『LOL』（2012年）は、アメリカの青春ロマンティック・コメディ映画で、2008年のフランス映画『LOL (Laughing Out Loud)』のリメイク。監督はリサ・アズエロス。マイリー・サイラス、デミ・ムーア出演。高校生ローラの恋愛や友情、家族との葛藤を描く。現代のデジタル社会を背景に、ティーンエイジャーの成長物語を軽快に描いた作品。
基本情報
- 邦題：LOL
- 原題：LOL
- 公開年：2012年
- 製作国：米国
- 上映時間：97分
- ジャンル：ドラマ、コメディ
見どころ
ソフィー・マルソー主演のフランス映画をハリウッドリメーク。ティーンのアイドルとして人気を博したマイリー・サイラスが思春期の少女を熱演。等身大の演技が魅力的。
あらすじ
『LOL』（2012年）は、シカゴに住む高校生ローラ（マイリー・サイラス、通称“ロル”）を中心に展開する青春ドラマです。ローラは、ボーイフレンドのチャド（ジョージ・フィン）、親友のエミリー（アシュリー・ヒンショウ）、ジャニス（リナ・エスコ）、カイル（ダグラス・ブース）と共に普通の高校生活を送っています。夏休みが終わり新学期が始まると、ローラはチャドが浮気していたことを知り、彼と別れます。その後、親友のカイルがローラに想いを告白し、二人は新たな関係を築き始めます。しかし、カイルの親友であるチャドや、ライバルのアシュリー（アシュリー・グリーン）の存在が二人の関係を複雑にします。一方、ローラの母アン（デミ・ムーア）は、離婚後の生活の中で娘の成長と向き合う難しさに直面。ある日、アンがローラの日記を“偶然”読んでしまい、親子の間に溝があることに気づきます。ローラと友人たちは、YouTubeやiTunes、Facebookといったデジタル文化の中で、恋愛、友情、親子関係の葛藤を乗り越えながら成長していく姿が描かれます。物語は、バンド活動や学業、恋愛の悩みを通じて、ティーンエイジャーたちの現代的な生活を軽快に描写します。
女優の活躍
本作の中心となる女優はマイリー・サイラスとデミ・ムーアで、二人とも重要な役割を果たしています。マイリー・サイラスは、ディズニー・チャンネルの『ハンナ・モンタナ』で一躍有名になった後、本作でより成熟した役柄に挑戦。ローラ役では、ティーンエイジャーの感情の揺れや恋愛の喜びと痛みを表現し、彼女の演技は賛否両論を呼びました。一部の批評家は、彼女の演技が過剰で不自然だと指摘しましたが、ファンからは感情豊かな演技が支持されました。特に、カイルとのロマンスや母との対立シーンでは、マイリーのエネルギッシュな個性が光ります。
デミ・ムーアは、ローラの母アンとして、シングルマザーの複雑な心情を演じました。彼女の演技は、娘との距離感や再び恋愛を始める葛藤を繊細に表現し、作品に深みを加えています。しかし、一部のレビューでは、彼女の役柄が十分に掘り下げられていないとの声もあり、映画全体の脚本の弱さが彼女の演技の評価に影響を与えたようです。それでも、ムーアの存在感は、物語の親子関係の軸をしっかりと支えました。
脇を固めるアシュリー・グリーン（アシュリー役）やアシュリー・ヒンショウ（エミリー役）も、それぞれのキャラクターに個性を与え、ティーンエイジャーの友情や対立をリアルに表現。特にグリーンは、ライバル役としての挑発的な演技で注目を集めました。
女優の衣装・化粧・髪型
『LOL』の衣装デザインはホープ・ハナフィンが担当し、現代のティーンカルチャーを反映したカジュアルでトレンディなスタイルが特徴です。マイリー・サイラス演じるローラの衣装は、ジーンズ、Tシャツ、チェックのシャツ、スニーカーなど、典型的な高校生のラフなファッションが中心。彼女のスタイルは、自由奔放で自己表現を重視する若者を象徴しており、カジュアルながらも個性的なアクセサリーやレイヤードスタイルが目を引きます。ローラの髪型は、ルーズなウェーブやポニーテールで、ナチュラルかつ若々しい印象を与えています。メイクは控えめで、ティーンらしいフレッシュさを強調。シーンによっては、ライブやパーティーでの少し大胆なアイメイクが登場し、彼女の成長や感情の変化を視覚的に表現しています。
