1983年に日本でビデオ発売されたイタリア映画『修道女ジュリアの告白/中世尼僧刑罰史』は1973年の公開作品で、製作地イタリア共和国のナンスプロイテーション映画。上映時間96分、原題は「Le monache di Sant’Arcangelo」。
16世紀の修道院を舞台に、院長の死をきっかけとした権力争い、陰謀、性的葛藤、異端審問と残酷な刑罰が描かれます。修道女たちの欲望と苦悩がエロティックに表現された歴史ドラマです。
基本情報
- 邦題:修道女ジュリアの告白/中世尼僧刑罰史
- 原題:Le monache di Sant’Arcangelo
- 公開年:1983年
- 製作国・地域:イタリア共和国
- 上映時間:96分
女優の活躍
アン・ヘイウッドはジュリア修道女を演じ、野心に駆られ冷徹に権力を狙う姿を力強く体現しています。彼女の演技は、修道女としての仮面の下に潜む計算高さと内面的な葛藤を細やかに表現し、観客を強く引きつけます。成熟した魅力と存在感が、物語の中心をしっかりと支えています。
オルネラ・ムーティはイザベラ修道女として登場し、若々しい美貌と純粋さを武器に、性的な誘惑と苦悩の狭間で揺れる役柄を魅力的に演じています。当時18歳の彼女のフレッシュな魅力が、修道院内の抑圧された世界に鮮やかなコントラストを与えています。
マルティーヌ・ブロシャールはキアラ修道女を演じ、レズビアン的な傾向を持つ複雑なキャラクターを深みのある演技で表現します。クラウディア・グレイヴィもカルメラ修道女として、権力争いに巻き込まれる修道女の心理を自然に演じ分け、全体のドラマを豊かにしています。
これらの女優たちは、伝統的な修道女のイメージを超えた情熱的な演技で、ジャンルの魅力を最大限に引き出しています。特にアン・ヘイウッドの貫禄あるパフォーマンスは、映画の緊張感を高めています。
女優の衣装・化粧・髪型
女優たちは中世の修道女らしい伝統的な黒いローブと白いヴェールをまとっています。ローブはゆったりとしたシルエットで、修道院の厳格さを象徴しつつ、動きやすさを考慮したデザインです。ヴェールは頭部を完全に覆い、謙虚さと抑圧を視覚的に表しています。
化粧は全体的に控えめで、自然な肌のトーンを基調とし、頰や唇にわずかな色を加える程度です。これにより、修道女としての清らかさと、物語のエロティックな要素における女性らしい魅力を両立させています。アン・ヘイウッドの成熟した顔立ちが、淡い化粧でより際立っています。
髪型はヴェールで隠されており、通常は見えませんが、私的なシーンや拷問シーンでは長いストレートまたは軽くウェーブのかかった豊かな髪が露わになります。オルネラ・ムーティの髪は特に美しく、若さを強調する柔らかな流れが印象的です。こうしたコントラストが、抑圧と解放のテーマを視覚的に強調しています。
拷問シーンでは衣装が剥ぎ取られ、裸体が露呈される描写があり、衣装の象徴性が強調されます。これらの要素は、女優たちの身体性を活かした演出として機能しています。
あらすじ
16世紀後半、ナポリ近郊のサンタンジェロ修道院で、前院長が亡くなります。これを機に、次期院長の座を巡り、ジュリア修道女、キアラ修道女、カルメラ修道女らが激しい権力争いを始めます。ジュリアは有力な家柄を背景に、ライバルを排除すべく陰謀を巡らせます。
ジュリアは病床の前院長に毒を盛るなど、手段を選ばず行動します。一方、修道女たちは誓願の抑圧から、秘密の男性関係や同性愛的なつながりに走ります。イザベラ修道女のような若い修道女も、この渦中に巻き込まれます。
教会の権力者が介入し、異端審問が始まります。修道女たちは裸に剥かれ、拷問器具を用いた残酷な尋問を受け、告白を強いられます。秘密の恋や腐敗が次々と暴かれ、修道院は混乱に陥ります。
最終的にジュリアの野心が露呈し、彼女は教会の権力に挑む言葉を残して毒を飲みます。権力争いの果てに訪れる悲劇的な結末が、物語を締めくくります。
解説
本作はナンスプロイテーションの代表作として知られ、修道女の性的抑圧と教会の腐敗をテーマに描いています。サブタイトル「中世尼僧刑罰史」は、異端審問での拷問シーンを指し、歴史的事実に基づく残酷さを強調します。オープニングクレジットではスタンダールの小説(カストロの尼)と16世紀の記録を基にしていると謳われています。
監督ドメニコ・パオレッラは、同年に「ア・クロイスタード・ナン」も手がけ、ジャンルを確立しました。エロティックな描写とドラマチックな展開のバランスが特徴で、単なるエクスプロイテーション映画を超えた社会批判を含んでいます。
修道女たちの美貌と欲望の対比が視覚的に魅力的に描かれ、特にアン・ヘイウッドとオルネラ・ムーティの共演が話題となりました。音楽のピエロ・ピッチオーニによる美しいスコアも、緊張感を高めています。日本では1983年のビデオ発売で広く知られるようになりました。
作品は教会権力の偽善と女性の抑圧を批判しつつ、エンターテイメント性を保っています。拷問シーンの衝撃が、ジャンルファンに長く記憶されています。
キャスト
- アン・ヘイウッド:ジュリア修道女
- オルネラ・ムーティ:イザベラ修道女
- リュック・メランダ:カラファ司教代理
- マルティーヌ・ブロシャール:キアラ修道女
- クラウディア・グレイヴィ:カルメラ修道女
- クラウディオ・ゴーラ:枢機卿ダレッツォ
- ドゥイリオ・デル・プレテ:ピエトロ
- ピエル・パオロ・カッポーニ:ドン・カルロス・リベーラ
スタッフ
- 監督:ドメニコ・パオレッラ(パオロ・ドミニーチ名義)
- 脚本:ドメニコ・パオレッラ、トニーノ・チェルヴィ
- 製作:トニーノ・チェルヴィ
- 撮影:ジュゼッペ・ルッツォリーニ
- 編集:ニーノ・バラーリ
- 音楽:ピエロ・ピッチオーニ



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