『ハント・ロワイヤル』は、デヴィッド・リッパーとジョン・F・サンダース脚本、エリザベス・ブレイク＝トーマス監督、ミーナ・スヴァーリ、ミッキー・ローク、キャスパー・ヴァン・ディーン、ジェシカ・ベルキン出演の2022年製作の米国アクション・スリラー映画。
2022年7月、米国ミシシッピ州で撮影が終了したことが発表されました。2023年3月、Uncork’d Entertainmentが本作の米国配給権を獲得したことが発表され、2023年4月4日に米国とカナダで公開。
ハント・ロワイヤル
- 原題：Hunt Club
- 公開年：2022年
- 製作国：米国
- 上映時間：88分
- ジャンル：アクション、スリラー
- 視聴：U-next
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見どころ
ヒロイン役のミーナ・スヴァーリほか、ミッキー・ローク、キャスパー・バン・ディーンなど豪華キャストが共演。華麗なガンアクション、肉体アクションが満載。
あらすじ
恋人と破局したカサンドラは、ダイナーでジャクソンとジャクソンの父カーターと出会います。カーターの島で行われる狩りに参加し、成功すると10万ドルの賞金を獲得できるとのこと。一行はすぐに島へと出発するのですが、その夜、カサンドラはカーターに襲われ…。
ファム・ファタル
顔写真付きキャスト一覧を見て、『ハント・ロワイヤル』に出演した女優陣で期待したいのが次の方々です。
- ミーナ・スヴァーリ（カサンドラ役）
- マヤ・ストージャン（テッサ役）
- ジェシカ・ベルキン（レクシー役）
ミーナ・スヴァーリの『ハント・ロワイヤル』での演技は本作の最大の見どころの一つであり、彼女のキャリアでも際立つパフォーマンスといえます。
スヴァーリが演じるカサンドラは、恋人との別れで傷心の女性から、命を賭けたサバイバルの中で覚醒するタフなヒーローへと変貌するキャラクター。スヴァーリはこの複雑な感情の変化を、繊細かつ力強く表現しています。序盤では、失意と脆弱さをにじませる表情や控えめな仕草で、カサンドラの心の揺れを丁寧に描き、観客に彼女の人間性を共感させます。たくに、孤島に到着し、狩りの本質を知った瞬間の恐怖と混乱は、彼女の目と声の震えを通じてリアルに伝わります。
物語が進むにつれ、カサンドラが被害者から反撃者へ変わる過程でのスヴァーリの演技は圧巻。恐怖を乗り越え、知恵と勇気を振り絞る場面では、身体的なアクションと感情の爆発が見事に融合。特に、敵を罠にはめるシーンや、絶望の中で希望を見出す一瞬の表情は、彼女の演技力の幅を示しています。低予算のB級映画という制約の中でも、スヴァーリはカサンドラに深みを与え、単なるステレオタイプのヒロインに留まらない立体的なキャラクターを造形。彼女の熱演は、脚本の粗さを補い、クライマックスのカタルシスを強めています。
『アメリカン・ビューティー』や『アメリカン・パイ』での繊細な役柄とは異なる、アクションとサバイバルを軸にした役どころで、スヴァーリは新たな一面を見せ、Filmarksのレビューでも「彼女の頑張りが光る」と評価されています。全体的に、ミーナ・スヴァーリの演技は『ハント・ロワイヤル』の心臓部であり、もし彼女の存在感がなければ作品の魅力は半減していました。
感想
『Hunt Club』の物語は、恋人と喧嘩別れしたカサンドラ（ミーナ・スヴァーリ）が、ダイナーで出会った親子に誘われ、賞金10万ドルを賭けた“狩り”に参加するため孤島へ向かうところから始まります。しかし、彼女が到着した先で待っていたのは、富裕層の男たちが女性を獲物として狩る残虐なゲームでした。カサンドラは他の女性たちとともに命を賭けたサバイバルを強いられ、やがて自らがハンターとなって反撃に転じる展開が描かれます。
このプロットは、1932年の『猟奇島』や近年の『ハンガー・ゲーム』シリーズなど、人間狩りジャンルの系譜に連なるもので、格差社会や権力の濫用を風刺する要素を含んでいます。
まず、本作の強みは、緊張感のあるアクション場面とミーナ・スヴァーリの熱演にあります。カサンドラ役のスヴァーリは、恐怖に震える被害者から、知恵と勇気で立ち向かうタフな女性へと変貌する過程を説得力たっぷりに演じ切っています。とくに後半の逆襲シーンでは、彼女の感情の爆発と身体的なアクションが観客を引き込み、単なる犠牲者ではないキャラクターの強さを際立たせています。また、ミッキー・ローク演じる冷酷なゲームの主催者や、キャスパー・ヴァン・ディーン演じる傲慢なハンターたちの存在感も、物語に嫌悪感と同時に倒すべき敵としての魅力を与えています。これにより、観客はカサンドラの復讐劇に感情移入しやすく、クライマックスのカタルシスはB級映画らしい爽快感を提供します。
