『ライブリポート』(原題:Line of Duty)は、2019年のイギリス・アメリカ合作のクライム・スリラー映画。少女誘拐事件をリアルタイムで追う警察官と女性リポーターの緊迫した64分の捜査を描く。主演はアーロン・エッカートとコートニー・イートン。監督はスティーヴン・C・ミラー。SNS時代ならではのメディアと正義の関係性を描いたアクションサスペンス。
基本情報
- 邦題:ライブリポート
- 原題:Line of Duty
- 公開年:2019年
- 製作国:英国、米国
- 上映時間:99分
- ジャンル:アクション、スリラー
- 配給:ギャガ
見どころ
過去にトラウマを抱えながらも誘拐された少女の救出に命を懸ける警察官をアーロン・エッカートが好演。少女誘拐事件からつながる想像を超えた結末に驚がくする。
あらすじ
アラバマ州バーミングハムを舞台に、少女が誘拐される事件が発生。警察に届いた映像には、透明な水槽に閉じ込められた少女と「64分後に死ぬ」という犯人のメッセージが映し出される。警察官フランク・ペニー(アーロン・エッカート)は、過去に誤射事件で子供を死なせてしまい、トラウマを抱えながら交通監視など軽微な業務に従事していた。ある日、容疑者を追跡中に遭遇した男を自衛のため射殺するが、その男が誘拐事件の重要参考人だったことが判明。少女の居場所がわからなくなり、ペニーは署長ヴォルク(ジャンカルロ・エスポジート)から停職処分を言い渡される。
一方、ネット配信サイト「Peaple.com」の若手リポーター、エイヴァ・ブルックス(コートニー・イートン)は、事件のライブ配信を企画。ペニーに捜査への協力を申し出、代わりにその様子を生配信することを条件に同行する。映像はSNSで瞬く間に拡散され、視聴者からの情報が寄せられるが、正しい情報と誤情報が錯綜。ペニーの過去の事件も明るみに出て、彼への信頼が揺らぐ中、タイムリミットが迫る。ペニーとエイヴァは、時に衝突しながらも互いの信念を認め合い、少女救出に向けて奔走。緊迫の64分間の中で、予想外の展開とアクションが繰り広げられる。
解説
『ライブリポート』は、現代のSNS時代におけるメディアの影響力と警察の職務(Line of Duty)をテーマにしたクライム・スリラーです。本作の最大の特徴は、リアルタイムで進行する64分間の捜査を、観客がまるでライブ配信を視聴するかのように体感できる点にあります。監督のスティーヴン・C・ミラーは、『大脱出2』などで知られるアクション映画の巧者であり、本作でもスピーディーな展開と緊張感あふれる映像で観客を引き込みます。特に、警官とリポーターというアナタログとデジタルの対比を通じて、世代間の価値観の違いや協力の重要性を描いています。
物語は、ペニーのトラウマと贖罪のテーマを中心に展開。彼の過去の過ちが現在の行動に影響を与え、少女救出への執念が彼を突き動かします。一方、エイヴァの視点を通じて、視聴者の参加が事件解決にどう影響するかが描かれ、SNSの光と影を浮き彫りにします。映画はB級アクションの要素を持ちつつも、荒唐無稽な展開やカーチェイス、派手なクラッシュシーンで娯楽性を高めており、「大味だが楽しい」と評価される一面も。ハリウッドらしい派手な演出と、集団心理を利用した感動的なラストは、観客にカタルシスを提供します。
女優の活躍
本作の主要な女優は、エイヴァ・ブルックス役のコートニー・イートンです。イートンはオーストラリア出身の若手女優で、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)や『キング・オブ・エジプト』(2016)で注目を集めました。本作では、野心的なネット配信リポーターとして、物語の推進力となる重要な役割を担っています。彼女の演じるエイヴァは、現代のミレニアル世代を体現するキャラクターで、SNSやライブ配信を活用して事件を追いかける姿は、新世代のジャーナリズムを象徴しています。
