2008年の映画『デス・レース』は、1975年のカルト映画『デス・レース2000年』のリメイク。ジェイソン・ステイサム主演で、刑務所内の殺人レースを舞台に、元レーサーが自由を賭けて戦うアクションスリラー。ポール・W・S・アンダーソン監督による迫力のカーチェイスが魅力。
プロフィール
- 邦題:デス・レース
- 原題:Death Race
- 公開年:2008年
- 製作国:米国
- 上映時間:105分
- ジャンル:アクション
見どころ
負けたら最期の“死のレース”に挑む元レーサーをジェイソン・ステイサムが熱演。クライスラー、ポルシェ、ジャガーなどお馴染みのマシンが重武装して疾走する姿は圧巻。
女優の活躍
『デス・レース』における女優の活躍は、物語の緊張感やアクションの激しさを補完する重要な役割を果たしています。主な女性キャラクターとして、ナタリー・マルティネス演じるエリザベス・ケースとジョーン・アレン演じるヘネシー所長が登場します。
ナタリー・マルティネス(エリザベス・ケース)
ナタリー・マルティネスは、主人公ジェンセン・エイムズ(ジェイソン・ステイサム)のナビゲーター役として登場。ケースはタフで知的な女性囚人で、ジェンセンと共にデス・レースを戦い抜きます。彼女の演技は、アクション場面での冷静さと、ジェンセンとの信頼関係を築く繊細な感情表現が光ります。特にレース中の緊迫した状況で、ジェンセンに戦略的な助言を与えたり、危機を回避するための迅速な判断を見せるシーンは、彼女の存在感を際立たせています。マルティネスの自然体な演技は、過酷な環境下での女性の強さを印象的に描き出しています。
ジョーン・アレン(ヘネシー所長)
ジョーン・アレンは、冷酷な刑務所所長ヘネシーを演じ、物語の主要な敵役として強烈な印象を残します。ヘネシーはデス・レースを運営し、囚人たちを操る狡猾な権力者で、アレンの落ち着いた口調と鋭い眼光がキャラクターの威圧感を強調。彼女の演技は、単なる悪役を超えて、権力と欲望に支配された複雑な人物像を表現しています。特に、ジェンセンとの心理戦や、レースの裏で暗躍するシーンでは、アレンの貫禄ある演技が光ります。
その他
脇役の女性囚人たちもレースの過酷さを体現する演技で、物語にリアリティを加えています。女優陣は、男性中心のアクション映画において、単なる脇役に留まらず、物語の核心に深く関与する存在感を示しています。
女優の衣装・化粧・髪型
『デス・レース』の衣装、メイクアップ、ヘアスタイルは、映画のディストピア的な世界観と過酷な刑務所環境を反映したデザインが特徴です。
エリザベス・ケース(ナタリー・マルティネス)
ケースの衣装は、囚人としての機能性とレースの過酷さに耐える実用性を重視したデザインです。彼女は黒を基調としたタイトなジャンプスーツを着用し、動きやすさとタフなイメージを強調。ジャンプスーツには、レース用のプロテクターやベルトが施され、戦闘的な雰囲気を醸し出しています。メイクアップはほぼナチュラルで、汗や汚れを強調することで、過酷なレース環境でのリアリティを表現。ヘアスタイルは、シンプルなポニーテールで、戦闘中も邪魔にならない実用的なスタイルが採用されています。このミニマルなデザインは、ケースの強さと実直な性格を視覚的に補強しています。
ヘネシー所長(ジョーン・アレン)
ヘネシーの衣装は、権力と冷酷さを象徴するフォーマルなデザインが特徴です。彼女はダークカラーのスーツやコートを着用し、刑務所の支配者としての威厳を表現。スーツのシャープなラインとモノトーンの配色は、彼女の冷徹な性格を強調しています。メイクアップは、薄いファンデーションに濃いアイラインとリップを施し、威圧感のある顔立ちを際立たせています。ヘアスタイルは、タイトにまとめられたアップスタイルで、一切の乱れがない完璧さが彼女のコントロール力を象徴。この対照的な衣装とメイクは、ケースの粗野なスタイルと明確に差別化され、物語の階級構造を視覚的に表現しています。
全体として、衣装やメイクは、キャラクターの個性や立場を強調しつつ、ディストピア的な世界観を補強する役割を果たしています。特に、女性キャラクターのデザインは、アクション映画におけるステレオタイプを避け、強さとリアリティを優先した点で評価されています。
あらすじ
2012年、経済危機により治安が悪化したアメリカ。民営化されたターミナル・アイランド刑務所では、囚人たちが武装した改造車で戦う「デス・レース」が開催され、ネット中継で莫大な利益を生み出しています。元レーサーのジェンセン・エイムズ(ジェイソン・ステイサム)は、妻殺しの冤罪で収監され、冷酷な所長ヘネシー(ジョーン・アレン)からレースへの出場を強制されます。ジェンセンは、伝説のレーサー「フランケンシュタイン」のマスクをかぶり、ナビゲーターのケース(ナタリー・マルティネス)と共にレースに挑みます。レースは、機関銃やミサイルで武装した車両によるデスマッチで、勝利すれば自由が与えられる一方、敗者は死を意味します。ジェンセンは、ライバルのマシンガン・ジョー(タイリース・ギブスン)や他の凶悪な囚人たちと戦いながら、ヘネシーの陰謀と自身の無実を証明する鍵を探ります。レースが進む中、ジェンセンとケースは信頼を築き、脱獄と復讐の計画を立てます。果たして、ジェンセンは生き残り、自由と真実を手に入れられるのか?
