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60年代イギリスの映画『欲望』にみるファッション

「見どころ」にPR表現を含みます。

1967年に公開されたミケランジェロ・アントニオーニ監督の映画『欲望』(原題:Blow-Up)は、1960年代の「スウィンギング・ロンドン」を象徴する作品であり、そのファッションは当時のイギリス若者文化やストリート・カルチャーのトレンドを鮮やかに反映しています。以下に、この映画のファッションの特徴を詳細に解説します。

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スウィンギング・ロンドンの背景

1960年代のロンドンは、ビートルズやローリング・ストーンズ、ミニスカートのデザイナーであるマリー・クワント、モデルのツイッギーなど、音楽やファッションのアイコンが世界的に注目を集めた時代です。この「スウィンギング・ロンドン」と呼ばれるムーブメントは、若者の反骨精神や自由な表現を重視し、伝統的なオートクチュールからストリート発のポップで大胆なスタイルへとファッションの主戦場が移行しました。『欲望』は、この活気あふれるカルチャーを背景に、ファッション・フォトグラファーの主人公トーマス(デヴィッド・ヘミングス)の視点でその時代の空気感を捉えています。

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映画『欲望』のファッションの特徴

映画のファッションは、モッズカルチャー、ミニスカート、カジュアルなストリートスタイル、そしてファッション業界のグラマラスな要素が融合したものです。以下はおもなファッションのポイントです。

モッズ・ファッションの影響

モッズ(Mods)は、1960年代のイギリスで流行したサブカルチャーで、細身のスーツ、タイトなシャツ、スクーター、ミリタリーコートなどが特徴です。映画では、主人公トーマスがこのモッズスタイルを体現しています。

具体例

トーマスは、細身のテーラードジャケットやタイトなパンツを着用し、モダンで洗練されたルックを披露します。特に、彼のスタジオでのシーンでは、シャープなカットのジャケットに白いシャツを合わせ、シンプルながらもスタイリッシュなコーディネートが見られます。このスタイルは、モッズの「クールで都会的」な美学を反映しています。

素材と色

モノクロやダークトーンのスーツが多く、時折ポップな色(赤や緑)のアクセントが使われることもあります。これは、60年代の若者が伝統的な英国スタイルに反抗しつつ、個性を表現した結果です。

ミニスカートと女性のファッション

特徴

1960年代はミニスカートが革命的なファッションアイテムとして登場した時代で、マリー・クワントやアンドレ・クレージュがその普及に貢献しました。映画では、モデル役のヴェルーシュカやジェーン・バーキン(端役で出演)らが、ミニスカートやボディコンシャスなドレスを着用し、女性の解放感とセクシュアリティを強調しています。

具体例

ヴェルーシュカのフォトシュート・シーンでは、幾何学模様のミニドレスやタイトなトップスが登場し、60年代のポップアート的な感性を表現。ジェーン・バーキンは、カジュアルなミニスカートにブーツを合わせたルックで、ストリートの「チェルシーガール」風のスタイルを体現しています。

アクセサリー

幅広のヘッドバンドや大きなサングラス、膝丈のロングブーツが頻繁に登場。これらは、ツイッギーやブリジット・バルドーのような当時のファッションアイコンにインスパイアされたものです。

カジュアルで反骨的なストリートスタイル

特徴

映画では、ファッション業界の華やかさだけでなく、ストリートのラフなスタイルも描かれます。トーマスが公園や街を歩くシーンでは、カジュアルなシャツやジーンズ、ミリタリー風のジャケットが登場し、ヒッピーやモッズの影響を受けた若者の自由な精神を表現。

具体例

トーマスのオープンカラーのシャツやカーキ色のジャケットは、モッズとヒッピーの折衷的なスタイルを象徴。女性キャラクターでは、ヴァネッサ・レッドグレーヴ演じる謎の女性が、シンプルなトップスとスカートを着用しつつ、動きやすさを重視したカジュアルな装いを見せます。

色と柄

ポップな色合い(オレンジ、グリーン、イエロー)やサイケデリックな柄が、60年代後半のヒッピー文化の影響を示しています。

フォトシュートのグラマラスな衣装

©Blow Up 1967

特徴

トーマスのスタジオでのフォトシュートシーンは、60年代のファッション業界の最先端を象徴。モデルたちが着る衣装は、実験的でアート性の高いデザインが特徴です。

具体例

ヴェルーシュカのシーンでは、メタリックな素材やプラスチックを使った前衛的なドレスが登場。これは、クレージュやパコ・ラバンヌのようなデザイナーが当時提案していた未来的なファッションを反映しています。また、ボリュームのあるつけまつげやキャットアイメイクも、ツイッギー風の「モッズメイク」として際立っています。

ヘアスタイル

ショートカットのピクシーカットやボブが主流で、ヴィダル・サスーンの影響を受けた幾何学的なヘアデザインが目立ちます。

ファッションの文化的意義

若者の自己表現

『欲望』のファッションは、単なる装いを超えて、若者の反体制的な姿勢や自己表現の手段として機能しました。ミニスカートは女性の自由と解放を象徴し、モッズの細身のスーツは伝統的な英国紳士スタイルへの挑戦でした。

ファッションとアートの融合

映画のビジュアルは、ポップアートやサイケデリックアートの影響を受けており、衣装の色や柄は当時のアートシーンと密接にリンクしています。トーマスのスタジオは、ファッションとアートが交錯する空間として描かれています。

スウィンギング・ロンドンの記録

『欲望』は、1960年代のロンドンのストリートカルチャーを記録した貴重な映像資料でもあります。カーナビー・ストリートやキングスロードのチェルシー地区のファッションが、映画を通じて世界に発信されました。

主要キャラクターのファッション例

トーマス(デヴィッド・ヘミングス)

細身のスーツ(ダークグレーやネイビー)に白いシャツ、細いタイを合わせたモッズスタイル。カジュアルシーンでは、オープンカラーのシャツやカーキジャケットで、ストリートの気軽さを演出。

ヴェルーシュカ(モデル役)

幾何学模様のミニドレスやメタリックなトップスで、ファッション業界の最先端を表現。大胆なメイク(つけまつげ、キャットアイライナー)とショートヘアで、モッズメイクを完成。

©Blow Up 1967

ジェーン(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)

シンプルなトップスとスカートの組み合わせで、ミステリアスかつ実用的なスタイル。控えめな色合い(グレーやベージュ)で、物語のサスペンス性を強調。

ジェーン・バーキン(端役)

ミニスカートとブーツの組み合わせで、チェルシーガール風の若々しいルック。

現代への影響

『欲望』のファッションは、現代のレトロブームや60年代リバイバルに大きな影響を与えました。ミニスカートやモッズスタイルは、現代のデザイナー(例:グッチやプラダ)によって再解釈され、サイケデリックな柄やロングブーツも定期的にトレンドとして復活しています。また、映画自体がファッション業界の裏側を描いた先駆的作品として、現代のファッション映画(例:『プラダを着た悪魔』)にも影響を与えています。[](https://otocoto.jp/column/lnis1218/)

 

まとめ

『欲望』のファッションは、モッズのシャープなスーツ、ミニスカートの解放感、サイケデリックな色柄、そしてファッション業界の前衛的なデザインが融合した、1960年代スウィンギング・ロンドンの縮図です。トーマスやヴェルーシュカの衣装は、当時の若者文化の自由と反骨精神を体現し、現代でもインスピレーションの源として愛されています。この映画を観ることで、60年代のファッションの革新性とその文化的背景を深く理解できるでしょう。

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