イートンの演技は、ペニーとの対比を通じて際立ちます。ペニーが「古臭い」正義感を持つ警官であるのに対し、エイヴァはテクノロジーを駆使し、視聴者との双方向性を重視するリポーター。物語冒頭では、彼女の軽快で自己中心的な態度がペニーとの衝突を生みますが、事件が進むにつれて互いを理解し、バディとしての絆を深めていく過程を自然に表現しています。特に、緊迫したアクションシーンでの機敏な動きや、感情的な場面での繊細な演技は、彼女の存在感を強く印象づけます。レビューでも「コートニー・イートンが大活躍」と評されており、物語のテンポを支える彼女のエネルギーが作品の魅力の一翼を担っています。
女優の衣装・化粧・髪型
コートニー・イートン演じるエイヴァの衣装は、現代的でカジュアルなスタイルが特徴です。彼女はネット配信リポーターという役柄上、実用性と若々しさを兼ね備えた服装が採用されています。主にダークカラーのデニムジャケットやタイトなパンツ、動きやすいスニーカーといった、カジュアルかつ機能的な衣装が中心。これにより、アクションシーンでの機敏な動きが強調され、視聴者に「リアルタイム感」を与えます。衣装は、現代の若者文化やSNS世代のトレンドを反映しつつ、過度に派手ではない控えめなデザインが選ばれており、キャラクターの「身近さ」を演出しています。衣装デザインはクリッター・ピアースが担当し、物語のテンポに合わせた実用的なスタイルを実現しています。
化粧はナチュラルメイクが中心で、リポーターとしてのプロフェッショナルな印象を与えつつ、過酷な捜査に耐えうる自然体な雰囲気を保っています。薄いファンデーションに、軽いアイメイクとリップが施され、汗や動きによる乱れもリアルに表現。特に、アクションシーンでの疲労感や緊張感を、化粧の変化でさりげなく示しています。
髪型は、シンプルなポニーテールやルーズなダウンスタイルが主で、動きやすさと若さを強調。髪色は自然なダークブラウンで、彼女のオーストラリア出身のエキゾチックな魅力を引き立てています。全体的に、エイヴァの外見は「現代のアクティブな女性」を体現しており、物語のスピード感やリアリティに貢献しています。
キャスト
- フランク・ペニー:アーロン・エッカート…過去の誤射事件でトラウマを抱える警察官。『ダークナイト』(2008)や『エンド・オブ・キングダム』(2016)で知られる実力派俳優が、勇気と不器用さを併せ持つキャラクターを熱演。
- エイヴァ・ブルックス:コートニー・イートン…ネット配信リポーター。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)での経験を活かし、若々しくエネルギッシュな演技で物語を牽引。
- ヴォルク署長:ジャンカルロ・エスポジート…ペニーの上司で、誘拐された少女の父親。『ブレイキング・バッド』などで知られる名優が、厳格かつ感情的な役を演じる。
- ケリー:ジェシカ・ルー…脇役として登場。『ARROW/アロー』などに出演経験あり。
- クローヴァー:ディナ・メイヤー…ペニーの同僚。『スターシップ・トゥルーパーズ』(1997)などで知られる。
- ディーン・ケラー:ベン・マッケンジー…捜査に関わる警官。『GOTHAM/ゴッサム』(2014-2019)の主演で有名。
スタッフ
- 監督:スティーヴン・C・ミラー…『大脱出2』(2018)や『エクストラクション』(2016)など、アクション映画で実績のある監督。テンポの良い演出が本作の持ち味。
- 脚本:ジェレミー・ドライスデール…リアルタイム進行のサスペンスを巧みに構築。
- 製作:マイルズ・ネステル、クレイグ・チャップマン、スキップ・ウィリアムソンほか…アーロン・エッカートも製作総指揮として参加。
- 撮影:ブランドン・コックス…手持ちカメラを活用し、臨場感あふれる映像を撮影。
- 音楽:ザ・ニュートン・ブラザーズ…緊張感を高めるサウンドトラックを提供。
- 美術:ニコ・ビランボングス…
- 衣装:クリッター・ピアース…
- 編集:スタン・サルファス
総括
『ライブリポート』は、64分間の緊迫したタイムリミットと、警察官とリポーターの異色バディによるサスペンスアクションが魅力の作品です。コートニー・イートンのフレッシュな演技と、アーロン・エッカートの渋い存在感が物語を牽引し、SNS時代のメディアと正義の関係性を描き出します。衣装や演出も現代的で、視聴者にリアルタイムの臨場感を提供。B級映画の枠を超えた娯楽性とテーマ性を持ち合わせた一作です。
レビュー 作品の感想や女優への思い