ロングアイランド

ロングアイランドは、米国ニューヨーク州南東部に位置する大西洋に浮かぶ島で、面積約3,629km²、人口約806万人（2023年推計）。ニューヨーク市の一部（ブルックリン、クイーンズ）とナッソー、サフォーク郡から成る。交通網が発達し、音楽教育や多様な食文化が特徴的である。

歴史
登場する映画
出身女優
まとめ

歴史

ロングアイランドの歴史は、先住レナペ族が住んでいた時代に遡ります。彼らは漁業や農耕を営み、島を「Sewanhacky（貝の島）」と呼び、貝殻を使った交易を行っていました。17世紀初頭、オランダ人探検家アドリアン・ブロックが1614年に初めてこの地域を探検し、その後オランダとイギリスの植民地化が進みました。1636年、ライオン・ガーディナーがガーディナー島を購入し、最初の恒久的入植地が築かれました。1640年代にはイギリス人入植者が東部に進出し、ヘンプステッドやサウスオールドなどの町が設立されました。1664年、オランダがニューヨークをイギリスに譲渡し、ロングアイランドはイギリス領となりました。

アメリカ独立戦争（1775-1783年）では、ロングアイランドは重要な戦場となりました。1776年のブルックリンの戦い（ロングアイランドの戦い）は、アメリカ独立軍とイギリス軍の初の大規模な戦闘で、イギリス軍の勝利により島は戦争期間中のイギリス軍の拠点となりました。戦後は農業や漁業が中心でしたが、19世紀に鉄道や橋の建設によりニューヨーク市との接続が強化され、工業化と都市化が進みました。ロングアイランド鉄道は1834年に開業し、現在もマンハッタンへの主要な交通手段です。

20世紀初頭、ニューヨーク州の建設担当者ロバート・モーゼスがロングアイランドのインフラ整備を推進し、ジョーンズビーチ州立公園などの施設を開発。これにより、島はニューヨーク市民の保養地として人気を博しました。第二次世界大戦後は郊外化が加速し、ナッソー郡やサフォーク郡は住宅地として発展。J.F.ケネディ国際空港の開設（1948年）やレヴィットタウンの建設（1947年、世界初の計画的大規模住宅地）により、人口が急増しました。現代では、多様な文化と経済が共存し、観光地やベッドタウンとして重要な役割を果たしています。しかし、1996年から2011年にかけてのロングアイランド連続殺人事件など、犯罪史にも名を残す出来事も発生しています。

登場する映画

ロングアイランドは、その地理的・文化的特徴から多くの映画の舞台やロケ地として登場します。以下は代表的な作品です。

華麗なるギャツビー（2013年）：F・スコット・フィッツジェラルドの小説を基にした映画で、ロングアイランドのウェストエッグとイーストエッグが舞台。豪華なパーティーや1920年代の華やかな雰囲気が描かれ、島の富裕層文化を象徴しています。
悪魔の棲む家（1979年、2005年リメイク）：ロングアイランドのアミティヴィルで起きた実話を基にしたホラー映画。1974年のデフェオ一家殺害事件と、その後のラッツ一家の超常現象体験が描かれ、島の暗い一面を映し出します。
エターナル・サンシャイン（2004年）：ジム・キャリーとケイト・ウィンスレット主演のロマンス映画。ロングアイランドのモントークビーチが重要なロケ地で、冬の静かな海岸が物語の情感を高めています。
ウルフ・オブ・ウォールストリート（2013年）：マーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ主演の実話ベースの映画。ロングアイランドの豪邸が登場し、1980年代のウォール街の繁栄と退廃が描かれます。
マリッジ・ストーリー（2019年）：スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバー主演のドラマ。ブルックリンやロングアイランドの日常的な風景が、離婚をめぐる夫婦の物語の背景として登場します。

これらの映画は、ロングアイランドの多様な側面――富裕層の生活、静かな海辺、歴史的な事件――を映し出し、島の文化的魅力や複雑さを世界に伝えています。

出身女優

ロングアイランドは多くの才能ある女優を輩出しており、特にナッソー郡やサフォーク郡出身者がハリウッドで活躍しています。以下は代表的な出身女優です。

エイミー・フィッシャー（1974年8月21日生まれ、ナッソー郡出身）：通称「ロングアイランドのロリータ」。1992年に愛人関係にあったジョーイ・バタフューコの妻を銃撃し、全米で話題となった人物。7年間の服役後、ジャーナリストやポルノ女優として活動し、メディア賞を受賞するなど異色の経歴を持つ。
ナタリー・ポートマン（1981年6月9日生まれ、ナッソー郡出身）：『レオン』（1994年）でデビューし、『ブラック・スワン』（2010年）でアカデミー主演女優賞を受賞。ハーバード大学卒業の才女としても知られ、知性と演技力で国際的に評価される。
ロージー・オドネル（1962年3月21日生まれ、サフォーク郡出身）：コメディアン、女優、テレビ司会者。『ターヴァス・ブル』（1991年）や『フリントストーン』（1994年）に出演し、トーク番組『ロージー・オドネル・ショー』でエミー賞を受賞。LGBTQ+の権利擁護でも知られる。
マライア・キャリー（1969年3月27日生まれ、サフォーク郡出身）：歌手として世界的に有名だが、『プレシャス』（2009年）などの映画にも出演し、女優としても活躍。グラミー賞受賞者であり、ロングアイランドの音楽文化の影響を受けた一人。
リンジー・ローハン（1986年7月2日生まれ、ナッソー郡出身）：『ミーン・ガールズ』（2004年）や『フォーチュン・クッキー』（2003年）で知られる女優。子役からキャリアをスタートし、ティーン映画のアイコンとして一時代を築いた。
メレディス・イートン（1974年8月26日生まれ）：身長約122cmの小人症をもつ女優で、障害を乗り越えエンターテインメント業界で成功を収めたパイオニア。
ダイアン・ブルネット
クリスティー・ブリンクリー
エイプリル・マルトゥッチ
キャシー・スケルボ

これらの女優は、ロングアイランドの多様な文化的背景や教育環境（特に音楽や芸術に力を入れる学校教育）が育んだ才能を反映しています。彼女たちの活躍は、島が単なるニューヨークの郊外ではなく、創造性と個性を育む場所であることを示しています。

まとめ

ロングアイランドは、ニューヨーク州南東部に位置する人口806万人の大島で、ブルックリン、クイーンズ、ナッソー、サフォーク郡から成ります。歴史的には先住レナペ族から始まり、植民地時代、独立戦争を経て、20世紀のインフラ整備で郊外都市として発展しました。映画では『華麗なるギャツビー』や『悪魔の棲む家』など多様な作品に登場し、文化的・歴史的魅力を発信。ナタリー・ポートマンやマライア・キャリーなど、著名な女優も輩出しています。交通網や音楽教育、食文化の多様性が特徴で、ニューヨーク市民の保養地としても愛されています。