『エクステリトリアル』は、2025年4月30日よりNetflixで配信開始のドイツ製アクションスリラー。元特殊部隊のシングルマザー、サラが、フランクフルトのアメリカ領事館で突如失踪した息子を捜す。治外法権の舞台で、彼女の戦闘スキルと母の愛が試される緊迫の109分。監督はクリスティアン・ツバート、主演はジャンヌ・グルソー。
基本情報
- 邦題：エクステリトリアル
- 原題：Exterritorial
- 公開年：2025年
- 製作国：ドイツ
- 上映時間：109分
- ジャンル：アクション、スリラー
あらすじ
サラ・ウルフ（ジャンヌ・グルソー）は、元特殊部隊員のシングルマザー。アフガニスタンでの過酷な任務でPTSDを負い、亡夫の祖国であるアメリカへの移住を夢見て、幼い息子ジョシュ（ヒクソン・ガイ・ダ・シルバ）と共にフランクフルトのアメリカ領事館を訪れます。移住手続きのため、ジョシュをプレイルームに残し受付に向かったわずかな隙に、ジョシュが忽然と姿を消します。必死に捜索するサラに対し、領事館職員は「子供など最初からいなかった」と主張し、監視カメラにもジョシュの存在は記録されていません。治外法権の領事館ではドイツ当局の介入が許されず、サラは孤立無援の状況に追い込まれます。
疑心暗鬼に苛まれながらも、元特殊部隊員としてのスキルを駆使し、サラは息子を探し始めます。調査を進める中で、領事館内で軟禁されているキラ（レラ・アボヴァ）という女性と出会います。キラの父親はロシアの大物で、マネーロンダリングの証拠を握っているため命を狙われていることが判明。ジョシュの失踪は、この国際的な陰謀と繋がっている可能性が浮上します。サラは、領事館職員エリック（ダグレイ・スコット）や警備員モーリッツ（エマニュエル・フェルマー）らと対峙しながら、息子の行方と陰謀の真相を追い求めます。時間との戦いの中、彼女の過去のトラウマと母としての執念が交錯し、壮絶なアクションと心理戦が展開されます。果たしてサラはジョシュを救い出し、領事館の闇を暴けるのか――。
女優の活躍
本作の主演を務めるジャンヌ・グルソー（サラ・ウルフ役）は、フランス出身の女優で、ドラマ『パックス・マッシリア：抗争の街』などで知られていますが、本作で一躍注目を集めました。彼女の演技は、元特殊部隊員としてのタフさと、息子を失った母親の脆さを見事に融合させ、観客の感情を強く揺さぶります。特に、アクションシーンでの身体能力は圧巻で、格闘や銃撃戦において男性俳優と遜色ない迫力を発揮。レビューでは「男性に殴られても立ち上がる姿がリアルで感動的」と高く評価されています。サラのPTSDによるフラッシュバックの場面では、微妙な表情や震える声で内面的な葛藤を表現し、アクションだけでなく心理ドラマとしての深みを加えています。彼女の存在感は、物語の緊張感と感情的な軸を支える要であり、視聴者から「かっこいいヒロイン」「母の強さが印象的」と称賛されています。
また、レラ・アボヴァが演じるキラ・ウォルコワも重要な役割を担います。キラは、領事館内で軟禁される謎めいた女性として登場し、サラと協力しながら物語の鍵を握るキャラクター。レラの演技は、恐怖と抵抗の間で揺れる複雑な感情を繊細に表現し、サラとの対比で物語に深みを加えています。彼女の登場シーンは少なくとも、陰謀の核心に迫る存在感が際立ちます。
女優の衣装・化粧・髪型
ジャンヌ・グルソーの衣装は、サラのキャラクター性を反映した実用的かつタフなデザインが特徴です。主にダークカラーのカーゴパンツ、フィット感のあるタンクトップ、革製のブーツを着用し、特殊部隊員の過去を彷彿とさせます。物語が進むにつれ、戦闘で服が破れたり血で汚れたりする描写が、彼女の過酷な状況を視覚的に強調。アクションシーンでは動きやすさを優先したシンプルな装いですが、領事館に入る最初のシーンでは、移住手続きという日常的な目的に合わせたカジュアルなジャケットとジーンズを着用し、母親らしい柔らかさも表現されています。
化粧はほぼナチュラルで、PTSDに悩むサラの疲れた表情を強調するため、薄いメイクにやや青白い肌トーンが採用されています。戦闘シーンでは汗や傷が加わり、化粧が剥がれることで彼女の生々しい闘争心が際立ちます。レビューでは「美人なのにタフなアクションができる意外性」が評価されており、このナチュラルなメイクが彼女のリアルな魅力を引き立てています。
髪型は、肩より少し長いブロンドヘアをポニーテールや無造作に下ろしたスタイルで統一。アクションシーンでは髪が乱れることで、サラの必死さが視覚的に伝わります。特に、格闘中に髪が顔にかかるシーンは、彼女の人間らしさと戦士としての強さを同時に表現。レラ・アボヴァのキラは、対照的にロングヘアを緩くウェーブさせたスタイルで、軟禁された女性の儚さと気品を表現。衣装はシンプルなドレスや拘束感のある服で、彼女の置かれた状況を象徴しています。