解説
『デス・レース』は、1975年の『デス・レース2000年』のリメイクですが、オリジナルが持つブラックユーモアや社会風刺を抑え、より現代的なアクションスリラーとして再構築されています。監督のポール・W・S・アンダーソンは、『バイオハザード』シリーズで培った派手なアクション演出を本作に投入し、迫力あるカーチェイスと爆破シーンを展開。オリジナルでは一般市民を轢くことでポイントを稼ぐ過激なルールがありましたが、本作では囚人同士のデスマッチに焦点を当て、暴力描写をレース内の戦闘に集中させています。この変更により、倫理的な議論を避けつつ、純粋なアクション映画としてのエンターテインメント性を高めています。
映画のテーマは、自由、冤罪、権力の腐敗です。ジェンセンの冤罪は、アメリカの司法制度や民営化された刑務所の闇を暗示し、ヘネシーの冷酷な支配は資本主義の搾取を象徴しています。一方で、ジェンセンとケースの絆や、コーチ(イアン・マクシェーン)との師弟関係は、絶望的な環境下での人間性を描き、物語に情感を加えています。視覚的には、暗く荒廃した刑務所のセットデザインや、改造車の重厚な造形がディストピア感を強化。音楽も、ヘビーなロックサウンドがレースの緊張感を盛り上げます。
批評面では、カーチェイスの迫力とステイサムのアクションスターとしての魅力が高く評価された一方、ストーリーの単純さやキャラクターの深みの欠如を指摘する声もありました。それでも、B級アクション映画としての爽快感と、90分強のコンパクトな上映時間で観客を引き込む構成は、娯楽作品として成功しています。
キャスト
- ジェンセン・エイムズ/フランケンシュタイン:ジェイソン・ステイサム
- エリザベス・ケース:ナタリー・マルティネス
- ヘネシー所長:ジョーン・アレン
- マシンガン・ジョー:タイリース・ギブスン
- コーチ:イアン・マクシェーン
- パチェンコ:マックス・ライアン
- リスター:フレデリック・ケーラー
- ガンナー:ジェイコブ・バルガス
スタッフ
- 監督・脚本:ポール・W・S・アンダーソン
- 製作:ポール・W・S・アンダーソン、ジェレミー・ボルト、ポーラ・ワグナー
- 製作総指揮:ロジャー・コーマン、デニス・E・ジョーンズ
- 撮影:スコット・ケヴァン
- 編集:ニーヴン・ハウィー
- 音楽:ポール・ハスリンジャー
- 配給:ユニバーサル・ピクチャーズ(米国)、東宝東和(日本)
総括
『デス・レース』は、ジェイソン・ステイサムのアクションスターとしての魅力を最大限に引き出した、迫力満点のB級アクション映画です。ナタリー・マルティネスとジョーン・アレンの対照的な演技、ディストピアを反映した衣装とメイク、緊迫感溢れるカーチェイスが、観客を90分間のスリリングな体験に引き込みます。社会風刺は控えめながら、自由と正義を求める物語は普遍的な共感を呼び、娯楽作品としての完成度の高さを示しています。
レビュー 作品の感想や女優への思い