中国女子バレー

『中国女子バレー』は2020年に公開された中国と香港合作のスポーツドラマ映画で、中国女子バレーボールチームの栄光の歴史を感動的に描いた作品。監督のピーター・チャン（陳可辛）が手がけ、国際的に高い評価を得ました。1981年の世界選手権優勝から2016年のリオデジャネイロオリンピック金メダル獲得までを軸に、チームの苦難と勝利の軌跡を追い、女性たちの情熱と団結を讃えます。上映時間は134分。

基本情報
女優の活躍
女優の衣装・化粧・髪型
あらすじ
解説
キャスト
スタッフ
おわりに

基本情報

邦題：中国女子バレー
原題：奪冠
英題：Leap
公開年：2020年
製作国・地域：中国、香港
上映時間：134分

OAFF2021『中国女子バレー / Leap / 奪冠』予告編 Trailer

『中国女子バレー』Leap 監督：ピーター・チャン（陳可辛）Director: Peter Ho-sun CHAN｜2020年｜中国・香港｜134分作品詳細はこちら details

女優の活躍

本作では、数々の名女優が輝かしい活躍を見せ、映画の感動を深めています。特に、主演を務めた国際的巨匠、巩俐（コン・リー）は、成人した郎平（ラオ・ピン）監督役を熱演。彼女は、中国女子バレーボールチームの鉄の女として知られる郎平の複雑な内面を、厳しくも優しい眼差しで表現しました。巩俐の演技は、チームを率いるリーダーシップの強さと、過去の挫折を抱える人間的な脆さを絶妙に融合させ、観客の心を強く揺さぶります。彼女の存在感は、単なるスポーツ指導者ではなく、人生の師としてチームメンバーを導く姿に表れ、クライマックスの試合シーンでは、観衆を沸かせるほどの迫力あるパフォーマンスを披露。批評家からも「巩俐のキャリア最高峰の演技」と絶賛され、中国映画界に新たな金字塔を打ち立てました。

また、若い郎平役を演じた周韵（チョウ・ユン）は、若き日の情熱と葛藤を鮮やかに体現。1980年代の選手時代を象徴するシーンで、厳しいトレーニングに耐えながら成長する姿を、汗と涙を交えたリアルな演技で魅せました。周韵の活躍は、単に身体的なパフォーマンスに留まらず、家族との別れや国家の期待に苦しむ心理描写が秀逸で、彼女の繊細な表情変化が物語の情感を豊かにしています。彼女は、この役を通じてバレーボール選手の肉体美と精神力を融合させ、若手女優としての飛躍を遂げました。

さらに、許穎（シュー・イン）演じる朱婷役や、呉冠霏（ウー・クァンフェイ）演じる輝若琪役なども見逃せません。許穎は、現代のエースアタッカーとして、力強いスパイクの演技とチームメイトへの献身的な支えを体現し、観客に勇気を与えます。一方、呉冠霏は、キャプテンとしてチームをまとめるリーダーシップを発揮し、歌姫としても知られる彼女の多才さが、感情豊かなセリフ回しに活かされています。これらの女優たちの活躍は、互いの化学反応を生み、チームの絆を視覚的に表現。全体として、女性たちの多様な魅力が交錯し、映画のテーマである「団結と勝利」を体現しています。彼女たちのパフォーマンスは、単なる演技を超え、実際のバレーボール選手たちの魂を借りたようなリアリティを放ち、観る者を感動の渦に巻き込みます。こうした女優陣の献身的な努力が、本作を単なるスポーツ映画から、普遍的な人間ドラマへと昇華させているのです。

女優の衣装・化粧・髪型

本作の女優たちの衣装、化粧、髪型は、時代背景とスポーツのダイナミズムを反映したリアリティあふれるデザインで、視覚的な魅力を高めています。まず、衣装面では、中国女子バレーボール代表の公式ユニフォームが中心。1980年代のシーンでは、赤を基調としたクラシックなジャージスタイルが採用され、袖なしのトップスとショーツが選手たちの引き締まったボディラインを強調。素材は通気性の良いポリエステルで、汗を吸収する機能性を重視しつつ、動きやすさを優先したシルエットです。現代パートでは、2016年リオオリンピック仕様のユニフォームを再現し、赤と白のストライプが入ったスリムフィットデザインが、速さとパワーを象徴。トレーニングシーンでは、ゆったりとしたトラックスーツやTシャツが用いられ、日常的な練習の厳しさを表現しています。オフシーンでは、シンプルなTシャツとジーンズ、またはエレガントなブラウスが登場し、選手たちのオフの柔らかさを際立たせます。これらの衣装は、デザイナーの細やかな配慮により、時代ごとのファッション変遷を自然に織り交ぜ、物語の流れをスムーズにしています。

化粧については、自然でアスレチックな美しさを追求。巩俐の郎平役では、試合中はほとんどメイクを落としたようなすっぴん風で、わずかな日焼け止めとリップのみ。汗で光る肌が、過酷な指導の現実を強調します。一方、記者会見シーンでは、ナチュラルなファンデーションと薄いアイラインで、プロフェッショナルな威厳を加えています。周韵の若い郎平役は、若々しいツヤ肌を活かした軽いベースメイクに、ピンク系のチークで健康的な血色を演出。試合後の涙で崩れたマスカラが、感情の爆発を象徴的に描きます。他の女優たちも、全体的にウォータープルーフの耐水性メイクを基調とし、激しい運動シーンでのリアリティを保ちつつ、クローズアップでは微妙な表情変化を際立たせるよう調整。化粧品ブランドの協力により、スポーツメイクの専門家が監修した結果、選手たちの「戦う女性」としての強靭さと美しさが融合しています。

