フロリダ州立大学(Florida State University、略称FSU)はアメリカ合衆国フロリダ州タラハシー市にある公立研究大学。1851年に設立された歴史ある大学で、現在約44,000人の学生が在籍しています。17の学部で277の学位プログラムを提供し、研究支出は年間4億ドルを超えています。国立高磁場研究所を有し、セミニオールズのスポーツチームで知られる名門校です。出身女優にフェイ・ダナウェイ、クリスティン・ラヒ、シェリル・ハインズ、トレイラー・ハワード、ナンシー・カルプ、ケリー・プレストン、ローレン・ハットン、ジェシカ・ビールたち。
歴史
フロリダ州立大学の歴史は、19世紀初頭に遡ります。1823年、アメリカ議会はフロリダ地域に高等教育機関を設立する計画を立て、1838年のフロリダ州憲法で学校用地の割り当てを定めました。1845年にフロリダが州として承認されると、州議会はスワニー川の東と西にセミナリー(神学校)を設置することを決定しました。1851年、フロリダ州議会は教師養成と農業、科学、法学、市民教育のための2つのセミナリーを設立し、西フロリダセミナリーは1856年にタラハシーに割り当てられました。このセミナリーは1857年に開校し、元フロリダ工科大学の敷地を利用しました。1858年には近隣のタラハシー女子アカデミーを吸収し、共学となりました。
南北戦争期(1860-1865年)には、フロリダ軍事・大学学院となり、バレンタイン・メイソン・ジョンソン校長のもとで士官候補生を訓練しました。在籍者は250名に達し、1865年のナチュラルブリッジの戦いでは連邦軍に対する防衛に参加し、タラハシーをミシシッピ川以東で唯一占領されなかった南部連合の首都として守りました。降伏後、連邦軍がキャンパスを兵舎として使用しましたが、1865年9月に学業が再開されました。現在、FSU陸軍ROTCは「ナチュラルブリッジ1865」の戦闘ストリーマーを掲揚する権利を有し、アメリカの大学で4校のみの栄誉です。
1883年、西フロリダセミナリーはフロリダ大学文学部として再編され、多様な学科を設置しましたが、州議会の資金不足で1885年に解散しました。1901年にはフロリダ州立学院となり、二次教育から大学レベルへ移行しました。1905年のバックマン法により、フロリダの高等教育は人種・性別で分離され、白人男性のためのフロリダ州立大学、白人女性のためのフロリダ女子学院(後にフロリダ州立女子学院)、アフリカ系アメリカ人学生のための州立工業学院(現フロリダ農工大学)となりました。これにより、共学から女性のみの教育機関へ転換しました。寄付者ジェームズ・ウェストコット3世の遺産により支えられ、1911年のフロリダ最高裁判決で存続が確認されました。1933年までに全米3番目の規模の女子大学となり、フロリダ初のPhi Beta Kappa支部を有しました。
第二次世界大戦後、GI法案による学生急増に対応するため、1947年にフロリダ大学タラハシー支部(TBUF)がキャンパスに設置され、男性学生が受け入れられました。州議会はこれを共学に戻し、フロリダ州立大学と改称しました。ビジネス、ジャーナリズム(1959年廃止)、図書館学、看護、社会福祉の新学部が設立され、ストロージア図書館(1956年)やタリー体操場(1956年)などの施設が整備されました。
1960年代から1970年代にかけて、FSUは人種統合、女性権利、ベトナム反戦運動の中心地となり、「南部のバークレー」と呼ばれました。1962年にマクスウェル・コーティニーが初のアフリカ系アメリカ人学部生、1965年にフレッド・フラワーズが初の黒人アスリート(野球)、1966年にレニー・ホールがバスケットボール、1968年にカルビン・パターソンがフットボールで活躍しました。1972年、マーガレット・メンゼル教授が性差別訴訟を主導し、1975年の和解で給与・昇進の偏見調査と政策改正が実現しました。1980年にはゲイ学生ビル・ウェイドが「ビリー・ダーリング」としてミス・ホメカミングに選ばれ、LGBTQ+問題を象徴しました。現在、大学はLGBTを含む保護グループに対する差別を禁止しています。
