『アトランティック・シティ』は、1980年に公開されたフランス・カナダ合作のドラマ映画。愛、野心、犯罪が交錯する物語で、ルイ・マル監督の繊細な演出が、ノスタルジックな雰囲気を生み出しています。アトランティックシティの衰退した街並みを背景に、老いた元ギャングのルーと野心的なウェイトレスのサリーが、麻薬絡みの事件に巻き込まれます。上映時間は105分。
基本情報
- 邦題:アトランティック・シティ
- 原題:ATLANTIC CITY, U.S.A.
- 公開年:1980年
- 製作国・地域:フランス、カナダ
- 上映時間:105分
- ジャンル:ドラマ
女優の活躍
『アトランティック・シティ』でサリー・マシューズを演じたスーザン・サランドンは、野心家で独立心の強い女性を熱演しています。彼女はカナダからアトランティックシティに移住し、カジノのウェイトレスとして働きながら、ブラックジャックのディーラーを目指すキャラクターです。この役を通じて、サランドンはアカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、キャリアの転機となりました。
サランドンの演技は、キャラクターの内面的な葛藤を繊細に表現しています。例えば、夫の裏切りや犯罪の渦中に巻き込まれながらも、自身の夢を追い続ける強さを描き出しています。特に、ルーとの関係性では、年齢差を超えた繊細な感情のやり取りが光ります。彼女の演技は、批評家から高く評価され、ジェニー賞で外国女優賞を受賞しました。
本作での活躍は、サランドンの多様な役柄への適応力を示しています。以降、彼女は『テルマ&ルイーズ』や『デッドマン・ウォーキング』などでさらに活躍を広げ、オスカーを獲得する基盤を築きました。この映画では、センシュアルなシーンも含め、彼女の魅力が存分に発揮されています。
女優の衣装・化粧・髪型
スーザン・サランドンが演じるサリーの衣装は、カジノのウェイトレスらしい実用的なものが中心です。白いブラウスに黒いスカートやエプロンを着用し、動きやすいシンプルなスタイルが目立ちます。これにより、彼女の日常的な労働者像を強調しています。一方で、プライベートシーンではカジュアルなドレスやコートを纏い、野心的な女性らしさを演出しています。
化粧については、ナチュラルメイクが基調です。軽いファンデーションとリップで、疲れた表情を自然に表現しています。特に、仕事後のリラックスシーンでは、化粧を落とした素顔に近い状態が登場し、キャラクターの脆弱さを表しています。全体として、派手さを抑えたメイクが、物語の現実味を高めています。
髪型は、長いブロンドヘアを緩くウェーブさせたスタイルです。仕事中はポニーテールやアップにまとめ、プロフェッショナルな印象を与えています。私的な場面では髪を下ろし、柔らかな雰囲気を醸し出します。この髪型は、サリーの若さと野心を象徴し、映画のビジュアルに寄与しています。
あらすじ
サリー・マシューズは、カナダのサスカチュワンからアトランティックシティに移住し、カジノのオイスターバーでウェイトレスとして働いています。彼女はブラックジャックのディーラーになる夢を抱き、フランス人のジョセフからレッスンを受け、モンテカルロを目指しています。そんな中、疎遠だった夫のデイブと妊娠中の妹クリッシーが突然現れます。デイブはフィラデルフィアから盗んだコカインを持ち込み、サリーを巻き込もうとします。
サリーの隣人である老いた元ギャングのルーは、かつてのボスの妻グレイスを介護しながら、小さな賭博業を営んでいます。ルーはサリーに密かな想いを寄せ、彼女の日常を窓から覗き見ています。デイブはルーを説得し、コカインの売却を手伝わせますが、最初の取引でマフィアに襲われ、殺されてしまいます。ルーは残りのコカインを隠し、売却を続けます。
サリーのアパートはマフィアに荒らされ、彼女は暴行を受けます。ルーはサリーを守れなかったことを悔やみますが、二人は次第に親密になります。サリーはデイブの犯罪歴が発覚し、カジノを解雇されます。ルーはコカインの売却で得た金をサリーに渡し、二人はマフィアの追手から逃れます。モーテルでニュースを見た二人は、ルーが初めて人を殺したことを知ります。
翌朝、サリーは金の半分を持ち、フランスへ向かうためにルーの車で去ります。ルーはそれを許し、アトランティックシティに戻ります。そこでグレイスと残りのコカインを売り、互いに敬意を払いながら街を歩きます。物語は、衰退する街の中で人々が夢を追い続ける姿を描いています。
解説
『アトランティック・シティ』は、ルイ・マル監督の代表作の一つです。この映画は、1970年代末のアトランティックシティの変貌を背景に、過去と未来の対比を描いています。街の衰退とカジノの再開発が象徴的に用いられ、キャラクターたちの人生を反映しています。マルは、フランスとカナダの合作で、国際的な視点を加えています。
脚本を担当したジョン・グアレは、ユーモアとドラマを巧みに融合させています。物語は犯罪要素を含みつつ、ロマンティックな側面を強調します。特に、ルーとサリーの関係は、年齢差を超えた人間的なつながりを示しています。マル監督の演出は、日常の細部に焦点を当て、リアリズムを追求しています。
批評家からは絶賛され、Rotten Tomatoesで100%の評価を得ています。アカデミー賞では5部門にノミネートされ、ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を共同受賞しました。音楽はミシェル・ルグランが担当し、ダイジェティックな曲が雰囲気を高めています。2003年には米国国立フィルム登録簿に登録され、文化的に重要な作品です。
テーマとして、繁栄と衰退の幻想が挙げられます。ルーは過去の栄光に縛られ、サリーは未来の夢を追い求めます。この対比が、街の変容と重なり、ノスタルジックな余韻を残します。マルは、キャラクターの微妙な心理を捉え、観客に深い感動を与えています。
バート・ランカスター、スーザン・サランドン主演『アトランティック・シティ』(1980年)
https://www.imdb.com/title/tt0080388/mediaviewer/rm396769024/
キャスト
- バート・ランカスター:ルー・パスカル
- スーザン・サランドン:サリー・マシューズ
- ケイト・リード:グレイス・ピンザ
- ミシェル・ピコリ:ジョセフ
- ホリス・マクラレン:クリッシー
- ロバート・ジョイ:デイブ・マシューズ
- アル・ワックスマン:アルフィー
- ロバート・グーレ:ロバート・グーレ(本人役)
スタッフ
- 監督:ルイ・マル
- 脚本:ジョン・グアレ
- 製作:デニス・エルー、ジョン・ケメニー
- 撮影:リチャード・チュプカ
- 編集:スザンヌ・バロン
- 音楽:ミシェル・ルグラン





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