『ガンパウダー・ミルクシェイク』(2021年)は、ナヴォット・パプシャド監督のアクションスリラー。カレン・ギランが主演の殺し屋サムを演じ、母(レナ・ヘディ)や図書館員(ミシェル・ヨー、アンジェラ・バセット、カーラ・グギーノ)と協力し、少女を守るため犯罪組織と戦う。ネオン輝くビジュアルと女性主導の物語が特徴。
基本情報
- 邦題:ガンパウダー・ミルクシェイク
- 原題:Gunpowder Milkshake
- 公開年:2021年
- 製作国:仏国、米国、独国
- 上映時間:114分
- ジャンル:アクション
見どころ
古今東西の名アクション場面を引用し、生身のアクションとバイオレンスとユーモアが見事に融合。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のカレン・ギラン主演。
女優の活躍
『ガンパウダー・ミルクシェイク』は、カレン・ギラン、レナ・ヘディ、ミシェル・ヨー、アンジェラ・バセット、カーラ・グギーノといった豪華な女性キャストが揃い、女性主導のアクション映画として注目されました。以下に、各女優の活躍を詳しく見ていきます。
カレン・ギラン(サム役)
カレン・ギランは、主人公の殺し屋サムを演じ、映画の中心として物語を牽引しました。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のネビュラ役で知られるギランは、本作で感情を抑えたクールな殺し屋を演じつつ、少女エミリー(クロエ・コールマン)との絆を通じて人間性を垣間見せました。特に、腕が麻痺した状態で武器を手にテープで固定して戦うシーンは、彼女の身体能力とコミットメントを示し、観客に強い印象を与えました。批評家からは「スターとしての存在感がやや弱い」との指摘もありましたが、彼女のアクション場面はジャッキー・チェンやジョン・ウィックの影響を受けたダイナミックな振付で魅力的でした。
レナ・ヘディ(スカーレット役)
レナ・ヘディは、サムの疎遠な母で元殺し屋のスカーレットを演じました。『ゲーム・オブ・スローンズ』のサーセイ役で知られるヘディは、冷酷さと母性を行き来する複雑なキャラクターを表現。サムとの再会シーンでは、感情的な対話を通じて母娘の絆を掘り下げ、アクション場面では銃と格闘技を駆使した迫力ある活躍を見せました。彼女の存在感は、ギランを上回ると評価されることもあり、物語に深みを加えました。
ミシェル・ヨー(フローレンス役)
ミシェル・ヨーは、図書館員の一人で殺し屋のフローレンスを演じました。『グリーン・デスティニー』や『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』で知られるヨーは、58歳とは思えない敏捷さと優雅さで、ロシアンマフィアとの戦いで鎖を使った戦闘シーンを披露。特に、クライマックスの図書館での戦闘では、剣術と格闘技を融合させたアクションで観客を魅了しました。批評家は、ヨーのアクションが映画のハイライトの一つと称賛しましたが、役の深みが不足しているとの声も。
アンジェラ・バセット(アンナ・メイ役)
アンジェラ・バセットは、図書館員のリーダー、アンナ・メイを演じ、ショットガンやハンマーを操る迫力あるアクションを見せました。『ブラックパンサー』の女王役で知られるバセットは、威厳と強さを兼ね備えたキャラクターを演じ、特にスカーレットとの過去の関係性をほのめかすシーンで感情的な重みを加えました。彼女のアクションは後半に集中し、クライマックスでの戦闘シーンは「圧倒的」と評価されました。
カーラ・グギーノ(マドレーヌ役)
カーラ・グギーノは、図書館員のマドレーヌ役で、穏やかながらも致命的な殺し屋を演じました。『ウォッチメン』のシルク・スペクター役で知られるグギーノは、チームの知的な支柱として、武器の隠し場所である図書館の運営を担う役どころ。彼女のアクション場面は控えめながら、チームの結束を象徴する存在感を発揮。批評家からは、ヨーやバセットに比べ出番が少ないとの指摘もありました。
クロエ・コールマン(エミリー役)
子役のクロエ・コールマンは、サムが守る8歳の少女エミリーを演じました。『ビッグ・リトル・ライズ』などで知られるコールマンは、幼いながらも機転を利かせ、サムを助ける勇敢なキャラクターを好演。彼女の無垢な存在が、映画の感情的な核となり、ギランとの化学反応が物語に温かみを加えました。批評家は、コールマンの自然な演技を「映画の救い」と称賛しました。
あらすじ
『ガンパウダー・ミルクシェイク』は、犯罪組織「ザ・ファーム」に所属する殺し屋サム(カレン・ギラン)の物語です。12歳のとき、母スカーレット(レナ・ヘディ)が任務中に姿を消し、サムはファームに育てられ、冷徹な殺し屋に成長しました。15年後、彼女はファームの危険な仕事を請け負うエリート殺し屋として活躍しています。