2000年に医学部が設立され、医師不足解消に寄与し、2008年にキング生命科学ビルが完成しました。2013年、FSUとフロリダ大学がフロリダ初の「卓越大学」に指定され、研究・教育基準に基づく追加資金を得ました。悲劇的に、2014年の銃乱射事件(3人負傷、犯人射殺)と2025年の事件(2人死亡、6人負傷、犯人負傷)が発生しました。FSUのマスコット「セミニオールズ」はフロリダ・セミニオール族の承認を得ており、文化的なパートナーシップを象徴しています。1990年代以降、スーパーコンピューティングの進歩や芸術プログラムの遺産を誇り、地域キャンパス(パンamaシティなど)や医学サイト(デイトナビーチ、オーランド、ペンサコーラ、サラソタ)を拡大しています。この歴史を通じて、FSUは教育の先駆者として進化を続けています。
教育
フロリダ州立大学は、17の学部・学校から構成され、103の学士課程、107の修士課程、6の専門修士課程、63の博士課程、3の専門職学位を含む277の学位プログラムを提供しています。カーネギー分類で「R1: 博士課程大学 – 非常に高い研究支出と博士産出」の最高ランクに位置づけられ、2023年の研究開発支出は4億1,446万ドル(全米79位)です。トップ10公立研究大学を目指し、アメリカ大学協会(AAU)加盟を志向しています。国立高磁場研究所(世界最大の高磁場ラボ)を主催し、タキソールの商業開発に貢献しました。58のセンター、研究所、施設を有し、年間予算30億ドル、経済影響155億ドルです。南部大学学校協会(SACSCOC)から認定を受けています。
主な学部と設立年は以下の通りです。
- 芸術・科学学部(1901年):生物学、化学、英語、歴史、数学、物理学、政治学、心理学、社会学などをカバー。犯罪学(全米5位)、臨床心理学(27位)、統計学(30位)で高い評価。
- 教育学部(1901年):全米21位。教師教育、教育リーダーシップ、特殊教育を提供。
- 人文科学学部(1901年):健康、人間パフォーマンス、栄養、スポーツ管理を専門。
- 音楽学部(1901年):演奏、作曲、音楽教育のBM、MM、DMA学位。
- 美術学部(1905年):ダンス学校(1929年)、演劇学校(1973年)を含むBFA、MFA。
- 社会福祉学部(1928年):BSW、MSW、PhD。全米42位。
- アスクュー行政・政策学校(1947年):公共行政、政策の学位。
- コミュニケーション学部(1947年):情報学部、コミュニケーション障害科学学校を含む。
- デッドマン接客学部(1947年):接客管理、グローバルクラブ運営の学位。全米44位(学部)。
- ビジネス学部(1950年):会計、金融、管理、マーケティング、リスク管理。
- 看護学部(1950年):BSN、MSN、DNP、PhD。博士課程全米33位。
- 犯罪学・刑事司法学部(1951年):犯罪学、刑事司法の学位。全米5位。
- 法学部(1966年):JD、LLM。全米47位。
- 社会科学・公共政策学部(1973年):公共政策(46位)、公衆衛生(79位)。
- 工学部(1982年、FAMU共同):化学、土木、コンピュータ、電気、産業、バイオメディカル、機械工学。全米92位。
- 映画芸術学部(1989年):映画制作、脚本、プロデュースの学位。
- 医学部(2000年):MD学位、初等医療焦点(78位)。地域キャンパス(デイトナビーチ、フォートピアース、オーランド、ペンサコーラ、サラソタ、タラハシー)で臨床訓練。
- 応用研究学部(2010年):教育、健康、人間パフォーマンス。
- ジム・モラン起業学部(2017年):起業イノベーションの学位。
- 医師助手実践学校(2017年):医師助手プログラム。
人気専攻は芸術・科学、ビジネス、社会科学、教育、人文科学です。2023年秋入学:74,038申請者、25.4%合格率、平均GPA 4.26、SAT 1250-1380、ACT 27-31。2年次継続率96%、4年卒業率75%、6年83%。2024年秋在籍:44,308人(学部生32,356、大学院生11,952)、女性58%、50州・130カ国から。主な出身州:ジョージア、ニューヨーク、ニュージャージー。国際学生2,500人(中国、インド、韓国、パナマ、トルコ)。全米ランキング54位(公立19位)、グローバル310位。国際プログラム(11位)はロンドン、フィレンツェ、バレンシア、パナマシティにセンター。CAREセンターは初代・低所得・ホームレス・養子縁組学生を支援。図書館15施設、400万冊、1,064データベース。主なもの:ロバート・M・ストロージア(本館)、ポール・A・M・ディラック科学、クロード・ペッパー、ウォーレン・D・アレン音楽、法学研究センター。博物館:ジョン&メイブル・リンリング美術館(サラソタ、1万点超)、FSU美術館。