デミ・ムーア演じるアンの衣装は、大人の女性らしいエレガントさとカジュアルさを兼ね備えたスタイルです。シンプルなブラウスやテーラードジャケット、ジーンズといったコーディネートで、シングルマザーの現実感と洗練された魅力を表現。彼女の髪型は、ミディアムレングスのストレートで、落ち着いた大人の雰囲気を演出。メイクはナチュラルで、年齢を重ねた女性の自然な美しさを引き立てています。アシュリー・グリーンの衣装は、ライバルらしい派手さがあり、タイトなトップスやミニスカートで挑発的な魅力を強調。彼女のメイクと髪型も、トレンドを意識した華やかなスタイルで、ローラとの対比を際立たせています。ヘアメイク部門は、ライアン・トリグスタッド（ヘア部門責任者）やサラ・メイズ（メイクアップ部門責任者）らが担当し、キャラクターごとの個性を細かく表現しました。
解説
『LOL』は、2008年のフランス映画『LOL (Laughing Out Loud)』のリメイクであり、監督のリサ・アズエロスがオリジナル版に続きメガホンを取りました。現代のデジタル社会におけるティーンエイジャーの生活を、SNSや音楽を背景に描いた点が特徴です。物語は、恋愛や友情、親子関係といった普遍的なテーマを扱いながら、YouTubeやFacebookといった当時の新しいメディアを積極的に取り入れ、2010年代初頭の若者文化を反映しています。しかし、批評家からは「脚本が浅い」「対話が不自然」「演技が過剰」といった批判が多く、興行的にも失敗に終わりました。予算1100万ドルに対し、興行収入は1040万ドルにとどまり、商業的な成功を収められませんでした。
映画のテーマは、ティーンエイジャーの自己発見と親子のコミュニケーションギャップに焦点を当てていますが、批評家はこれらのテーマが深く掘り下げられていないと指摘。物語の展開やキャラクターの動機が曖昧で、感情的な共感を呼びにくいとの声が多かったです。特に、マイリー・サイラスの演技は賛否が分かれ、彼女のファン層には受け入れられたものの、一般的な映画ファンには物足りない印象を与えました。一方で、音楽やビジュアル面では、ポップなサウンドトラックやカラフルな映像がティーン向けの軽快な雰囲気を演出。ロブ・シモンセンの音楽やメアリー・ラモスの音楽監修により、現代的なポップカルチャーが効果的に取り入れられています。
本作は、2010年に撮影され、2012年に限定公開（アメリカでは105館）されました。プロモーション不足や、元々テレビドラマとして企画されていたプロジェクトが映画化された経緯から、商業的な成功に至らなかった背景があります。それでも、マイリー・サイラスのキャリアにおける一つのステップとして、彼女のファンには一定の支持を得ました。
キャスト
- マイリー・サイラス（ローラ・“ロル”・ウィリアムズ）：主人公の高校生。恋愛や友情を通じて成長する。
- デミ・ムーア（アン・ウィリアムズ）：ローラの母で、シングルマザーとして娘との関係に悩む。
- ダグラス・ブース（カイル・ロス）：ローラの親友で後に恋人となるミュージシャン。
- アシュリー・グリーン（アシュリー）：ローラのライバルで、カイルに興味を示す。
- アシュリー・ヒンショウ（エミリー）：ローラの親友で、教師に片思いする。
- ジョージ・フィン（チャド）：ローラの元ボーイフレンド。
トーマス・ジェーン、ジェイ・ヘルナンデス、マーロ・トーマス、ノラ・ダン、フィッシャー・スティーヴンス、オースティン・ニコルズ、アダム・セヴァニらが、脇役として家族や友人、教師などを演じる。
スタッフ
- 監督：リサ・アズエロス（オリジナル版も監督）
- 脚本：リサ・アズエロス、カミール・アイヌーズ
- 製作：ジェローム・セドゥ、ネイサン・カハネ（製作総指揮）
- 撮影：キーラン・マクギガン
- 編集：マイロン・カースタイン
- 音楽：ロブ・シモンセン
- 音楽監修：メアリー・ラモス
- プロダクションデザイン：ハッピー・マシー
- 衣装デザイン：ホープ・ハナフィン
- ヘア部門責任者：ライアン・トリグスタッド
- メイク部門責任者：サラ・メイズ
- キャスティング：デヴィッド・H・ラパポート、ジェニファー・ルドニック、ミッキー・パスカル
- スタントコーディネーター：キャシー・ジャーヴィス
総括
『LOL』（2012年）は、現代のティーンカルチャーを背景に、青春の葛藤と成長を描いた作品ですが、脚本や演出の弱さから批評的・商業的に苦戦しました。マイリー・サイラスとデミ・ムーアの演技は見どころの一つですが、全体的に深みに欠ける印象です。衣装や音楽は当時の若者文化を反映し、ファンには楽しめる要素がありますが、広く一般に訴求する力は限定的でした。青春映画として軽いタッチで楽しみたい視聴者には一定の魅力があるものの、深いドラマを求める観客には物足りないかもしれません。
レビュー 作品の感想や女優への思い