予告された殺人の記録

『予告された殺人の記録』は1987年公開のイタリア・フランス合作映画。ガブリエル・ガルシア・マルケスの小説を原作に、カリブの町で起こる予告された殺人事件を祝祭的・神話的に描く。不条理と時間がテーマ。ルパート・エヴェレット、オルネラ・ムーティ出演。監督はフランチェスコ・ロージ。

基本情報
あらすじ
解説
女優の活躍
女優の衣装・化粧・髪型
キャスト
スタッフ

基本情報

邦題：予告された殺人の記録
原題：Cronaca di una morte annunciata
公開年：1987年
製作国：イタリア、フランス
上映時間：110分
ジャンル：ドラマ

Piero Ciampi Io e te Maria + Cronaca di una morte annunciata

あらすじ

カリブ海に面したコロンビアの小さな町を舞台に、名家の息子バヤルド・サン・ロマン（ルパート・エヴェレット）がアンヘラ・ヴィカリオ（オルネラ・ムーティ）と結婚する。町中が祝福ムードに包まれるが、結婚初夜、アンヘラが処女でないことが明らかになり、バヤルドは激怒して彼女を実家に返す。アンヘラの双子の兄弟、パブロとペドロは、妹の名誉を守るため、彼女の貞操を奪ったとされるサンティアゴ・ナサール（アントニー・ドロン）を殺害すると公言する。町の誰もがこの予告を知りながら、誰もそれを阻止しようとせず、サンティアゴは運命的な死を迎える。物語は、事件から27年後、クリストフ・ベドヤ（ジャン・マリア・ヴォロンテ）が当時の真相を追う形で進行し、閉鎖的な町の因習や集団心理が浮き彫りになる。原作では結末が曖昧だが、映画ではバヤルドとアンヘラの再会が描かれ、比較的ハッピーエンドにアレンジされている。

解説

『予告された殺人の記録』（原題：Cronaca di una morte annunciata）は、ノーベル文学賞受賞者ガブリエル・ガルシア・マルケスの中編小説を基にした1987年のイタリア・フランス・コロンビア合作映画です。監督は社会派映画で知られるフランチェスコ・ロージが務め、ラテンアメリカの閉鎖的な町の文化や因習、名誉を巡る不条理な殺人事件を描いています。原作は、コロンビアの実際の事件を題材に、ルポルタージュ風に書かれた作品で、誰もが知る犯行予告にもかかわらず殺人が防げなかった悲劇を複眼的に描写しています。映画は原作の泥臭く生々しい雰囲気を洗練された映像美で表現しつつ、不条理さを強調するために物語を整理し、商業的な観点からハッピーエンドを採用しました。この改変により、原作の持つ曖昧さや不条理の告発はやや弱まったものの、マルケス作品の国際的な注目度を高めることに貢献しました。カリブの蒸し暑い気候や町の閉鎖的な雰囲気が、撮影監督パスクァリーノ・デ・サンティスの鮮やかな映像とピエロ・ピッチオーニの音楽によって効果的に表現されています。1987年のカンヌ国際映画祭で上映され、批評家から一定の評価を受けた作品です。

女優の活躍

本作『予告された殺人の記録』で特に注目される女優は、アンヘラ・ヴィカリオ役を演じたオルネラ・ムーティです。イタリアを代表する女優として知られる彼女は、本作で複雑な感情を抱えるヒロインを熱演しました。アンヘラは、家族の名誉と個人の自由の間で葛藤する女性として描かれ、ムーティはその繊細な表情と存在感でキャラクターに深みを与えています。彼女の演技は、物語の中心となる結婚初夜の衝撃的な出来事や、家族からの圧力に耐える姿で特に際立っており、観客に強い印象を残します。また、アンヘラの母親役を演じたイレーネ・パパスも、厳格で伝統を重んじる母親像を力強く演じ、物語の緊張感を高めています。パパスはギリシャ出身の名女優で、その貫禄ある演技が町の因習的な雰囲気を強調しました。さらに、サンティアゴの母親役のルチア・ボゼも、息子の死を予感しながら無力な母親を情感豊かに演じ、脇役ながら作品に重厚感を加えています。

女優の衣装・化粧・髪型

『予告された殺人の記録』の衣装、化粧、髪型は、カリブの小さな町の雰囲気と登場人物の社会的地位を反映したデザインが特徴です。オルネラ・ムーティ演じるアンヘラ・ヴィカリオの衣装は、物語の進行に合わせて変化します。結婚式では、白いウェディングドレスにベールをまとい、清楚で伝統的な花嫁像を体現。ドレスのデザインはシンプルながらも優雅で、町の名家の娘としての品格を表現しています。化粧は控えめで、ナチュラルな美しさを強調し、彼女の若さと純粋さを際立たせます。髪型は、結婚式ではアップスタイルにまとめられ、ベールと調和した上品な印象を与えます。一方、物語が進むにつれ、家族に戻された後のシーンでは、より質素な衣装に変わり、髪もゆるく下ろしたスタイルに。化粧も薄くなり、彼女の精神的苦悩を反映しています。イレーネ・パパス演じるアンヘラの母親は、黒やダークトーンのロングドレスを着用し、厳格な母親像を強調。髪はきっちりとまとめられ、化粧はほとんど施さず、威厳と伝統を象徴しています。ルチア・ボゼ演じるサンティアゴの母親は、落ち着いた色合いの衣装で、町の裕福な家庭の母親らしい上品さを保ちつつ、悲劇的な運命を予感させる控えめな化粧と髪型が特徴です。全体的に、衣装や化粧はカリブの気候や文化を反映しつつ、登場人物の感情や社会的役割を視覚的に表現しています。