北京市は中華人民共和国の首都であり、華北平原の北端に位置する直轄市。人口約2184万人、面積16,410平方キロメートルで、政治・文化・経済の中心地です。世界遺産の故宮や万里の長城が有名。
北京市はその歴史的背景と現代的な魅力から、数々の映画の舞台やロケ地として登場。また、多くの才能ある女優を輩出し、国内外で活躍しています。
歴史
北京市の歴史は3000年以上にわたり、古代から重要な政治・軍事の中心地でした。紀元前221年の秦の統一以前、燕国の首都「薊」として栄え、春秋戦国時代には商業や手工業が発展しました。秦・漢時代には「広陽郡」として北方の要衝となり、万里の長城の建設で知られる始皇帝がこの地域を重視しました。
10世紀から13世紀には、契丹族の遼朝や女真族の金朝が北京を「燕京」や「中都」として首都に定め、都市計画を進めました。特に金朝は西湖や盧溝橋を整備し、都市の基盤を強化しました。元朝のクビライ・カーンは1267年に「大都」を建設し、都市を大規模に拡張。マルコ・ポーロが「世界一の優れた橋」と称えた盧溝橋もこの時代に生まれました。
明朝の1403年、永楽帝が「北京」と改称し、紫禁城（現・故宮博物院）や天壇を建設。1421年に首都を南京から北京に移し、明・清両朝を通じて政治の中心となりました。1912年の中華民国成立で一時南京に首都が移るも、1949年の中華人民共和国建国で毛沢東が再び北京を首都に定めました。
現代では、2008年夏季オリンピックと2022年冬季オリンピックの開催地となり、夏冬両オリンピックを開催した初の都市として世界に名を馳せました。北京市は現在も政治・文化の中心として、伝統と近代化が融合した都市として発展を続けています。
芸術
北京市は中国の芸術と文化の中心地であり、伝統と現代が融合した多様な芸術が息づいています。
故宮博物院は、明・清朝の宮廷芸術や工芸品を展示し、書画、陶磁器、玉器など約186万点の収蔵品で知られます。北京の伝統芸術では、京劇が特に有名で、華やかな衣装と独特の歌唱法で物語を表現します。前門街の劇場では、京劇の公演が日常的に行われ、観光客にも人気です。
現代アートでは、798芸術区が国際的な注目を集めています。元は工業地帯だったこのエリアは、アートギャラリーやスタジオが集まり、現代美術や彫刻、写真展が開催されます。音楽では、1980年代に始まった北京ロックが独自の文化を形成し、崔健や唐朝などのアーティストが社会問題を歌詞に込め、若者に影響を与えました。 また、書道や中国画も盛んで、国立中国美術館では伝統的な水墨画から現代アートまで幅広く展示されます。
北海公園の瓊花島や頤和園の風景は、燕京八景として芸術作品にしばしば描かれ、詩や絵画に影響を与えました。北京大学や清華大学は芸術教育の中心でもあり、若手アーティストの育成に貢献しています。これらの施設やイベントは、北京市が中国の芸術文化の中心であることを象徴しています。
登場する映画
北京市はその歴史的背景と現代的な魅力から、数々の映画の舞台やロケ地として登場します。以下は代表的な作品です。
- 北京好日（1993年）：寧瀛監督による作品で、退職した老人が京劇を通じて生きがいを見つける物語。北京の前門街や公園が舞台で、庶民の生活と伝統文化が描かれます。ベルリン国際映画祭で特別栄誉賞を受賞しました。
- ロスト・イン・北京（2007年）：李玉監督のドラマで、北京市の現代社会を背景に、売春や恐喝といった社会の暗部を描きます。ファン・ビンビンの主演で、ベルリン国際映画祭に出品されました。
- 北京のふたり（1998年）：ジョン・アヴネット監督の法廷サスペンス。北京で殺人罪に問われたアメリカ人と中国人女性弁護士の交流を描き、市内の街並みがリアルに再現されています。リチャード・ギアとバイ・リンが出演。
- 北京原人 Who are you?（1997年）：佐藤純彌監督のSFファンタジー。北京原人の化石から現代に蘇った親子と人間の交流を描き、北京市郊外や万里の長城が登場します。
- 新北京物語（1996年）：フー・チュン監督による作品で、北京のアパートに住むインテリたちの人間模様を描きます。都市の急速な発展と個人の葛藤がテーマです。
これらの映画は、北京の歴史的な景観や現代的な都市生活を背景に、さまざまな人間ドラマを展開しています。万里の長城や故宮、天安門広場などの名所が映像に映し出され、北京市の多面性を伝えています。
出身女優
北京市は多くの才能ある女優を輩出しており、国内外で活躍しています。以下は代表的な人物です。
- 楊冪（ヤン・ミー）：1986年北京生まれ。4歳で子役デビューし、『神鵰侠侶』（2006年）や『仙剣奇侠伝三』（2009年）で注目を集めました。『宮 パレス 〜時をかける宮女〜』（2011年）で大ブレイクし、アジアで広く人気を博しています。
- 范冰冰（ファン・ビンビン）：1981年青島生まれだが、北京で育ち活動。『ロスト・イン・北京』（2007年）や『X-MEN:フューチャー&パスト』（2014年）で国際的に知られ、華やかな美貌と演技力で評価されます。
- バイ・リン：1966年成都生まれだが、北京でキャリアを築きました。『北京のふたり』（1998年）でハリウッドデビューし、『スター・ウォーズ エピソード3』（2005年）にも出演。国際的な活躍が目立ちます。
- 鞏俐（コン・リー）：1965年瀋陽生まれだが、中央戯劇学院で女優として成長。『紅いコーリャン』（1988年）や『さらば、わが愛/覇王別姫』（1993年）で世界的に有名になり、カンヌやベルリン映画祭で高評価を得ました。
- 章子怡（チャン・ツィイー）：1979年北京生まれ。『グリーン・デスティニー』（2000年）や『HERO』（2002年）で世界的に有名になり、ハリウッドでも活躍しています。
これらの女優は、北京市の文化的な土壌で育ち、中国映画界や国際舞台で大きな影響を与えています。特に楊冪や范冰冰は、現代中国のエンターテインメント業界を代表する存在として、若者文化にも大きな影響を与えています。北京市の芸術教育機関や映画産業の集積が、彼女たちの成功を支えました。
レビュー 作品の感想や女優への思い