『コカイン・ベア』（2023年製作、米国）は、実話を基にしたスリラー・コメディ映画。コカインを摂取し凶暴化したクマがジョージア州の森で巻き起こす騒動を描く。エリザベス・バンクス監督、ケリー・ラッセルらが出演。R15+指定の95分で、ユーモアとパニックが交錯する異色作。
基本情報
- 邦題：コカイン・ベア
- 原題：Cocaine Bear
- 公開年：2023年
- 製作国：米国
- 上映時間：95分
- ジャンル：コメディ、スリラー
- 配給：パルコ
見どころ
大量のコカインを食べて暴れ回るクマの恐ろしくもユーモラスな動きや表情が見事。残虐シーンなのになぜか爆笑してしまう奇想天外＆前代未聞のパニック映画。
女優の活躍
『コカイン・ベア』では、女性キャストが物語の中心的な役割を担い、個々のキャラクターを通じて強い印象を残しています。特に、ケリー・ラッセル、マーゴ・マーティンデイル、ブルックリン・プリンスの3人の女優が際立った活躍を見せ、作品に深みとユーモアを加えています。
ケリー・ラッセル（サリ役）
ケリー・ラッセルは、行方不明の娘ディーディーを捜す母親サリを演じ、物語の感情的な軸を担います。彼女の演技は、母親としての必死さと人間的な脆さを絶妙に表現。特に、クマの脅威に立ち向かうシーンでは、恐怖と決意が交錯する表情が観客の共感を呼びます。ラッセルは『ジ・アメリカンズ 極秘潜入スパイ』で培った感情表現のスキルを活かし、緊迫感あるシーンでも落ち着いた存在感を発揮。彼女の演技は、物語のシリアスな側面を支え、コメディ要素とのバランスを保ちます。
マーゴ・マーティンデイル（リズ役）
マーゴ・マーティンデイルが演じる森林管理官リズは、映画のコメディ要素を牽引する存在です。リズは風変わりで少し抜けた性格ながら、危機的状況での大胆な行動が印象的。マーティンデイルのコミカルな演技は、クマとの対峙シーンで特に際立ち、観客に笑いと驚きを提供します。彼女の独特なユーモアセンスは、映画のスプラッター要素と相まって、作品の異色な雰囲気を強調。Xの投稿でも、彼女のインパクトある演技が高く評価されています。
ブルックリン・プリンス（ディーディー役）
若手女優ブルックリン・プリンスは、絵を描くのが好きな13歳の少女ディーディーを演じます。学校をサボって森へ向かい、凶暴なクマに遭遇する役どころで、子供らしい無邪気さと危機的状況での機転を巧みに表現。プリンスの自然体な演技は、物語に純粋な視点を加え、観客に感情移入を促します。彼女の存在は、映画の家族愛のテーマを強調する重要な要素です。
女優の衣装・化粧・髪型
『コカイン・ベア』の女優たちの衣装、化粧、髪型は、1985年のアメリカを背景に、キャラクターの個性と時代感を反映しています。
ケリー・ラッセル（サリ）
サリの衣装は、1980年代の日常的な母親像を反映した実用的でカジュアルなスタイル。デニムジーンズやシンプルなシャツ、動きやすいスニーカーが中心で、森での捜索シーンに適した機能性を重視。化粧は控えめで、ナチュラルなベースメイクに薄いリップカラーを施し、母親としての現実感を強調。髪型は、肩までのボブカットで、動きやすさと当時の流行を取り入れつつ、過度な装飾を避けた自然なスタイル。彼女の外見は、物語の緊迫感と感情的な深みを引き立てます。
マーゴ・マーティンデイル（リズ）
リズの衣装は、森林管理官としてのユニフォームが特徴。カーキ色のシャツとパンツ、帽子という典型的なレンジャー装備に、80年代らしい明るい色味のアクセントが加えられています。彼女の化粧は、野外での仕事に合わせた最小限のメイクで、汗や汚れが目立つようなリアルな仕上がり。髪型は、短めのポニーテールで、活動的で少し無骨なキャラクター性を反映。リズの外見は、彼女のコミカルで大胆な性格を視覚的に補強し、観客に強い印象を与えます。
ブルックリン・プリンス（ディーディー）
ディーディーの衣装は、80年代の子供らしいカラフルなTシャツやオーバーオールで、絵を描く趣味を反映したアート風のデザインが特徴。化粧はほぼ施さず、子供らしい無垢な印象を保ちます。髪型は、ポニーテールやツインテールで、活発で無邪気な少女像を表現。彼女の外見は、物語の冒険心と純粋さを強調し、危険な状況とのコントラストを際立たせます。
