイン:イングリッド・ピット
- スピルスドルフ将軍:ピーター・カッシング
- エマ・モートン:マデリン・スミス
- ローラ・スピルスドルフ:ピッパ・スティール
- ロジャー・モートン:ジョージ・コール
- ハートグ男爵:ダグラス・ウィルマー
- 伯爵夫人:ドーン・アダムズ
- 家庭教師/マドモアゼル・ペロド:ケイト・オマラ
- カール・エブハルト:ジョン・フィンチ
- ドクター:ファーディ・メイン
- 最初の吸血鬼:キルステン・ベッツ(キルステン・リンドホルム)
- 黒い服の男:ジョン・フォーブス=ロバートソン
- 家政婦:シェラ・ウィルコックス
- レントン:ハーヴェイ・ホール
- グレッチン:ジャネット・キー
- 大家:チャールズ・ファレル
スタッフ
- 監督:ロイ・ウォード・ベイカー
- 脚本:チューダー・ゲイツ
- 脚色:ハリー・ファイン、チューダー・ゲイツ、マイケル・スタイル
- 原作:ジョゼフ・シェリダン・レ・ファニュ
- 製作:ハリー・ファイン、マイケル・スタイル
- 撮影:モーレイ・グラント
- 編集:ジェームズ・ニーズ
- 音楽:ハリー・ロビンソン
- 製作会社:ハマー・フィルム・プロダクション、アメリカン・インターナショナル・ピクチャーズ、ファンテール・フィルムズ
- 配給:MGM







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