一方で、本作にはいくつかの欠点も目立ちます。最大の課題は、ストーリー展開の粗さと脚本の浅さです。Filmarksでの平均スコア2.1点（57件のレビュー）という低評価からもわかるように、物語の導入部がとくに冗長で、カサンドラがなぜ危険なゲームに簡単に参加してしまうのか、動機付けが不足しています。狩りの開始までが間延びしており、緊張感が途切れがちな点は、88分というコンパクトな上映時間にもかかわらず、テンポの悪さを感じさせます。さらに、登場人物の背景や心理描写が薄く、とくにハンター側の動機が「単なる悪趣味な富裕層」というステレオタイプに終始しているため、深みのある社会風刺には届いていません。この点は、同じ人間狩りジャンルの『ザ・ハント』（2020年、Filmarks平均3.5点）のような、ブラックコメディや政治的含意を織り交ぜた作品と比較すると、物足りなさが際立ちます。
演出面では、低予算ながらも孤島の閉鎖的な雰囲気や、狩りの残酷さを表現するゴア描写は一定の効果を上げています。ただし、グロテスクなシーンは控えめで、R15+指定ほどの過激さは感じられず、ホラーやスリラーとしてのインパクトは中途半端。視覚的な工夫も少なく、アクション場面以外でのカメラワークや編集は平凡で、B級映画特有の「過剰なまでの勢い」が不足している印象を受けます。音楽も劇中の緊張感を高めるにはやや弱く、全体的に「あと一押し」が欲しい仕上がりです。
観客の反応を見ると、Filmarksや映画.comのレビューでは「女性の逆襲が痛快」「単純にアクションを楽しみたい人向け」と肯定的な声がある一方、「ストーリーが雑」「期待外れ」との批判も多く、評価が大きく分かれています。個人的には、本作はB級映画としての割り切りと、カサンドラのサバイバル劇に徹した潔さが魅力だと感じました。
深いテーマ性や洗練された脚本を求める観客には物足りないものの、気軽に楽しむアクション・スリラーとしては一定の満足感を提供します。とくに、女性が男性優位の暴力に対して立ち上がる展開は、現代的なジェンダー視点からも共感を呼び、単なる娯楽作以上のメッセージ性を感じさせます。
総じて、『ハント・ロワイヤル』はB級映画の枠内で楽しめるアクション・スリラーですが、脚本の粗さや演出の平坦さが足を引っ張り、傑作には届かない作品です。ミーナ・スヴァーリの熱演と逆襲劇の爽快感は見どころで、気軽にスリルを味わいたい観客にはおすすめできます。ただし、ストーリーの深みやジャンル特有の過激さを期待すると、やや肩透かしを食らうかもしれません。Filmarksの低評価や、Google Playでの25%のTomatometerも反映するように、観る前の期待値を調整することが、本作を楽しむ鍵となります。
解説
『ハント・ロワイヤル』は単純明快なストーリー。人間狩りをテーマにした過激なプロットと、女性主人公の逆襲劇が特徴のB級映画として、賛否両論を巻き起こしました。狩りで10万ドルを獲得するチャンスとばかりに、定期的に女性を島に誘い込む男性ハンターたちが、今度は自分たちが狩られる側であることを知ります。
2022年7月、米国ミシシッピ州で撮影が終了したことが発表されました。2023年3月、Uncork’d Entertainmentが本作の米国配給権を獲得したことが発表され、2023年4月4日に米国とカナダで公開。
この映画は、8人の批評家からのレビューに基づき、Rotten Tomatoesで25％の評価を受けています。MovieWebのウィル・セイヤーはこの映画に否定的な批評を与え、「不均一で、しばしば見づらいB級映画」と言いました。
キャスト
- ミーナ・スヴァーリ（カサンドラ役）
- ミッキー・ローク（ヴァージル役）
- キャスパー・ヴァン・ディーン（カーター役）
- マヤ・ストージャン（テッサ役）
- ウィル・ペルツ（ジャクソン役）
- ジェシカ・ベルキン（レクシー役）
- ジェレミー・ロンドン（プレストン役）
- ジェイソン・ロンドン（テディ役）
- デイヴィッド・リッパー（コンラッド役）
- キップ・トリブル（ウィリアムズ役）
ミーナ・スヴァーリとミッキー・ロークは2002年の『Spun』で共演しましたが、シーンを共有していません。また、『Domino』でも共演し、今度は短い場面を共有。
レビュー 作品の感想や女優への思い