ネオギャル文化は、2010年代以降のSNS時代に生まれた現代版ギャル文化。コギャルの自由な精神を継承し、韓国風やストリートカジュアルを融合。個性と多様性を重視し、インスタで発信する。
以下では、2010年代以降に登場したネオギャル文化について、映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』（2018年）のコギャル文化やその進化（ガングロ、ヤマンバ）からの流れを踏まえ、ファッション、化粧・髪型、ライフスタイル、音楽・メディア、社会的背景を解説する。
ネオギャル文化
ファッション
ネオギャル文化のファッションは、映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』のコギャル（ルーズソックス、短いスカート）、ガングロ（原色、厚底ブーツ）、ヤマンバ（蛍光色、アニマル柄）からの進化を反映し、2010年代以降のグローバルなトレンドを取り入れたスタイルが特徴だ。コギャルの制服ベースやヤマンバの過激な派手さとは異なり、ネオギャルはカジュアルで多様なファッションを追求。韓国ファッションの影響が強く、ハイウエストのスキニージーンズ、クロップドトップ、オーバーサイズのスウェットが主流。ブランドでは「WEGO」「SPINNS」「GYDA」が人気で、プチプラと古着をミックスする自由さが特徴。映画のコギャルが渋谷109で統一感あるスタイルを求めたのに対し、ネオギャルは個々のパーソナリティを反映し、ユニクロやZARAのアイテムを自分流にアレンジする。
アクセサリーはシンプルかつ個性的で、シルバーのチェーンネックレスや小さなピアス、韓国風のクリアバッグが人気。厚底スニーカーやダッドスニーカーが、ヤマンバの厚底ブーツの現代版として愛用される。カラーは、ネオギャルの場合、モノトーンやパステルカラーが中心で、ヤマンバの蛍光色のような過激さは薄れ、ストリートカジュアルや韓国風の柔らかい雰囲気が強調される。冬場には、オーバーサイズのコートやマフラーでレイヤードスタイルを作り、ストリートスナップで注目を集める。ネオギャルのファッションは、SNS映えを意識し、インスタグラムやTikTokで「盛れる」コーディネートが重視される。映画『SUNNY』のコギャルが仲間内で目立つことを目指したのに対し、ネオギャルはオンラインでのグローバルな視線を意識し、個人ブランドを構築するファッションを追求している。
この進化は、グローバル化とSNSの影響が大きい。コギャルやガングロが渋谷109を中心としたローカルな文化だったのに対し、ネオギャルは海外トレンド（特に韓国や欧米のストリートファッション）を取り入れ、H&MやSHEINなどのファストファッションを活用。古着屋やフリマアプリ（メルカリなど）で個性的なアイテムを探す文化も根付き、持続可能性や個性を重視するZ世代の価値観が反映されている。ネオギャルのファッションは、コギャルの「目立つ」精神を継承しつつ、多様性とアクセシビリティを兼ね備えた現代的なスタイルとして進化した。
化粧・髪型
ネオギャルの化粧は、映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』のコギャルのピンクのリップやガングロ・ヤマンバの白いアイシャドウ、蛍光色メイクから大きく変化し、韓国コスメの影響を受けたナチュラルかつ洗練されたスタイルが特徴だ。ベースメイクは、ツヤ感のあるクッションファンデーション（「ETUDE HOUSE」や「3CE」）を使い、肌を透明感ある仕上がりに。アイメイクは、ブラウンやピンクのグラデーションアイシャドウで柔らかく、つけまつげよりカラコンで目を強調する「デカ目メイク」が主流。リップは韓国風のグラデーションリップやマットリップで、チークは控えめか省略する。眉毛はナチュラルな平行眉で、ヤマンバの極細眉やシール装飾とは対照的だ。コギャルの派手なメイクが仲間内の結束を象徴したのに対し、ネオギャルのメイクはSNSでの「盛れ」を意識し、フォトジェニックな仕上がりを目指す。
髪型は、ショートボブやウルフカットが人気で、アッシュ系、グレージュ、ミルクティーカラーがトレンド。コギャルの茶髪ウェーブやヤマンバの原色エクステとは異なり、ナチュラルで柔らかい印象を重視。韓国風のシースルーバングや、ゆるいカールで動きを出すスタイルが一般的だ。ヘアアクセサリーはシンプルで、細いカチューシャやミニクリップを使う。ヘアケアでは「LUX」や「mise en scène」が愛用され、ツヤ感を保つことが重要。ヤマンバの「マンバ盛り」のような過激なボリュームはなく、日常に馴染むスタイルが好まれる。ネオギャルの化粧と髪型は、グローバルな美の基準（特にK-POPアイドルの影響）を取り入れ、個性を保ちつつも幅広い層に受け入れられるバランスが特徴。映画のコギャルが学校の規則に反抗したのに対し、ネオギャルはSNSでの自己表現を優先し、多様性を追求している。
ライフスタイル
ネオギャルのライフスタイルは、映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』のコギャルのカラオケやプリクラ、ガングロ・ヤマンバのクラブ文化から進化し、SNSを中心としたデジタルネイティブな活動が特徴だ。渋谷や原宿は依然として拠点だが、ネオギャルはインスタグラムやTikTokでコーディネートやダンス動画を発信し、フォロワーとの繋がりを重視。映画のコギャルが渋谷109で友達と過ごし、プリクラで友情を深めたのに対し、ネオギャルはオンラインでグローバルなコミュニティを築く。カフェ巡りや韓国コスメのレビュー、旅行の投稿が人気で、「#ギャル」「#韓国ファッション」などのハッシュタグでトレンドを共有する。
