『青岛往事』は2015年に放送された中国の年代商戦ドラマ。監督は張新建、脚本は趙冬苓。黄渤、劉向京、巩峥主演。1904年の青島を舞台に、3人の少年が商売で成功を目指し、友情や裏切り、愛憎劇を繰り広げる。40話構成で、歴史的背景と人間ドラマが魅力。
基本情報
- 原題:青岛往事
- 放送年:2015年
- 製作国:中国
- 上映時間:各分
- エピソード数:40
あらすじ
『青岛往事』は、1904年の青島を舞台に、貧しい少年・王満倉(黄渤)が天佑(巩峥)の母に助けられ、友情を築くところから始まります。二人は正義感の強い夏徳発(劉向京)と出会い、ドイツ人商人フリヒから最初の商機を得て、共同で「徳佑聚」という商行を設立。激動の時代の中、辛亥革命や日独戦争など歴史的事件を背景に、3人の友情は試練に晒されます。満倉の誠実さ、徳発の野心、天佑の機知が交錯し、商戦での成功と挫折、愛情や裏切りを経て成長。最終的には日本軍の侵攻に対し、3人が団結し、民族の誇りを守るために戦います。満倉は妻・小嫚(黄小蕾)と共に青島に残り、どんな困難にも笑顔で立ち向かう決意をします。歴史の大きなうねりの中で、個々の人生がどう変遷するかを描いた感動作です。
女優の活躍
本作では、黄小蕾、傅淼、薩日娜、瑛子といった女優たちが重要な役割を果たし、物語に深みを与えています。
黄小蕾(小嫚役)
小嫚は満倉の妻で、活発で賢く、芯の強い女性。黄小蕾は、青島の庶民的な女性像を見事に演じ、時にコミカル、時に感動的な演技で視聴者を魅了。彼女の自然体な演技は、満倉との夫婦愛をリアルに表現し、特に雑貨铺の運営で夫を支える姿が印象的です。彼女の存在感は、物語の後半で特に際立ち、家族を守る強い女性像を体現。
傅淼(大嫚役)
大嫚は天佑の妻で、虚栄心が強く洋風の生活に憧れる女性。傅淼は、大嫚の初期の青涩さから、結婚後の欲望による変貌、そして最終的な自立への成長を見事に演じ分けました。特に、家族の破綻や夫の投獄を経て変化する心情の演技が高く評価され、複雑な女性像を繊細に表現。
薩日娜(陳妈役)
満倉と天佑の母で、物語の鍵を握る人物。薩日娜は、母性と葛藤を抱える複雑な役柄を、深い感情表現で演じました。15分にわたる長回しのシーンでは、3ページに及ぶ台詞を一気呵成に演じ、「滅絶師太」と渤哥(黄渤)に称されるほどの迫真の演技を見せました。彼女の演技は、物語の感動の核となっています。
瑛子(溥秀役)
溥秀は清朝の貴族出身で、夏徳発の妻となる女性。瑛子は、風情ある悪女役を魅力的に演じ、特に徳発とのベッドシーンでは大胆な演技を披露。彼女の演技は、視聴者に強い印象を残し、複雑なキャラクターに人間味を与えました。瑛子自身が語る撮影時のエピソード(胶帯を使った衣装調整など)も、彼女の役作りへの真剣さを物語っています。
女優の衣装・化粧・髪型
『青岛往事』の時代背景(1904年~1930年代)に合わせ、女優たちの衣装、化粧、髪型は当時の青島の文化や階級を反映し、視覚的な魅力とリアリティを強調しています。
黄小蕾(小嫚)
小嫚の衣装は、庶民的な青島の女性を反映した簡素で実用的なもの。藍色の布服やエプロンが多く、動きやすさを重視。化粧はほぼすっぴんに近く、自然な肌色で、健康的な美しさを表現。髪型は、簡単な三つ編みやお団子で、労働階級の女性らしい飾らないスタイル。物語が進むにつれ、商売が軌道に乗ると、少し華やかな旗袍(チーパオ)も登場し、彼女の成長を象徴。
傅淼(大嫚)
大嫚は洋風の生活に憧れるため、初期は清楚なワンピースや洋装を取り入れ、淡いピンクや白のドレスで若々しさを強調。結婚後は、豪華な旗袍や西洋風の帽子を着用し、虚栄心を視覚化。化粧は、赤い口紅や薄いアイメイクで、上流階級への憧れを表現。髪型は、初期のシンプルなアップスタイルから、後半はカールした洋風の髪型に変化し、彼女の内面の変貌を反映。