FSUの教育は、研究重視の環境で多様な学生を育み、卒業生の就職率とリーダーシップを支えています。学部間連携が強く、海洋研究所や高性能材料研究所などの専門施設が革新的な学習を促進します。留学生支援やメンターシッププログラムが、グローバルな視野を養います。このように、FSUは質の高い教育を通じて、社会に貢献する人材を輩出しています。
出身女優
フロリダ州立大学は、多くの著名な女優を輩出しており、彼女たちはハリウッドや舞台で活躍しています。以下に主な出身者を挙げます。
- フェイ・ダナウェイ:アカデミー賞受賞女優。『ネットワーク』などで知られています。フロリダ州立大学とフロリダ大学で学びましたが、演劇への情熱からボストン大学へ移籍。その後、輝かしいキャリアを築きました。
- クリスティン・ラヒ:エミー賞・ゴールデングローブ賞受賞。『チアーズ』や映画で活躍し、FSUの演劇プログラムで基礎を学びました。
- シェリル・ハインズ:コメディアン・女優。『カーズ』シリーズや『カーディナルス』で人気。FSU在学中からコメディに親しみました。
- トレイラー・ハワード:『モンク』シリーズの主演女優。FSU卒業後、テレビドラマで成功を収めました。
- ナンシー・カルプ:『ビバリーヒルビリーズ』のミス・ハサウェイ役で有名。FSU(当時女子学院)でジャーナリズムを学び、1943年卒業。
- ケリー・プレストン:『ジェリー・マグワイア』出演。FSU在学中に演技を始め、ジョン・トラボルタの妻としても知られました。
- ローレン・ハットン:モデル兼女優。FSU出席後、ファッションと映画界でアイコンとなりました。
- ジェシカ・ビール:『セブン・デイズ』シリーズ主演。一時FSU在籍し、演技の基盤を形成しました。
これらの女優たちは、FSUの芸術・演劇教育の質の高さを示す好例です。彼女たちの成功は、大学のカリキュラムが創造性を育む証左と言えます。
出身女性アスリート
フロリダ州立大学は、女性スポーツの強豪として知られ、多くの優秀な女性アスリートを輩出しています。セミニオールズの女子チームは19回の全国優勝を誇り、以下に主な出身者を紹介します。
- ガブリエル・リース(Gabrielle Reece):ビーチバレーボール選手。1987-1990年にFSUでプレーし、ブロック記録を保持。プロキャリアで殿堂入り。
- ジェシカ・メンドーサ(Jessica Mendoza):ソフトボール選手。オリンピック金メダリスト(2004、2008)。FSUでオールアメリカンに選出され、解説者としても活躍。
- レベッカ・ロボ(Rebecca Lobo):バスケットボール選手。WNBAスター。FSUで活躍後、プロとコーチとして貢献。
- スー・ガルカンタス(Sue Galkantas):バスケットボール選手。1983年ウェイド・トロフィー最終候補。FSU女子バスケのレジェンド。
- ロネーカ・ホッジス(Roneeka Hodges):バスケットボール選手。WNBAデトロイト・ショック所属。FSUで得点記録を樹立。
- タナエ・デイビス=ケイン(Tanae Davis-Cain):バスケットボール選手。WNBAデトロイト・ショックでプレー。FSUの攻撃の要。
- ミッシー・ヒギンズ(Missy Higgins):サッカー選手。FSUの全国優勝に貢献。プロチームで活躍。
- スー・セミロー(Sue Semrau):バスケットボールコーチ。FSU女子チームを率い、複数回のACCタイトル獲得。殿堂入り候補。
これらの女性アスリートたちは、FSUのスポーツプログラムがジェンダー平等と卓越性を促進する場であることを体現しています。彼女たちの業績は、後輩たちにインスピレーションを与え続けています。
レビュー 作品の感想や女優への思い