『チャイナスキャンダル 艶舞』は日港合作のロマンポルノで、官能とアクションが交錯するエロス大作。香港に招待された日本人歌手の山崎マリ(演・新藤恵美)が、現地の大富豪の罠に落ち、拉致されて裸の写真とビデオを撮られ脅迫される。妹のチエと元恋人の助けで救出を図るが、香港の異国情緒あふれるスキャンダラスな世界に翻弄される。
基本情報
- 邦題:チャイナスキャンダル 艶舞
- 公開年:1983年
- 製作国:日本
- 上映時間:74分
- 映倫 – R15+指定
女優の活躍
本作では、女性キャラクターが物語の中心を担い、特に主人公の山崎マリ役を演じる新藤恵美の活躍が顕著です。新藤恵美は、香港で人気を博す日本人歌手として描かれ、ステージでの華やかなパフォーマンスから、拉致されての絶望的な表情まで、多様な感情を繊細に表現し
ています。彼女の演技は、単なる肉体的な魅力にとどまらず、脅迫される恐怖や抵抗する強さを体現し、観客を引き込む力があります。また、妹のチエ役を務める小田かおるも重要な役割を果たします。小田かおるは、空手を得意とするアクティブなキャラクターとして、アクションシーンで身体能力を活かした活躍を見せ、物語の緊張感を高めています。香港側の女優陣、例えば珍珠役の陳莉莉は、TVレポーターとして主人公を罠に誘う狡猾さを演じ、曾江は趙の妻として複雑な心理を織り交ぜた演技で深みを加えています。これらの女優たちは、国際合作ならではの異文化の融合を体現し、官能的なシーンでの自然な表現が作品の魅力を向上させています。全体として、女優たちの活躍は、男性中心の物語の中で女性の視点からスキャンダルを描く点で、1980年代のロマンポルノの進化を示すものです。
女優の衣装・化粧・髪型
女優たちの衣装は、香港の華やかな都市景観と官能的なテーマにマッチしたものが多く、時代性を反映しています。新藤恵美の山崎マリ役では、ステージ衣装として輝くスパンコールのドレスが用いられ、ボディラインを強調するタイトなデザインが歌手の魅力を引き立てます。拉致シーンでは、日常的なブラウスとスカートが剥ぎ取られる形で、脆弱さを表現。一方、脅迫後のシーンでは、セクシーなスリップやランジェリーが登場し、香港のエキゾチックな雰囲気を醸し出します。小田かおるのチエ役は、アクション向きの動きやすいパンツスーツやTシャツを着用し、空手シーンでは袖なしのトップスで筋肉質の体躯を露わに。香港女優の陳莉莉は、レポーターらしい洗練されたスーツ姿が特徴で、化粧は赤いリップとアイラインを濃く施し、妖艶さを強調します。曾江の趙夫人役では、伝統的なチャイナドレス(チーパオ)が用いられ、絹の光沢が上品な色気を演出。全体の化粧は、1980年代のトレンド通り、ナチュラルメイクに赤系のリップが主流ですが、官能シーンではスモーキーアイメイクが加わり、神秘的な魅力を高めています。髪型については、新藤恵美はロングヘアをウェーブさせてボリュームを出したスタイルで、ステージではアップにし華やかさを。小田かおるはショートカットで活発さを、陳莉莉はストレートロングで洗練された印象を与えます。これらの要素は、香港ロケのエキゾチックさを活かし、女優たちの美しさを最大限に引き出す工夫がなされています。
あらすじ
香港で人気を博した日本人歌手の山崎マリは、新人歌手コンテストのゲストとして妹のチエと共に香港に招待されます。マリは華やかなステージで観客を魅了しますが、現地のTVレポーターである珍珠から親切に接待を受け、信頼を寄せます。しかし、珍珠は香港の大富豪・趙の指示で動いており、マリを趙の欲望の餌食とする罠を仕掛けていました。
