『女の勲章』は、1961年に公開された日本映画。上映時間は110分、ジャンルはドラマです。山崎豊子の同名小説を原作とし、ファッション界を舞台に女性たちの野心、欲望、虚栄心を描いた作品です。華やかな服飾業界の裏側で繰り広げられる人間模様を、スピード感のある展開で描き出しています。
主演の京マチ子をはじめとする大映の女優陣の競演が大きな見どころであり、当時の女性の生き方や社会進出の光と影を鋭く映し出した一本です。
基本情報
- 邦題:女の勲章
- 公開年:1961年
- 製作国・地域:日本
- 上映時間:110分
- ジャンル:ドラマ
女優の活躍
『女の勲章』では、大映の看板女優たちがそれぞれ個性的な役柄を演じ分け、互いに火花を散らす演技を披露しています。
京マチ子は主人公の大庭式子を演じ、落ち着いた気品と内面的な強さを表現し、物語の中心として作品を支えています。若尾文子は野心的でダークな面を持つ津川倫子を演じ、冷徹さと情念の深さを巧みに体現しました。叶順子は坪田かつ美として、計算高くも脆い部分を見せ、中村玉緒は大木富枝として純粋さと破滅への道筋を繊細に描いています。これら四人の女優は、それぞれ異なる魅力と演技力でファッション界の女たちの闘いを鮮やかに表現し、当時の大映映画の華やかさを象徴する競演となっています。
女優の衣装・化粧・髪型
『女の勲章』はファッション業界を舞台としているため、衣装・化粧・髪型が物語の重要な要素となっています。
京マチ子演じる大庭式子は、落ち着いた和風の着物や上品な洋装をまとい、控えめながらも洗練された化粧と、シンプルにまとめた髪型で、船場育ちの気品ある女性像を体現しています。若尾文子はより大胆でモダンなドレスを着こなし、濃いめのアイメイクと口紅で妖艶さを強調、髪はウェーブのかかったアップスタイルが多く、野心的な性格を視覚的に際立たせています。叶順子はエレガントなラインのドレスに清楚な化粧、髪型はセミロングのストレートで知的な印象を与え、中村玉緒は可愛らしさを残した柔らかなドレスとナチュラルメイク、ふんわりとしたカールヘアで純粋さを表現しています。これらの衣装は当時の最新モードを反映し、女優一人ひとりのキャラクター性を強く補完する役割を果たしています。
あらすじ
船場育ちのいとはんである大庭式子は、神戸で小さな洋裁教室を開いていましたが、事業拡大を目指し、布地問屋の息子である八代銀四郎を協力者に選びます。銀四郎の奔走により、甲子園に聖和服飾学院が開校し、式子は院長となります。
式子のもとには長年の内弟子である三人のデザイナー、津川倫子、坪田かつ美、大木富枝がいました。それぞれが野心を抱き、銀四郎の巧みな誘導によって互いに競い合い、欲望にまみれていきます。銀四郎は女たちを手玉にとり、事業を拡大しながらも、次第に人間関係は複雑に絡み合います。愛と金、名声と虚栄の渦の中で、四人の女性たちは破滅への道を進み、最後には悲劇的な結末を迎えます。物語は、華やかなファッションショーの裏に潜む人間の業を、容赦なく描き切っています。
解説
『女の勲章』は、高度経済成長期の日本社会を背景に、女性の社会進出とそれに伴う欲望の暴走を描いた問題作です。原作者の山崎豊子は、戦後関西のファッション界の実在の人物を取材しつつ、独自の創作を加えて人間の業を赤裸々に表現しています。
監督の吉村公三郎は、女性心理の機微を丁寧に描くことで知られ、本作でも四人の女優の内面を深く掘り下げています。特に注目されるのは、田宮二郎が演じる八代銀四郎の存在です。彼は冷徹で計算高い男として、女性たちを操りながら自らの野心を達成しようとしますが、その動機の曖昧さが逆に現代的な解釈を可能にしています。
華やかなファッションとドロドロした人間関係の対比が鮮やかであり、ラストシーンの衝撃的な終わり方は、虚栄の果ての空虚さを強く印象づけます。女性の「勲章」とは何かを問いかける、時代を超えた問いを投げかける作品です。
キャスト
スタッフ
- 監督:吉村公三郎
- 原作:山崎豊子
- 脚色:新藤兼人
- 製作:永田雅一
- 企画:土井逸雄
- 撮影:小原譲治
- 音楽:伊福部昭
- 美術:内藤昭
- 照明:増田弘
- 録音:大谷巌
以上が『女の勲章』(1961年)の詳細です。華やかな外見の裏に隠された人間の欲望を描いた本作は、現在でも色褪せることのない力強さを持っています。




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