1991年公開のコメディ映画『オスカー』は、シルヴェスター・スタローン主演。ギャングの親分が堅気になろうとするドタバタ劇。監督はジョン・ランディス。禁酒法下のNYが舞台で、豪華キャストが織りなす笑いと混乱が魅力。
基本情報
- 邦題:オスカー
- 原題:OSCAR
- 公開年:1991年
- 製作国:米国
- 上映時間:109分
- ジャンル:コメディ
あらすじ
1931年、禁酒法下のニューヨーク。ギャングの顔役として名を馳せるアンジェロ・“スナップス”・プロヴォローネ(シルヴェスター・スタローン)は、死にゆく父親から「堅気になってプロヴォローネ家を再興せよ」との遺言を受ける。裏社会から足を洗い、銀行家として新たな人生を歩もうとするスナップスだが、過去のしがらみや部下たちの忠誠心が彼を悩ませる。ある日、公認会計士のアンソニー・ロッサノ(ヴィンセント・スパーノ)がスナップスの娘リサ(マリサ・トメイ)と結婚したいと申し出るが、スナップスはこれを拒否。さらに、テレサ(オルネラ・ムーティ)がアンソニーとの結婚を望み、スナップスを父親と偽ったことで事態はさらに混乱。スナップスの邸宅では、入れ替わるバッグ、誤解、裏切りが次々と巻き起こり、堅気への道は予想外の騒動に発展する。コメディらしいテンポの速い展開と、登場人物たちの掛け合いが物語を盛り上げる。
解説
『オスカー』は、1967年のフランス映画を基にしたリメイク作品で、監督ジョン・ランディスが得意とするスクリューボール・コメディのスタイルを採用。1930年代の禁酒法時代を舞台に、ギャング映画のパロディと家族ドラマを融合させた作品である。シルヴェスター・スタローンがアクションスターのイメージを脱ぎ捨て、コミカルな演技に挑戦した点が注目され、観客に新鮮な印象を与えた。物語は、複数の誤解とすれ違いが連鎖する古典的なコメディ構造を持ち、テンポの良さと軽快な台詞回しが特徴。舞台となるスナップスの豪邸や、時代を反映した衣装・セットデザインも見どころで、1930年代のハリウッド映画へのオマージュが随所に感じられる。ただし、公開当時は批評家からの評価が低く、興行的にも成功しなかったが、スタローンの意外なコメディ演技や豪華な脇役陣により、後にカルト的な人気を得た。
女優の活躍
本作では、オルネラ・ムーティとマリサ・トメイが主要な女性キャラクターとして活躍。オルネラ・ムーティはテレサ役として、魅力的かつ大胆な女性を演じ、物語の混乱を加速させる重要な役割を果たす。彼女の演技は、コミカルでありながらも洗練された魅力を持ち、スナップスを翻弄する女性としての存在感を発揮。特に、彼女の登場シーンでは、計算された仕草や表情で観客を引き込む。マリサ・トメイはスナップスの娘リサ役で、若々しくややわがままなキャラクターを好演。トメイはこの作品でコメディセンスを見せつけ、後の『いとこのビニー』(1992年)でのアカデミー賞受賞につながる才能の片鱗を示した。両女優とも、物語のドタバタ劇において、男性キャスト陣と対等に渡り合うエネルギッシュな演技で、作品の軽快な雰囲気を支えている。
女優の衣装・化粧・髪型
1930年代の禁酒法時代を反映した衣装は、本作の視覚的魅力の一翼を担う。オルネラ・ムーティ演じるテレサの衣装は、優雅で女性らしいドレスが中心。シルクやサテン素材の流れるようなドレスは、彼女の魅惑的なキャラクターを強調し、深いグリーンやワインレッドといった色合いが時代感を演出。化粧は、赤い口紅とくっきりしたアイラインで、クラシックなハリウッド女優の雰囲気を再現。髪型は、緩やかなウェーブのかかったミディアムヘアで、1930年代のエ不需要な印象を残す。マリサ・トメイの衣装は、若い娘らしいカジュアルなスタイルで、シンプルなワンピースやスカートが中心。彼女の化粧はナチュラルで、薄い口紅と軽いアイメイクが施され、髪型はストレートまたは軽いカールのロングヘアで、若々しさを表現。衣装デザインは、時代背景を忠実に再現しつつ、各キャラクターの個性を反映した工夫がなされている。
キャスト
- シルヴェスター・スタローン(アンジェロ・“スナップス”・プロヴォローネ):ギャングの親分で本作の主人公。コメディ役に挑戦。
- オルネラ・ムーティ(テレサ):スナップスを翻弄する魅惑的な女性。
- マリサ・トメイ(リサ):スナップスの娘で、恋愛を巡る騒動の中心人物。
- ヴィンセント・スパーノ(アンソニー・ロッサノ):スナップスの会計士で、リサの恋人。
- ティム・カリー(ドクター・ソーントン):スナップスの顧問医で、コミカルな演技が光る。
- チャズ・パルミンテリ(コニー):スナップスの忠実な部下。
- ピーター・リーガート(アルド):スナップスの側近で、物語にユーモアを添える。
スタッフ
- 監督:ジョン・ランディス(『星の王子ニューヨークへ行く』で知られるコメディの名匠)
- 製作:レスリー・ベルツバーグ
- 製作総指揮:アレックス・ポンティ、ジョゼフ・S・ヴェッキオ
- 脚本:マイケル・バリー、ジム・マルホランド
- 撮影:マック・アールバーグ(『ザ・デプス』)
- 音楽:エルマー・バーンスタイン(『大逆転』で知られる作曲家)
- 配給:タッチストーン=ワーナー・ブラザース映画
補足
本作は、アクションスターのスタローンがコメディに挑戦した意欲作だが、批評家からの評価は芳しくなく、興行的にも振るわなかった。しかし、豪華キャストと1930年代の雰囲気、軽快な展開は一部のファンに愛され、カルト的な人気を持つ。衣装やセットの再現度も高く、時代劇としての魅力も十分。
レビュー 作品の感想や女優への思い