薩日娜(陳妈)
陳妈の衣装は、労働階級の女性らしい地味な色合いの布服や、洋人家の使用人としてのエプロン姿。化粧はほとんどなく、疲れた表情や歳月の痕跡を自然に表現。髪型は、きつく結ったお団子で、厳格さと母性を強調。物語の後半では、感情的な場面で髪が少し乱れる演出が、彼女の内面の動揺を効果的に伝えています。
瑛子(溥秀)
溥秀の衣装は、清朝貴族の華やかさを反映した豪華な旗袍や、刺繍入りのドレスが特徴。撮影では、肚兜(当時の下着)を着用したシーンで、瑛子が胶帯を使って体型を調整したエピソードが話題に。化粧は、濃いめのアイラインと赤い口紅で、妖艶な魅力を強調。髪型は、複雑なアップスタイルや装飾品を施した髪型で、貴族の気品と悪女的な魅力を表現。
解説
『青岛往事』は、単なる商戦ドラマに留まらず、歴史的背景と人間ドラマを融合させた作品です。1904年の青島は、ドイツ租借地として近代化が進む一方、辛亥革命や日独戦争、さらには日本軍の侵攻といった激動の時代を背景に、個々のキャラクターの成長と葛藤を描いています。物語の中心となる満倉、徳発、天佑の3人は、それぞれ異なる性格と価値観を持ち、友情や裏切りを通じて人間の本質を探ります。満倉の純朴さ、徳発の野心、天佑の機知は、時代の中でどう変化し、どう結びつくのかが丁寧に描かれ、視聴者に深い共感を呼び起こします。
特に、歴史的事件が物語に織り込まれている点が本作の魅力です。辛亥革命や五四運動、日資工場のストライキなど、青島の歴史が物語の節目に登場し、個人と国家の運命がリンクしています。満倉の誠実さが最終的に彼を成功に導く一方、徳発の欲望や天佑の過信がもたらす悲劇は、現実の厳しさを教えてくれます。また、女性キャラクターの成長も見どころで、大嫚の虚栄心や小嫚の堅実さ、陳妈の母性と葛藤は、時代の中で女性が直面した課題を象徴しています。
視覚的には、青島の街並みや当時の衣装、建築が再現され、特に無錫に700万元をかけて再現された劈柴院は、視聴者に当時の雰囲気を感じさせます。撮影は無錫、南京、青島などで116日間行われ、厳しい気候の中での反季節撮影(夏の30度超えで冬服を着用)など、キャストとスタッフの努力が作品のリアリティを支えました。音楽では、主題曲『四海』(高進)が物語の壮大さを引き立て、視聴者の感情を高ぶらせます。
本作は、2015年に天津文芸チャンネルで初放送後、CCTVや複数の地方局で放送され、豆瓣で7.9の高評価を獲得。第19届華鼎賞や第12届精神文明建設「文芸精品工程」優秀作品賞を受賞し、商業的にも批評的にも成功を収めました。山東影視伝媒集団(山影)の高品質な制作と、黄渤を中心とした実力派キャストの演技が、視聴者に深い感動を与える作品となっています。
キャスト
- 黄渤:王満倉(誠実で少し鈍い商人、物語の主人公)
- 劉向京:夏徳発(野心家でリーダーシップのある商人)
- 巩峥:天佑(機知に富むが過信が招く悲劇の商人)
- 黄小蕾:小嫚(満倉の妻、堅実で賢い女性)
- 傅淼:大嫚(天佑の妻、虚栄心が強いが成長する女性)
- 薩日娜:陳妈(満倉と天佑の母、葛藤を抱える人物)
- 瑛子:溥秀(清朝貴族出身、徳発の妻で風情ある悪女)
- 王凱:成志(後半に登場、重要な脇役)
スタッフ
- 監督:張新建(総監督)、呉斌
- 脚本:趙冬苓
- 制作人:秦振貴、侯鴻亮、傅思、王浩、呉雪松、劉焱、李小東
- 監制:梁建増、王漢平、張相逢、劉書亮、汪恒、王連君、牛煙生、林国剛、申積軍
- 撮影:馬艶清、胡超龍、柴躍奎
- 美術:劉勇奇、胡佳、王翔宇、徐宏偉、李穎、周文童、劉港
- 衣装:李佳丞、劉建紅、高宏玉、范欣欣、張亜軍、張林峰、于天洋、劉徳里
- 音楽:高進(主題曲『四海』作詞・作曲・演唱)
レビュー 作品の感想や女優への思い