『パーフェクト・ケア』は、J・ブレークソンが脚本・監督を務めた2020年の米国ブラックコメディ映画。 主演はロザムンド・パイク、エイザ・ゴンサレス、ピーター・ディンクレイジ、クリス・メッシーナ、メイコン・ブレア、アリシア・ウィット、ダミアン・ヤング、共演にアイシア・ウィットロック・ジュニア、ダイアン・ウィースト。この映画は、国選後見人として、（危険なマフィアのボスの母親など）弱い立場の高齢者の資産を差し押さえ、売却することで生計を立てている詐欺師の女性を描いています。
『パーフェクト・ケア』は2020年9月12日に第45回トロント国際映画祭でワールドプレミア上映され、2021年2月19日に地域によってNetflixやAmazonプライムを通じてストリーミング配信されました。同作品は批評家から好評を博し、パイクは第78回ゴールデングローブ賞で映画主演女優賞（コメディ・ミュージカル部門）を受賞しています。
パーフェクト・ケア
- 原題：I Care a Lot
- 公開年：2020年
- 製作国：英国
- 撮影地…米国マサチューセッツ州デダム、ノーフォーク郡登記所など
- 上映時間：118分
- ジャンル：コメディ、クライム、スリラー
予告編はこちら。
製作会社
- ブラック・ベア
- クリンプル・ベック
販売代理店 / ISA
- STXインターナショナル
販売代理店
- エレベーション・ピクチャーズ
- ジョイ・シネマ
- GEMエンターテインメント
- Amazonプライム
- エロス・ワールドワイド
- Netflix
ほか。
見どころ
『ゴーン・ガール』のロザムンド・パイクが、大胆不敵で貪欲な悪徳後見人を演じ新境地を見せる。共演に『ゲーム・オブ・スローンズ』のピーター・ディンクレイジ。
あらすじ
“完璧なケア”で裁判所からの信頼も厚い法定後見人のマーラ。だが、実際は高齢者の金を搾り取る悪徳後見人。次の獲物に資産家のジェニファーを定めますが、不穏な出来事が次々発生。身寄りのないはずのジェニファーの背後からロシアン・マフィアが現れ…。
ファム・ファタル
『パーフェクト・ケア』での役作りのために、ロザムンド・パイクはエリザベス・ホームズが登場するTEDトークをたくさん聴きました。また、マーラがスピンクラスに夢中になっていたため、ロザムンドはそれまでやったことのなかったフィットネス・エクササイズのやり方を学びました。ちなみに、彼女は、ゴールデングローブ賞にノミネートされたことを知りませんでした。
感想
『パーフェクト・ケア』のロザムンド・パイクの演技は素晴らしく、ピーター・ディンクレイジもいい仕事をしています。主人公2人を一転して悪役にしたのは面白い点。私はロザムンドのキャラクターが憎くて憎くてたまりませんでした。しかし、それこそがこの映画を魅力的なものにしています。二人の敵役にほんの少し共感することがあったから。とくに、マーラとその相棒の「女子力」を喜ぶような場面もありました。
映画『パーフェクト・ケア』は、狡猾で人を操る人間がいかにシステムを悪用するかについて、本当に考えさせてくれます。法律を利用することができれば、腐敗や不正は起こりうるということに、本当に目を見開かされました。確かに、欠点や信じられないような部分もあったけれど（とくに彼女の車からの脱出や、あまりにバカな子分たち）、私は終始釘付けに。純粋にロザムンドの演技のためだけにでも、見る価値がある映画です。
解説
（ネタバレあり）
マーラ・グレイソン（ロザムンド・パイク）は詐欺師で、自分の世話ができないように見せかけた年長者の後見権を認めるよう法制度を説得しながら生計を立てています。彼女は老人たちを介護施設に入所させ、そこで鎮静剤を投与して外界との接触を絶たせます。そして、彼らの家や資産を売り払い、その代金を着服。マーラと裁判所は、ある男性フェルドストローム（メイコン・ブレア）が介護付き老人ホームに無理やり入ろうとしたため、母親との面会を拒否。マーラは法廷で、自分は介護のプロであり、資産を売却することで報酬を得ていると主張。さらに、彼女は病人を子供たちから守っているとも述べます。その後、フェルドストロームは裁判所の外で彼女を脅し、彼女が殺されることを望むと発言。
カレン・エイモス医師（アリシア・ウィット）はマーラに、ジェニファー・ピーターソン（ダイアン・ウィースト）という、パートナーも近親者もいない裕福な退職者について知らせます。マーラとビジネス・パートナーのフランは、ジェニファーを詳細に監視し、彼女が家を所有し、優良な保険に加入し、3つの銀行口座をもち、そのすべてに怪物のような利子がついていることを突き止めます。ジェニファーは認知症と錯乱に苦しんでいるとエイモス医師とともに（虚偽の）証言をしたため、裁判官はマーラを後見人に任命。マーラはジェニファーを介護付き住宅へ移し（携帯電話は没収）、すぐにジェニファーの家具、車、家を売る作業に取りかかります。ジェニファーの持ち物を探っていたマーラは、時計、金の延べ棒、紙幣、隠しダイヤの入った貸金庫の鍵を発見し、それを取り上げて隠してしまいます。