髪型は、機能性とキャラクター性を両立させたスタイルが特徴です。巩俐の髪は、ショートボブにまとめ、ヘルメットのようなヘッドバンドで固定。指導者らしいシャープさを強調し、風になびく様子が情熱を表します。周韵の若い頃は、長い黒髪をハイポニーテールにし、試合中は汗で張り付く自然な乱れがリアル。現代の選手役女優たちは、ボブカットやお団子ヘアを採用し、動きを妨げないようピンで固定。許穎の朱婷役は、ストレートロングをサイドポニーでまとめ、パワフルな印象を。呉冠霏の輝若琪役は、ミディアムウェーブをハーフアップにし、リーダーらしい柔軟性を表現します。これらの髪型は、ヘアスタイリストのチームが、実際の試合映像を参考に再現。湿気や汗による変化を考慮したスタイリング剤を使用し、視覚的に選手たちの成長と時代感を語っています。全体として、衣装・化粧・髪型は、女優たちの身体性を最大限に引き出し、観客に没入感を与える重要な要素となっています。

あらすじ

物語は、1981年の東京世界選手権を舞台に幕を開けます。若き郎平（周韵）は、中国女子バレーボールチームのエースとして、厳しい練習に励む日々を送っていました。チームは、監督の厳格な指導のもと、互いに切磋琢磨し、ついに決勝でアメリカを破り、悲願の優勝を果たします。この勝利は、中国国民に希望を与え、郎平を国民的英雄に押し上げます。しかし、栄光の裏側で、郎平は家族との別れや過酷なプレッシャーに苦しみ、自身の限界を感じ始めます。

時が流れ、2000年代。引退した郎平（巩俐）は、アメリカでコーチを務めていましたが、母国からの要請で中国代表監督に復帰します。新チームは、才能豊かな若手選手たち――エースの朱婷（許穎）、キャプテンの輝若琪（呉冠霏）――を中心に再建されますが、内部の対立や怪我、国際的な強豪国との壁に直面。郎平は、自身の過去の経験を活かし、選手たちに「鉄の意志」を叩き込みます。2013年の世界選手権では惜敗するものの、チームは結束を強め、2016年のリオオリンピックへ挑みます。

リオの準決勝では、宿敵アメリカとの激戦。郎平の的確な指示と選手たちの粘り強いプレーで、土壇場での逆転勝利を収めます。決勝のセルビア戦では、朱婷の強力なスパイクとチームの完璧な連携が炸裂し、見事金メダルを獲得。中国全土が歓喜に沸く中、郎平は静かに涙を流し、35年にわたる自身のバレーボール人生を振り返ります。物語は、過去と現在が交錯するフラッシュバックを交え、勝利の喜びだけでなく、挫折と再生のドラマを丁寧に描き出します。最終的に、郎平の言葉「勝利は一瞬、努力は永遠」が、観客の胸に響きます。このあらすじは、単なるスポーツの勝利譚ではなく、女性たちの成長と国家の誇りを象徴する感動のサーガです。

解説

本作「奪冠」は、中国映画界の巨匠陳可辛監督が、中国女子バレーボールチームの実話を基に描いた叙事詩的な作品です。1981年の世界選手権優勝を「五星紅旗が五洲に舞う」象徴として位置づけ、以降の栄光と苦難を追うことで、中国のスポーツ史を国家叙事詩として昇華させています。監督の陳可辛氏は、香港映画の洗練された技法を活かし、ドキュメンタリー風のリアリズムとハリウッド風のエンターテイメントを融合。試合シーンの高速カットとスローモーションが、緊張感を高め、観客をコートサイドに引き込みます。

テーマ的には、女性エンパワーメントが核心。郎平を筆頭に、選手たちは伝統的なジェンダーロールを超え、身体と精神で世界に挑む姿を描きます。これは、中国社会の変革――改革開放期の希望から、現代のグローバル化――を反映し、ナショナリズムを煽りつつ、普遍的な「夢と努力」のメッセージを発信。批評家からは、「プロパガンダ的要素が強いが、感情の純度が高い」と評価され、中国国内では興行収入50億元超のメガヒット。一方、国際的には、スポーツ映画の定石を踏襲しつつ、文化的なニュアンスが新鮮とされ、第93回アカデミー賞中国代表に選出されました。

制作面では、実際の選手インタビューと映像を参考に、トレーニングキャンプを再現。女優たちは数ヶ月のバレーボール特訓を受け、リアルなプレーを体現しました。音楽は、勝利のテーマ曲「義勇軍進行曲」のアレンジを交え、愛国心を喚起。全体として、本作はスポーツの興奮を超え、人生のレジリエンスを讃える傑作。COVID-19禍での公開が、逆境を乗り越える象徴として、さらに共感を呼んだのです。こうした多層的な魅力が、世代を超えたファンを生み、中国映画のグローバル化を象徴します。