2018年公開のホラー・ミステリー映画「カムガール」。アダルトサイトで配信する女性が、自身そっくりの存在にアカウントを乗っ取られ、謎と恐怖に立ち向かう。ネット社会の闇を描く。主演のマデリーン・ブルーワーは、本作でアリスを演じ、体を張った演技が高く評価されました。
基本情報
- 邦題：カムガール
- 原題：Cam
- 公開年：2018年
- 製作国：米国
- 上映時間：94分
- ジャンル：ホラー
あらすじ
アリス（マデリーン・ブルーワー）は、「Lola_Lola」というハンドルネームでアダルト動画配信サイト「FREEGIRLS.LIVE」でカムガールとして活動しています。視聴者からの投げ銭で収益を得ながら、サイト内のランキング上位を目指して過激なパフォーマンスを行っています。ある日、彼女は自身のランキングを上げるために、偽の自殺ショｎーを仕掛けるなど、視聴者を引きつけるための大胆な行動に出ます。しかし、突如としてアカウントにログインできなくなり、確認すると自分と瓜二つの女性が「Lola_Lola」として配信を続けていることに気づきます。この偽物は、アリスが避けていたさらに過激な行為を行い、急速に人気を集めていきます。アリスは自分のアカウントを取り戻すため、サイト運営や警察に助けを求めますが、解決には至らず、家族や弟にも影響が及びます。最終的に、彼女は偽物との直接対決に挑み、壮絶な方法でアカウントを取り戻そうとします。物語は、ネット社会の承認欲求や個人情報の危険性を描きつつ、謎めいた結末で締めくくられます。
解説
「カムガール」は、現代のインターネット文化とその裏に潜む闇を巧みに描いた作品です。監督のダニエル・ゴールドハーバーと脚本家のアイザ・マッゼイは、ネット配信者が直面する承認欲求や競争の激しさ、そして個人情報の脆弱性をテーマにしています。マッゼイ自身が元カムガールとしての経験を活かし、リアルな描写を脚本に反映させました。
映画は、ホラーやミステリーの要素を織り交ぜつつ、視聴者に「自分そっくりの存在」の正体や目的を考察させる構造になっています。特に、AIやプログラムによるアカウント乗っ取りの可能性を示唆するシーンは、現代社会におけるテクノロジーの脅威を象徴しています。視覚的には、ネオンカラーを多用した映像美が特徴で、ポップな色調とサスペンスの緊張感が対比的に描かれています。物語の終盤は、犯人の正体や動機が明確にされないまま終わるため、視聴者によっては消化不良に感じられるかもしれません。
しかし、この曖昧さが、ネット社会の不確実性や個人のアイデンティティの脆さを強調しているとも解釈できます。映画は、ホラー映画「セッション」や「ブラック・スワン」に影響を受けた野心的な主人公の葛藤を描きつつ、ネット配信文化の光と影を浮き彫りにします。スティーブン・キングがSNSで絶賛したことも話題となり、批評家からは特に主演の演技と雰囲気が高く評価されています。
女優の活躍
主演のマデリーン・ブルーワーは、本作でアリス（Lola_Lola）を演じ、その体を張った演技が高く評価されています。彼女は、過激なパフォーマンスを通じて承認欲求に駆られるカムガールの心理をリアルに表現し、恐怖や混乱に直面するアリスの感情の揺れを繊細に演じ分けました。特に、偽物との対決シーンでは、顔を傷つけながらもアカウントを取り戻そうとする壮絶な演技が印象的です。ブルーワーは、ドラマ「ハンドメイズ・テイル」や「オレンジ・イズ・ザ・ニュー・ブラック」での活躍で知られ、本作でも新進気鋭の女優としての存在感を示しました。彼女の演技は、視聴者にアリスの葛藤や絶望を強く共感させ、物語の緊張感を高めています。
また、脇役のメローラ・ウォルターズ（リン役）は、アリスの母親として感情的なシーンで深い印象を残し、家族の絆を表現しました。イマニ・ハキム（ベイビー役）も、ランキング1位のカムガールとして短い出演ながら強烈な存在感を発揮しました。
女優の衣装・化粧・髪型
マデリーン・ブルーワー演じるアリスの衣装は、カムガールとしての職業を反映し、露出度の高い衣装や派手なデザインが特徴です。配信中は、ピンクや紫のネオンカラーのランジェリーや、キラキラしたアクセサリーを身につけ、視聴者の注目を集めるための工夫が施されています。
一方で、プライベートではカジュアルなTシャツやジーンズを着用し、普通の女性としての生活との対比が描かれています。化粧は、配信時には濃いアイラインや鮮やかなリップカラーで派手さを強調し、視聴者受けを意識したメイクアップが施されています。特に、赤やピンクのアイシャドウが、ネオンカラーの映像美と調和し、ポップで挑発的な雰囲気を演出しています。髪型は、配信中はロングヘアをゆるく巻いたスタイルやポニーテールで、若々しくセクシーな印象を与えています。プライベートでは、シンプルなストレートヘアやまとめ髪で、日常的な一面を表現。
偽物のローラも同様の衣装やメイクを模倣し、アリスとの同一性を強調する一方、微妙な違いで不気味さを演出しています。全体的に、衣装やメイクはアリスの二面性（公と私）を視覚的に表現する重要な要素となっています。
キャスト
- マデリーン・ブルーワー：アリス（Lola_Lola） – カムガールとして活動する主人公。承認欲求と恐怖に揺れる女性を熱演。
- パッチ・ダラー：ティンカー – アリスの熱心なファン。ストーカー的な行動で物語に緊張感を加える。
- メローラ・ウォルターズ：リン – アリスの母親。娘の秘密を知り、葛藤しながらも支える役どころ。
- デヴィン・ドルイド：ジョーダン – アリスの弟。姉の仕事が原因で嫌がらせを受ける。
- イマニ・ハキム：ベイビー – サイトのランキング1位のカムガール。謎めいた存在として登場。
- ジェシカ・パーカー・ケネディ：ケイティ – アリスの友人で、同じくカムガールとして活動。
スタッフ
- 監督：ダニエル・ゴールドハーバー – 新進気鋭の監督。ネット社会の闇を視覚的に描く。
- 脚本：アイザ・マッゼイ – 元カムガールとしての経験を基に、リアルな脚本を執筆。
- 原案：ダニエル・ゴールドハーバー、アイザ・マッゼイ、イザベル・リンク＝レヴィ – 共同で物語の骨子を構築。
- 製作：イザベル・リンク＝レヴィ、アダム・ヘンドリックス – ブラムハウス・プロダクションズによる製作。
- 音楽：ギャビン・ブリヴィック – 不穏な雰囲気を高める音楽を提供。
- 撮影：カット・シェイ – ネオンカラーを活かした映像美を演出。
レビュー 作品の感想や女優への思い