あらすじ
1985年、ジョージア州上空を飛行中のセスナ機から、麻薬密輸人アンドリュー・C・ソーントン2世（マシュー・リース）が大量のコカインを投下するが、誤って自身も落下し死亡。投棄されたコカインは森に散乱し、巨大なアメリカクロクマがこれを摂取し凶暴化する。一方、13歳の少女ディーディー（ブルックリン・プリンス）は友人のヘンリー（クリスチャン・コンヴェリー）と学校をサボり、絵を描くために森へ向かうが、そこでコカインベアに遭遇。ディーディーの母サリ（ケリー・ラッセル）は娘を捜索するため森へ急ぐ。
同時期、麻薬王シド（レイ・リオッタ）はコカイン回収のため部下のダヴィード（オシェア・ジャクソン・Jr.）とエディ（オールデン・エアエンライク）を派遣。引退間近の刑事ボブ（イザイア・ウィットロック・Jr.）、森林管理官リズ（マーゴ・マーティンデイル）、不良少年たちもそれぞれの思惑で森に集まり、凶暴化したクマとの予測不能な戦いに巻き込まれる。コカインベアの暴走により、登場人物たちは命懸けの逃走劇を繰り広げ、笑いと恐怖が交錯するカオスな状況が展開する。
解説
『コカイン・ベア』は、1985年に実際に起きた「コカインを摂取したクマ」の事件を基にしたスリラー・コメディ。実話では、クマは薬物の過剰摂取で死亡したが、本作ではその設定を誇張し、凶暴化したクマが巻き起こすパニックをユーモラスに描きます。エリザベス・バンクス監督は、コメディとホラーのバランスを見事に取り、80年代のポップカルチャーを背景に、過激なスプラッター要素と軽快なユーモアを融合。R15+指定の過激な描写は、ドラッグジョークやスラップスティックな展開で中和され、観客に笑いとスリルを提供します。
本作は、レイ・リオッタの遺作としても注目され、彼の麻薬王役は物語に重厚感を加えます。また、女性キャストの活躍が強調され、特にサリ、リズ、ディーディーの視点が物語の多層性を増しています。Xの投稿では、女性監督と女性キャストの存在が作品の魅力として挙げられ、コカインベア自体もメスとして描かれる点が話題に。 批評家からは賛否両論あるものの、興行収入は製作費3000～3500万ドルに対し9000万ドル以上を記録し、SNSを中心に話題沸騰。ユニバーサル・ピクチャーズ配給の本作は、奇抜なコンセプトと豪華キャストでカルト的な人気を博しました。
キャスト
- ケリー・ラッセル：サリ（ディーディーの母、必死に娘を捜す）
- マーゴ・マーティンデイル：リズ（コミカルな森林管理官）
- ブルックリン・プリンス：ディーディー（絵が好きな13歳の少女）
- オシェア・ジャクソン・Jr.：ダヴィード（麻薬王の部下）
- オールデン・エアエンライク：エディ（シドの息子）
- レイ・リオッタ：シド（麻薬王、遺作）
- クリスチャン・コンヴェリー：ヘンリー（ディーディーの友人）
- イザイア・ウィットロック・Jr.：ボブ（引退間近の刑事）
- マシュー・リース：アンドリュー・C・ソーントン2世（麻薬密輸人）
- ジェシー・タイラー・ファーガソン：ピーター（レンジャー）
- アユーラ・スマート、カユン・キム（その他の脇役）
スタッフ
- 監督：エリザベス・バンクス（『ピッチ・パーフェクト2』『 Ascendant 監督としての力量を活かし、独自のコメディセンスを注入）
- 脚本：ジミー・ウォーデン
- 製作：エリザベス・バンクス、フィル・ロード、クリストファー・ミラー、マックス・ハンデルマン、マット・ライリー、ブライアン・ダフフィールド
- 音楽：マーク・マザースボー
- 撮影：ジョン・ゲイサー
- 編集：ジョエル・ニューバウアー
- 製作会社：ユニバーサル・ピクチャーズ、ブラウンストーン・プロダクションズ
- 配給：ユニバーサル・ピクチャーズ（日本ではパルコ）
結論
『コカイン・ベア』は、実話を基にした奇抜なコンセプトと、ケリー・ラッセルやマーゴ・マーティンデイルら女優陣の魅力的な演技、80年代を反映した衣装や演出で、ユニークな映画体験を提供。コメディとホラーの融合が、観客に笑いとスリルをもたらす異色作です。
レビュー 作品の感想や女優への思い