ある夜、マリは珍珠に誘われて訪れた場所で、数人の男たちに拉致されてしまいます。拉致されたマリは全裸にされ、写真とビデオを撮影される屈辱を味わいます。その後、趙の豪華な別荘に連れていかれ、裸の写真とビデオを公開されたくなければ趙の女になるよう脅迫されます。マリは抵抗しますが、趙の妻である曽江の冷徹な視線のもと、屈辱的な関係を強いられます。
一方、マリの不審な行動に気づいたチエは、かつてマリの恋人だった程に助けを求めます。程は趙の企みを察知し、チエと共に救出計画を立てます。チエは空手の腕を活かし、趙の別荘に潜入。激しいアクションの末、マリを救い出しますが、趙の部下たちとの戦いが勃発します。最終的に、マリたちは脱出に成功し、香港の夜に消えていきますが、スキャンダルの余波は残ります。この物語は、異国での欲望と裏切りが交錯するスリリングな展開で進みます。
解説
『チャイナスキャンダル 艶舞』は、1983年に公開された日港合作のロマンポルノ作品として、当時の日本映画界に新風を吹き込みました。監督は小原宏裕と黎大煒の共同で、小原宏裕はこれまで「女囚・檻」などの女性中心のエロティックな作品で知られていましたが、本作では香港のゴールデン・ハーベスト社との提携により、国際的なスケールを実現しています。ゴールデン・ハーベストは、ブルース・リーやジャッキー・チェン作品で有名な会社であり、この合作はにっかつのロマンポルノシリーズの海外進出を象徴します。
物語のテーマは、異文化間のスキャンダルと欲望の探求です。香港の華やかなネオン街や別荘の豪奢なセットが、主人公の日本人女性の純粋さと対比され、異邦人の淫靡な世界を強調します。拉致と脅迫のプロットは、典型的なエロス映画の要素ですが、空手アクションの挿入やドラッグパーティーのシーンが加わることで、単なる官能描写を超えたエンターテイメント性を持っています。例えば、ジムでの突然のセックスシーンやトレーラーでのパーティーは、1980年代の香港ポップカルチャーを反映し、観客に新鮮な衝撃を与えました。
女優の新藤恵美は、この作品で肉体的な魅力だけでなく、感情の揺らぎを丁寧に演じ、後のキャリアの基盤を築きました。小田かおるのアクションは、女性の自立を象徴し、当時のフェミニズムの文脈で興味深いです。一方、香港側のキャストは、現地の風俗をリアルに描き、文化交流の側面を加えています。批評家からは、合作の試みとして評価されつつ、ステレオタイプな描写が指摘されることもありましたが、興行的に成功し、ロマンポルノの多様化を促しました。総じて、本作はエロスとアクションの融合により、ジャンルの限界に挑戦した意欲作と言えます。香港ロケの臨場感は、フィルムの質感からも伝わり、現代の観客にも異国情緒を楽しめます。
キャスト
- 新藤恵美 – 山崎マリ(主人公の日本人歌手)
- 小田かおる – チエ(マリの妹、空手使い)
- 陳恵敏 – 程(マリの元恋人)
- 曽江 – 趙夫人(趙の妻)
- 陳莉莉 – 珍珠(TVレポーター)
- 黎大煒 – 趙(大富豪)
- 小原宏裕 – 脇役(詳細不明)
- その他の香港側俳優 – 拉致犯やパーティー参加者など
スタッフ
- 監督 – 小原宏裕、黎大煒
- 原作・脚本 – 陳裕久
- 製作 – 日活、ゴールデン・ハーベスト、N.C.P
- 撮影 – 詳細不明(香港ロケ中心)
- 音楽 – 詳細不明(香港ポップ調のサウンドトラック)
- 編集 – 詳細不明
- 美術 – 香港側スタッフ中心
- 配給 – にっかつ
レビュー 作品の感想や女優への思い