解説
『エクステリトリアル』は、治外法権（extraterritoriality）をテーマにしたサスペンスアクションで、領事館という特殊な空間を舞台に、母の愛と国家間の陰謀が交錯する物語です。タイトルが示す「治外法権」は、領事館がドイツ当局の司法権が及ばない場所であることを指し、主人公サラが孤立無援で戦う緊迫感を高めています。この設定は、観客に「誰が敵か味方か」「息子の失踪は現実か幻覚か」といったサスペンス要素を提供し、予測不能な展開で引き込みます。
監督クリスティアン・ツバートは、『コリーニ事件』（2019）で法廷ドラマの緊張感を描いた手腕を活かし、本作ではアクションと心理戦を巧みに融合。フランクフルトとウィーンで撮影された本作は、ウィーンの旧経済大学の建物を使った領事館のセットがリアリティを加えています。特に、領事館内の閉鎖的な空間での戦闘シーンは、カメラワークと照明で息詰まる緊張感を演出。サラのPTSDによるフラッシュバックは、物語に心理的な深みを加え、単なるアクション映画を超えた人間ドラマとしての魅力を持たせています。
一方で、レビューでは「展開が予測可能」「領事館の警備の甘さが不自然」といった批判も見られます（、）。確かに、陰謀の全貌や結末はある程度定型的なアクション映画の枠内に収まる部分があり、斬新さに欠ける印象も。しかし、ジャンヌ・グルソーのアクションと感情表現の力強さが、これらの欠点を補って余りある魅力となっています。Filmarksでの平均スコア3.4点（4701件のレビュー）は、賛否両論ながらも一定の支持を集めていることを示します。
本作の見どころは、サラの「母の強さ」とアクションの融合です。彼女が息子を守るために領事館内で暴れ回る姿は、観客に感情的な共感を呼び起こし、特にアクションシーンは「母強し」のテーマを体現。国際的な陰謀やPTSDといった重いテーマを扱いつつ、エンターテインメントとしての軽快さも保っています。
キャスト
- サラ・ウルフ：ジャンヌ・グルソー…元特殊部隊員のシングルマザー。息子ジョシュの失踪を機に、領事館内で戦いを繰り広げる主人公。
- エリック・キンチ：ダグレイ・スコット…アメリカ領事館の職員。サラと対立しながらも、物語の鍵を握る人物。
- イリーナ（キラ・ウォルコワ）：レラ・アボヴァ…領事館内で軟禁されている女性。ロシアの大物の娘で、陰謀の中心人物。
- ドノヴァン軍曹：カヨデ・アキニエミ…領事館の警備員。サラの行動を阻む存在。
- ジョシュ：ヒクソン・ガイ・ダ・シルバ…サラの幼い息子。失踪が物語のきっかけとなる。
- アイリーン：ラダ・レイ…領事館の職員の一人。サラの捜索に影響を与える。
- デボラ・アレン：アナベル・マンデン…領事館内の重要人物。
- モーリッツ・アニオル：エマニュエル・フェルマー…警備員。サラと敵対する役割。
- ジョアンナ：ニナ・リウ…脇役として登場する領事館関係者。
スタッフ
- 監督・脚本：クリスティアン・ツバート…『コリーニ事件』や『Bad Banks』で知られるドイツの監督。緻密なストーリーテリングが特徴。
- 製作：ガースティン・シュミット・バウアー…コンスタンティン・フィルム所属のプロデューサー。
- 製作総指揮：オリバー・ベルビン、クリスティン・ローズ…本作の制作を統括し、国際的な視点でプロジェクトを推進。
- 撮影：マティアス・ペッチュ…ウィーンのセットを活かした臨場感ある映像を担当。
- 美術：ハイケ・ランゲ、ウエリ・クリステン…領事館の閉鎖的な空間をリアルに再現。
- 音楽：サラ・バローネ…緊張感と感情的なシーンを強調するスコアを提供。
まとめ
『エクステリトリアル』は、母の愛と元特殊部隊員のスキルが交錯するアクションスリラーとして、ジャンヌ・グルソーの迫真の演技とクリスティアン・ツバート監督の緊張感ある演出が光る作品です。治外法権の領事館という特殊な舞台設定、PTSDや国際的陰謀といったテーマが、物語に深みとリアリティを加えています。衣装や髪型はキャラクターの背景を反映し、特にサラのタフさと母親らしさを両立させたデザインが印象的です。一部で「展開が読める」との批判はあるものの、アクションと感情のバランスが取れた作品として、幅広い視聴者に楽しめる内容となっています。Netflixで配信中の本作は、アクション映画ファンはもちろん、親子の絆や心理ドラマに興味がある方にもおすすめです。
レビュー 作品の感想や女優への思い