『LOL 愛のファンタジー』（2008年）は、フランスの青春ラブコメディ映画で、シングルマザーのアンヌとその娘ローラの日常を軸に、恋愛、友情、親子関係を描きます。ソフィー・マルソーの魅力的な演技が光り、現代のパリジェンヌの生活を軽快に表現。監督・脚本はリサ・アズエロス。98分。
基本情報
- 邦題：LOL 愛のファンタジー
- 原題：LOL (LAUGHING OUT LOUD)
- 公開年：2008年
- 製作国：仏国
- 上映時間：98分
あらすじ
パリに暮らす16歳の高校生ローラ（クリスタ・テレ）、愛称「ロル」は、思春期真っ只中の少女。新しい学年が始まり、恋人のアルチュール（フェリックス・モアティ）との関係に悩みつつ、友人たちとの友情やパーティーを楽しむ一方、母アンヌ（ソフィー・マルソー）との関係は微妙だ。アンヌは3人の子を育てるシングルマザーで、仕事と子育てに追われながらも、女性としての魅力を失わず、警察官のルーカス（ジョスラン・キヴラン）に心惹かれる。ローラはアルチュールとのすれ違いや、親友マエリスとの友情、バンド活動を通じて青春の喜びと葛藤を経験。一方、アンヌはローラの奔放さに手を焼きながら、自身の恋愛にも向き合う。母娘は衝突しつつも、互いを理解し絆を深めていく。ロンドンへの修学旅行や日常の小さな出来事を通じて、現代のフランスの高校生と親のリアルな生活が描かれる。
解説
『LOL 愛のファンタジー』は、フランスの現代的な家族像と青春文化を軽妙に描いた作品で、原題の「LOL」はネットスラングの「Laughing Out Loud（大笑い）」とローラの愛称を掛け合わせたもの。監督のリサ・アズエロスは、自身の経験を反映し、母娘のリアルな関係性や思春期の揺れ動く感情を丁寧に描写。ソフィー・マルソーが演じるアンヌは、かつての『ラ・ブーム』（1980年）で反抗的な少女を演じた彼女が、今度は母親役として登場し、過去と現在の対比が話題に。映画は、親子の愛情や個々の成長をユーモラスかつ温かく描き、フランス映画らしい軽快なテンポとスタイリッシュな映像が特徴。2009年のフランス興行成績で上位にランクインし、幅広い観客に支持された。ポップな音楽（キーンやテレフォンなど）やパリの街並み、ノートルダム寺院の登場も作品の魅力を高めている。邦題の「愛のファンタジー」は、ややロマンティックすぎる印象を与えるが、実際は現実的で愛らしい日常劇である。
女優の活躍
本作の最大の魅力は、ソフィー・マルソーの円熟した演技。13歳で『ラ・ブーム』で鮮烈なデビューを飾り、世界的な人気を得た彼女は、本作では47歳とは思えない美貌とチャームでシングルマザーのアンヌを演じる。反抗期の娘に振り回されながらも、仕事、恋愛、母親としての役割を両立させる姿は、観客に共感と憧れを呼ぶ。特に、娘ローラとの口論やハグのシーンでは、母親としての葛藤と愛情を繊細に表現し、コミカルな場面でも自然体な魅力が際立つ。クリスタ・テレもローラ役で新鮮な演技を見せ、ませた高校生の等身大な感情を巧みに演じる。彼女の友人役のマエリス（マリオン・シャブー）やイザベル（リサ・アズエロス自身）も、若者のリアルな群像劇を彩る。マルソーの存在感が映画全体を牽引し、若手女優たちとの化学反応も見どころ。
女優の衣装・化粧・髪型
ソフィー・マルソー（アンヌ）
アンヌの衣装は、パリジェンヌらしい洗練さとカジュアルさを兼ね備えている。普段はシンプルなブラウスやジーンズ、トレンチコートで、働く母親の現実感を表現。デートシーンでは、シックなワンピースやアクセサリーを加え、女性らしさを強調。化粧はナチュラルで、薄いリップと軽いアイメイクで自然体の美しさを際立たせる。髪型はルーズなウェーブのミディアムヘアで、忙しい中でも手入れされた印象を与える。彼女のスタイルは、年齢を重ねても輝く女性像を体現。
クリスタ・テレ（ローラ）
ローラの衣装は、2000年代後半のフランスのティーンらしいカジュアルなストリートファッション。スキニージーンズ、グラフィックTシャツ、コンバースのスニーカー、大きめのバッグが定番。パーティーシーンでは、キラキラしたトップスやアクセサリーで少し背伸びした姿を見せる。化粧は若さに合わせて控えめで、リップグロスや軽いチークが中心。髪型はストレートのロングヘアで、ポニーテールやルーズなまとめ髪で活発さを表現。友人たちも同様にトレンディなスタイルで、現代のフランスの若者文化を反映している。
キャスト
- アンヌ：ソフィー・マルソー（シングルマザー、ローラの母）
- ローラ（ロル）：クリスタ・テレ（16歳の高校生）
- ルーカス：ジョスラン・キヴラン（アンヌの恋人、警察官）
- アルチュール：フェリックス・モアティ（ローラの恋人）
- マエリス：マリオン・シャブー（ローラの親友）
- イザベル：リサ・アズエロス（ローラの友人、監督自身がカメオ出演）
- ステファン：アレクサンドル・アスティエ（アンヌの元夫）
- フランソワーズ：フランソワーズ・ファビアン（アンヌの母）
- ジェレミー：ジェレミー・カポネ（ローラの友人）
スタッフ
- 監督・脚本：リサ・アズエロス
- 脚本：ナンス・デルガド
- 製作総指揮：エリック・ユベール
- 製作：ロマン・ル・グラン
- 撮影：ナタニエル・アロン
- 編集：スタン・コラス
- 音楽：ジャン＝フィリップ・ヴェルデ
- 製作会社：Pathé Production, Bethsabée Mucho, TF1 Films Production, M6 Films
総括
『LOL 愛のファンタジー』は、ソフィー・マルソーの魅力とリサ・アズエロスの繊細な演出が融合した、フランスらしいハートウォーミングな作品。母娘の関係や青春のリアルを、軽快なコメディとスタイリッシュな映像で描き、現代のパリジェンヌの生活を鮮やかに映し出す。衣装や音楽も時代感を反映し、観客に親しみやすい雰囲気を提供。マルソーのナチュラルな美しさと若手キャストの活気が、映画に深みと軽やかさを与えている。フランス映画のファンや、親子関係、青春映画に興味のある方におすすめの一作。
レビュー 作品の感想や女優への思い