マーラのガールフレンドでビジネスパートナーのフラン（エイザ・ゴンサレス）が、ジェニファーの家を売却するためにリフォームを手伝っていると、アレクシ・イグナティエフ（ニコラス・ローガン）という男がタクシーでやってきて、ジェニファーを迎えに来たと言います。フランはジェニファーが引っ越したことを告げます。アレクシは大いに悩んで雇い主のローマン・ルニョフ（ピーター・ディンクレイジ）のもとへ戻ります。やがて犯罪王であるローマンがジェニファーの息子であると明らかに。彼はアレクシを脅し、ジェニファーに何が起こったのか調査するよう命令。マフィアの弁護士ディーン・エリクソン（クリス・メッシーナ）は、ジェニファーを解放するためにマーラに現金15万ドルを支払うと申し出ますが、彼女は500万ドルでしか応じないと断ります。エリクソンはマーラを脅し、裁判に持ち込みます。裁判官はジェニファーがエリクソンを雇ったことを証明できないとして訴えを却下。
その後、ビジネスパートナーのフランは、ジェニファー・ピーターソンの個人IDが、かつてがポリオで死んだ幼児から盗まれたIDであることを突き止めます。ジェニファーがマーラに本当の身分を教えることを拒むと、マーラは不動産管理人のサム・ライス（ダミアン・ヤング）と手を組み、ジェニファーの基本的欲求の多くを引き出させます。母の貸金庫が荒らされているのを見つけたローマンは、彼女を連れ去ろうと3人の暴漢をジェニファーの施設へ送り込みます。この暴力的な試みは失敗し、マーラは警察が男の一人アレクシを逮捕するのを手伝います。フランの警察の連絡先によると、アレクシは火事で死んだとされる2人のマフィアのボスの兄弟だとのこと。母親の救出に失敗したローマンは、エイモスを自分のオフィスで殺します。その知らせを聞いたマーラとフランは、以前の犠牲者の売れ残り物件のひとつへ引っ越します。その施設でジェニファーはマーラを襲い、精神科病棟へ移されます。
その後、フランが自宅で襲われている間にマーラが誘拐されます。マーラはローマンの前へ引き出され、ジェニファーの釈放に1千万ドルを要求します。彼は拒否し、仲間がマーラをクロロホルムで気絶させ、車で湖へ送ります。彼女は逃げ出し家へ戻ると、ガスが家中に充満する中、フランが殴られて意識を失っていました。二人は間一髪で爆発を逃れ、別の売れ残り物件に逃げ込み、マーラはそこに隠したダイヤモンドをフランに見せます。彼女はフランに、そのダイヤを使って別の場所で新しい生活を始めるか、復讐を果たすかの選択を迫ります。
マーラとフランはローマンを探し出し、誘拐します。ローマンが麻薬でハイになり、身分証明書もない状態で発見されるために、彼女たにはローマンの体に麻薬を押し込み、彼の車を燃やし、森の小道に置き去りにします。案の定、ローマンはジョギング中の男に発見され、”救出”のきっかけとなります。身分証明書のないローマンは、判事によって「身元不明者（John Doe）」に指定され、マーラがローマンの法的後見人に任命されます。マーラはローマンを訪ね、1000万ドルで彼とジェニファーを後見人から解放すると申し出ます。代わりにローマンは、彼女の詐欺をもとに世界的ビジネスで提携をするよう取引を持ちかけます。彼女はこれを受け入れ、ローマンの金とコネを利用して、瞬く間に強大な力をもつ超富豪のCEOとなります。ローマンはジェニファーと再会し、マーラはフランと結婚。
自分の成功についてTVのインタビューを受けていたマーラは、フェルドストロームに撃たれます。フェルドストロームは涙ながらに、自分の母親は誰にも会わせてもらえず、介護付き老人ホームで孤独死したと報告。フェルドストロムが逮捕されると、フランは助けを求めて叫び、マーラは彼女の腕の中で息を引き取ります。
キャスト
2019年5月、J・ブレークソンが脚本・監督を務める本作の主演にロザムンド・パイクが決定したことが発表されました。6月にはピーター・ディンクレイジとエイザ・ゴンサレスが追加。2019年7月、クリス・メッシーナとダイアン・ウィーストがキャストに加わり、同月から撮影が開始されました。
ロザムンド・パイクは、主役が当初エミリー・ブラントにオファーされていたと明かしました。
スタッフ
ロザムンド・パイクは、『ゴーン・ガール』（2014年）で担当した美容師を使い、マーラの厳しいボブ・カットを作り上げました。
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