『モンテカルロ殺人事件』(原題:Once Upon a Crime)は1992年公開の米国のミステリーコメディ映画。ユージン・レヴィ監督による『Crimen』(1960年)のリメイクで、豪華キャストが織りなす珍妙な殺人事件の騒動を描く。シビル・シェパード、ショーン・ヤング、オルネラ・ムーティの3人の女優が重要な役割を果たす。
基本情報
- 邦題:モンテカルロ殺人事件
- 原題:Once Upon a Crime
- 公開年:1992年
- 製作国:米国
- 上映時間:94分
- ジャンル:ミステリー、クライム
あらすじ
物語は、ローマからモンテカルロへ向かう列車の中で始まります。無一文のカップル、フィービー(ショーン・ヤング)とジュリアン(リチャード・ルイス)は、迷子のダックスフント「ナポレオン」を持ち主である富豪のマダム・ヴァン・ドゥーガンに返すことで報酬を得ようとしています。一方、ケチなセールスマンのニール(ジェームズ・ベルーシ)と妻マリリン(シビル・シェパード)は、モンテカルロで一攫千金を夢見てカジノに向かいます。さらに、ギャンブラーのオージー(ジョン・キャンディ)と妻エレナ(オルネラ・ムーティ)もビジネスや私欲のためにモンテカルロに集まります。フィービーとジュリアンがマダムの邸宅に到着すると、彼女が殺害されているのを発見。ナポレオンを巡る5人の男女が容疑者として浮上し、それぞれに殺意もアリバイもない状況で、事件は混迷を極めます。探偵ボナール(ジャンカルロ・ジャンニーニ)の調査が進む中、登場人物たちの嘘と策略が交錯し、コミカルかつ予測不能な展開が繰り広げられます。最後には意外な真犯人が明らかになり、観客を驚かせるどんでん返しが待っています。
解説
『モンテカルロ殺人事件』は、1960年のイタリア映画『Crimen』を基にしたリメイク作品で、ミステリーとコメディの融合が特徴です。監督はカナダ出身の俳優ユージン・レヴィで、本作が彼の監督デビュー作となります。レヴィはコメディ俳優としての経験を活かし、軽快でユーモラスな演出を展開。豪華なキャスト陣による個性的なキャラクターの掛け合いが、物語の魅力となっています。モンテカルロという華やかな舞台設定は、登場人物たちの欲望や虚栄心を強調し、コミカルな混乱を増幅させます。脚本はチャールズ・シャイアー、ナンシー・マイヤーズ、スティーヴ・クルーガーによるもので、複雑に絡み合う人間関係とミステリー要素を巧みに織り交ぜています。撮影は名匠ジュゼッペ・ロトゥンノが担当し、モンテカルロの美しい風景を鮮やかに捉え、映画に華を添えています。音楽はリチャード・ギブスが手掛け、軽妙な雰囲気を演出。全体として、アガサ・クリスティ風のミステリーをカジュアルに楽しめる作品として、観客に笑いと驚きを提供します。ただし、レビューでは「かしこまったミステリーが苦手な人には楽しめる」との声がある一方、複雑なキャラクター相関がややこしいとの指摘もあります。
女優の活躍
本作『モンテカルロ殺人事件』では、シビル・シェパード、ショーン・ヤング、オルネラ・ムーティの3人の女優が重要な役割を果たしています。
シビル・シェパード(マリリン・シュワリー役)
シェパードは、セールスマンの妻マリリンとして、デザイナー服を求める虚栄心旺盛な女性をコミカルに演じます。彼女の演技は、夫ニールとの掛け合いで特に光り、軽妙なやり取りで笑いを誘います。『ラスト・ショー2』で知られる彼女のコメディセンスが本作で存分に発揮され、物語のユーモラスなトーンを牽引します。
ショーン・ヤング(フィービー役)
ヤングは、無一文のアメリカ人女性フィービーとして、ジュリアンと共にナポレオンを返す旅に出る役どころ。彼女の純粋さと少し抜けた魅力が、物語の中心となるミステリーを軽快に進める要因となっています。『ブレードランナー』でのシリアスな役柄とは異なり、コミカルで親しみやすい演技が際立ちます。
オルネラ・ムーティ(エレナ・モロスコ役)
イタリアの名女優オルネラ・ムーティは、ギャンブラーの妻エレナとして登場。ビジネス取引を進める一方で、夫オージーとの関係に微妙な緊張感を漂わせます。彼女の妖艶な魅力とコメディへの適応力は、モンテカルロの華やかな雰囲気とマッチし、観客を引き込みます。
女優の衣装・化粧・髪型
本作の舞台であるモンテカルロの社交場にふさわしく、女優たちの衣装、化粧、髪型は豪華で個性的です。
シビル・シェパード
マリリンは、デザイナー服に憧れるキャラクターらしく、鮮やかな色のドレスやエレガントなスーツを着用。彼女の衣装は、モンテカルロの華やかなカジノや社交場に映える派手なデザインが中心です。化粧は、濃いめのアイラインとリップで、ゴージャスな印象を強調。髪型は、ボリュームのあるブロンドのウェーブヘアで、1990年代初頭のトレンドを反映しています。
ショーン・ヤング
フィービーの衣装は、旅する無一文の女性らしいカジュアルさと、物語が進むにつれて少しずつ洗練される変化が特徴。ジーンズやシンプルなブラウスから、モンテカルロではややフォーマルなワンピースに変化します。化粧はナチュラルで、フレッシュな印象を与える薄めのメイク。髪型は、ショートカットのダークブラウンヘアで、動きやすさと親しみやすさを演出しています。
オルネラ・ムーティ
エレナの衣装は、イタリア女優らしいセクシーで洗練されたスタイル。タイトなドレスや深みのある色のガウンが多く、彼女の妖艶さを引き立てます。化粧は、ダークなアイシャドウと赤いリップで、ミステリアスな魅力を強調。髪型は、ゆるやかなカールのあるロングヘアで、優雅さと女性らしさを表現しています。
キャスト
- ジョン・キャンディ(オージー・モロスコ役): ギャンブラーで妻エレナとビジネスを進める男。
- ジェームズ・ベルーシ(ニール・シュワリー役): カジノで一攫千金を狙うセールスマン。
- シビル・シェパード(マリリン・シュワリー役): ニールの妻で、デザイナー服に執着。
- ショーン・ヤング(フィービー役): ナポレオンを返す旅に出る無一文の女性。
- リチャード・ルイス(ジュリアン・ピーターズ役): フィービーの相棒で、共に報酬を狙う。
- オルネラ・ムーティ(エレナ・モロスコ役): オージーの妻で、ビジネスに奔走。
- ジャンカルロ・ジャンニーニ(ボナール警部役): 事件を調査する探偵。
- ジョージ・ハミルトン: 脇役として登場。
- エルザ・マルティネリ: 脇役として登場。
- カテリーナ・ボラット: 脇役として登場。
スタッフ
- 監督: ユージン・レヴィ(俳優として知られ、本作が監督デビュー)
- 製作: ディノ・デ・ラウレンティス(『キングコング』1976年)のプロデューサー)
- 脚本: チャールズ・シャイアー、ナンシー・マイヤーズ、スティーヴ・クルーガー
- 撮影: ジュゼッペ・ロトゥンノ(『アマルコルド』で知られる名匠)
- 音楽: リチャード・ギブス(『スリー・オブ・ハーツ』の作曲家)
レビュー 作品の感想や女優への思い