ネオギャルは、リアルなギャルサー（ギャルサークル）よりも、オンラインでの繋がりを重視。LINEやインスタのDMで仲間と連絡を取り、イベントやオフ会を企画する。プリクラは引き続き人気だが、スマホの加工アプリ（「SNOW」や「Ulike」）で自撮りを編集し、インスタにアップする文化が主流に。ショッピングは、渋谷109や原宿の「WEGO」だけでなく、オンラインストア（ZOZOTOWNやSHEIN）やフリマアプリを活用。コギャルの放課後カラオケやヤマンバのクラブでのパラパラとは異なり、ネオギャルはカフェやテーマパークで「映える」写真を撮り、SNSで自己表現する。ライフスタイルは、消費文化と自己ブランディングが融合し、映画『SUNNY』の仲間重視の精神をオンラインに拡張した形だ。ネオギャルは、個々のライフスタイルを自由に発信し、リアルとデジタルの両方でコミュニティを築いている。
音楽・メディア
ネオギャルの音楽は、映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』のJ-POP（安室奈美恵、小室哲哉）、ガングロ・ヤマンバのパラパラやユーロビートから大きく変化し、K-POPやグローバルなポップスが中心だ。BLACKPINK、TWICE、BTSといったK-POPアーティストが人気で、アップテンポな曲やダンスビートが好まれる。洋楽では、Ariana GrandeやDua Lipaのポップス、EDMもプレイリストに含まれる。映画のコギャルがカラオケでJ-POPを歌い、ヤマンバがクラブでパラパラを踊ったのに対し、ネオギャルはTikTokでK-POPのダンスカバーを投稿し、フォロワーとトレンドを共有。音楽は、SNSでのパフォーマンスの一部として機能する。
メディアは、雑誌からSNSに完全にシフト。コギャルの『egg』やヤマンバの『Happie nuts』に代わり、インスタグラムやYouTubeが主要な情報源だ。ネオギャルは、インフルエンサーとしてコーディネートやメイク動画を投稿し、ブランドとのコラボやスポンサー付き投稿で収益を得ることも。YouTubeでは、メイクチュートリアルや「1日密着」動画が人気で、TikTokではダンスやリップシンク動画でトレンドを牽引。テレビの影響は薄れ、ABEMAやNetflixで韓国ドラマを観るネオギャルも多い。映画『SUNNY』のコギャルがテレビや雑誌でトレンドを追ったのに対し、ネオギャルは自分たちがメディアとなり、セルフプロデュースで文化を形成。SNSでの「盛れ」文化は、コギャルのプリクラやヤマンバのパフォーマンス精神をデジタル時代に引き継いだものだ。
社会的背景
ネオギャル文化は、2010年代以降のグローバル化とデジタル化の文脈で誕生した。映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』のコギャルがバブル崩壊後の閉塞感、ガングロ・ヤマンバが就職氷河期の不安に応えたのに対し、ネオギャルはリーマンショック（2008年）後の経済回復期とSNSの普及期に登場。スマートフォンの普及（2010年代初頭）やインスタグラムの台頭（2010年～）で、若者はリアルタイムで自己表現できる環境を得た。ネオギャルは、コギャルの「目立つ」精神やヤマンバの過激な自己主張を継承しつつ、グローバルな視線を意識。韓国文化のブーム（K-POP、韓国コスメ）や欧米のストリートカルチャーの影響を受け、多様な美の基準を追求した。
社会的には、ネオギャルは多様性とインクルーシビティを重視するZ世代の価値観を反映。コギャルやヤマンバが「不良」と批判されたのに対し、ネオギャルはポジティブなイメージで受け入れられ、インフルエンサーとして社会に影響を与える。経済的には、プチプラブランドや韓国コスメの市場を牽引し、渋谷109や原宿の経済効果を維持。環境問題やジェンダー平等への意識も高く、サステナブルなファッションやヴィーガンコスメを取り入れるネオギャルもいる。フェミニズムの観点では、ネオギャルは自分の外見やライフスタイルを自由に選択する姿勢で、女性の自己決定権をさらに進化させた。映画『SUNNY』のコギャルが仲間内での自由を求めたのに対し、ネオギャルはグローバルなプラットフォームで自己表現し、社会を変える力を持つ。ネオギャル文化は、個性と多様性を尊重する現代の若者文化の象徴だ。
映画『SUNNY』との関連
映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』は、1990年代中盤のコギャル文化を舞台に、友情と青春の輝きを描くが、ネオギャル文化はコギャル、ガングロ、ヤマンバの進化の現代版だ。映画のルーズソックスやJ-POPのノスタルジーは、ネオギャルの韓国風ファッションやK-POPダンスにつながる。奈美たちがカラオケやプリクラで友情を深めたように、ネオギャルはSNSで仲間と繋がり、ダンス動画やコーディネートを共有。コギャルの「仲間との時間」を重視する精神は、ネオギャルのオンラインコミュニティに引き継がれた。映画のテーマである「強い気持ち・強い愛」は、ネオギャルが自己表現を通じて自分らしさを貫く姿勢に反映。ネオギャル文化は、映画の青春のエネルギーをデジタル時代に再解釈し、グローバルな視点で個性を発信する文化として進化した。
レビュー 作品の感想や女優への思い