『ふたりだけの恋の島』(原題:Il sole nella pelle)は1971年製作のイタリア映画。絶海の孤島で文明を離れ、自由に生きる若い男女のラブストーリー。オルネラ・ムーティの鮮烈なデビュー作で、自然美と愛が描かれる。監督はジョルジョ・ステガーニ・カゾラーティ。
基本情報
- 邦題:ふたりだけの恋の島
- 原題:Il sole nella pelle
- 英題:Summer Affair
- 公開年:1971年
- 製作国:イタリア
- 上映時間:90分
- ジャンル:恋愛
あらすじ
15歳の少女リザ(オルネラ・ムーティ)は、仲間たちと共に「ポリネシア」と呼ばれるヒッピーの秘境へ遠乗りに行く。そこで彼女は、ギターを手に持ち、物思いにふけるような瞳を持つ青年ロベルト(アレッシオ・オラーノ)と出会う。二人はすぐに心を通わせ、文明の虚飾を嫌い、自然の中で自由に生きることを選ぶ。孤島での生活を通じて、彼らは愛を育みながら、物質的な束縛から解放された純粋な関係を築いていく。しかし、外部からの影響や現実の厳しさが二人の楽園に影を落とし、愛と自由の間で葛藤する姿が描かれる。
女優の活躍
『ふたりだけの恋の島』は、オルネラ・ムーティのデビュー作として知られ、彼女の若々しく自然体な演技が際立つ。15歳のリザ役を演じたムーティは、少女らしい無垢さと情熱を巧みに表現し、観客に強い印象を与えた。彼女の演技は、文明から離れた孤島での自由な生活を体現するキャラクターに深みを与え、物語の情感を高めている。特に、感情の機微を表現するシーンでは、初出演とは思えない存在感を発揮。ムーティはこの作品を皮切りに、後にイタリア映画界で名を馳せる女優となり、国際的な評価を得る礎を築いた。
女優の衣装・化粧・髪型
オルネラ・ムーティ演じるリザの衣装は、1970年代初頭のヒッピー文化を反映し、シンプルで自然に近いスタイルが特徴。ゆったりとしたコットンのドレスや、素朴な布地のトップスとスカートが中心で、孤島の生活にふさわしい軽やかな装いとなっている。化粧は最小限に抑えられ、彼女の若々しい美しさを強調するナチュラルメイクが施された。髪型は、自然に流れるロングヘアで、時折風に揺れる姿が、自由と純粋さを象徴する演出として効果的だった。これらの要素は、キャラクターの無垢さと物語のテーマである「文明からの解放」を視覚的に表現している。
解説
『ふたりだけの恋の島』は、1970年代のヒッピー文化や反物質主義の潮流を背景に、純粋な愛と自由を求める若者たちの姿を描いた作品。イタリア映画らしい情熱と詩情が融合し、自然の美しさと人間の感情が丁寧に織り交ぜられている。監督のジョルジョ・ステガーニ・カゾラーティは、本作でデビューを飾り、視覚的な美しさと感情的な深みを追求。特に、孤島の風景を活かした撮影は、物語のテーマである「自然回帰」を強調している。音楽もジャンニ・マルケッティによるもので、時代感と情感を高める役割を果たした。ただし、公開当時は日本での知名度が限られ、批評家の注目も控えめだった。
キャスト
- オルネラ・ムーティ(リザ役):15歳の少女で本作の主人公。デビュー作で鮮烈な印象を残す。
- アレッシオ・オラーノ(ロベルト役):ギターを持つ青年で、リザの恋の相手。
- クリス・アブラム:脇役として物語を補完。
- ルイジ・ピスティリ:物語の背景を支える重要な役どころ。
スタッフ
- 監督・原案・脚本:ジョルジョ・ステガーニ・カゾラーティ
- 製作:ニコロ・ポミリア、ジャンニ・ミネルヴィーニ
- 撮影:セルジオ・ドフィツィ
- 音楽:ジャンニ・マルケッティ
- 配給:東和(日本)
レビュー 作品の感想や女優への思い