ある日、サムはファームの命令で大金を盗んだ男を殺す任務を受けますが、そこで男の娘エミリー(クロエ・コールマン)が巻き添えになる危機に直面。サムはエミリーを守るため、ファームに背き、少女を連れて逃亡します。ファームの幹部ネイサン(ポール・ジアマッティ)は、サムを裏切り者とみなし、彼女を追う刺客を送ります。絶体絶命の状況で、サムは疎遠だった母スカーレットと再会。スカーレットは、かつての仲間である図書館員たち――アンナ・メイ(アンジェラ・バセット)、フローレンス(ミシェル・ヨー)、マドレーヌ(カーラ・グギーノ)――が運営する武器庫を拠点にしていました。
サムとエミリーは、図書館員たちの助けを借り、ファームの刺客や敵対するマフィアのボス、ジム・マカリスター(ラルフ・イネソン)と対決。壮絶な戦いの末、3世代の女性たちは信頼を築き、団結してファームに立ち向かいます。物語は、母娘の絆と女性の結束を描き、ネオン輝く世界で繰り広げられるアクションとユーモアで締めくくられます。
解説
『ガンパウダー・ミルクシェイク』は、ジョン・ウィックや『キル・ビル』に影響を受けた、ネオンカラーのビジュアルと女性主導のアクションが特徴の映画です。監督ナヴォット・パプシャドは、イスラエル出身で『ビッグ・バッド・ウルブズ』(2013年)で評価された新進気鋭の監督。本作は彼の英語圏デビュー作であり、視覚的なスタイルとアクションの派手さを重視した作品です。撮影監督マイケル・セレシンのカラフルな照明とセットデザインは、ジョン・ウィックの暗黒世界を彷彿とさせつつ、独自のポップな美学を確立。図書館を武器庫とする設定や、ジェーン・オースティンの本に隠された銃など、遊び心のある要素が散りばめられています。
しかし、批評家からは脚本の弱さが指摘されています。パプシャドとエフド・ラヴスキの脚本は、ストーリーの一貫性やキャラクターの深みに欠け、ジョン・ウィックや『レオン』のような先駆作品の模倣に終始しているとの声も。感情的なつながり、特にサムとスカーレットの母娘関係や、図書館員たちの過去については掘り下げが不足し、アクションの派手さに比べて物語の厚みが薄いと批判されました。
一方、アクション場面は高く評価されています。特に、ミシェル・ヨーの鎖を使った戦闘や、サムの麻痺した腕での戦いは、独創性とスリルに満ちており、ジャッキー・チェンのスタントやタランティーノの暴力美学を思わせます。女性キャラクターの結束を強調する「フェミニスト」なテーマは、表面的との批判もあるものの、3世代の女性が活躍する姿は観客に新鮮な印象を与えました。Rotten Tomatoesでは60%の承認率、Metacriticでは47/100と賛否両論でしたが、視覚的な魅力とキャストの魅力でカルト的な人気を博しています。
キャスト
- カレン・ギラン(サム):ファームの殺し屋で、感情を抑えたクールなヒロイン。
- レナ・ヘディ(スカーレット):サムの母で、元殺し屋。母娘の絆を再構築。
- ミシェル・ヨー(フローレンス):図書館員の殺し屋。鎖を使ったアクションが印象的。
- アンジェラ・バセット(アンナ・メイ):図書館員のリーダー。ショットガンとハンマーで戦う。
- カーラ・グギーノ(マドレーヌ):図書館員の知的な支柱。チームを支える。
- クロエ・コールマン(エミリー):サムが守る8歳の少女。物語の感情的な核。
- ポール・ジアマッティ(ネイサン):ファームの幹部。冷酷な裏切り者。
- ラルフ・イネソン(ジム・マカリスター):敵対するマフィアのボス。
- フレイヤ・アラン(若きサム):回想シーンで登場。
- アダム・ナガイティス(ヴァージル)、マイケル・スマイリー(リッキー博士)、サミュエル・アンダーソン(デビッド):敵役や脇役として出演。
スタッフ
- 監督:ナヴォット・パプシャド。イスラエル出身、『ビッグ・バッド・ウルブズ』で知られる。
- 脚本:ナヴォット・パプシャド、エフド・ラヴスキ
- 音楽:ハイム・フランク・イルフマン。スパゲティ・ウェスタン風の音楽で映画の雰囲気を強化。
- 撮影:マイケル・セレシン。ネオンカラーのビジュアルで独特の世界観を構築。
- 編集:ニコラス・デ・トス。アクション場面のテンポを支えた。
- 製作会社:ザ・ピクチャー・カンパニー、バベルスベルグ・スタジオ、スタジオカナル、Canal+、Ciné+。
- 配給:Netflix(米国、カナダ、北欧)、スタジオカナル(フランス、ドイツ、英国など)。
まとめ
『ガンパウダー・ミルクシェイク』は、カレン・ギラン、ミシェル・ヨー、レナ・ヘディら豪華女優陣によるアクションスリラーで、ネオン輝くビジュアルと女性の結束を描いた作品です。サムが少女エミリーを守るため、母や図書館員たちと協力し、犯罪組織に立ち向かう物語は、ジョン・ウィックや『キル・ビル Vol.1』の影響を受けつつ、独自のポップな魅力を持っています。脚本の深み不足が批判されたものの、ヨーの鎖戦闘やギランの麻痺アクションなど、アクション場面は高評価。豪華キャストとスタイリッシュな演出で、カルト的な人気を獲得しました。



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