『赤線の灯は消えず』は1958年製作の日本映画で、赤線地帯を舞台に、更生を目指す売春婦たちの物語を描きます。荒木信子は吉原を辞め、男を避けようとしますが、ヤッパのジョーに捕まり苦難の道を辿ります。仲間たちと共に脱出を試み、再出発を目指します。大映カラーで上映時間は90分。
基本情報
- 邦題:赤線の灯は消えず
- 公開年:1958年
- 製作国・地域:日本
- 上映時間:90分
女優の活躍
京マチ子は本作の主人公である荒木信子を演じます。売春婦として働いていた過去を持ち、更生を試みますが、社会の冷たい視線や暴力に苦しみます。彼女は夫を亡くし、義母の介護のために仕送りを続けていましたが、義母の死後、吉原を離れます。しかし、ヤッパのジョーから逃げ回り、妊娠が発覚する中で仲間を助けようと奮闘します。京マチ子はゴージャスな魅力で役を体現し、アグファ・カラーの映像が彼女の演技を際立たせます。
野添ひとみは葉室ヒデを演じます。旅館を営む両親の死後、家出して吉原に入り、売春婦となります。板前の宗吉と結婚目前でしたが、過去がばれて離別します。信子の口添えで再び結ばれようとしますが、宗吉の心変わりで再び別れます。野添ひとみは可愛さと粋な演技で、ヒデの内面的な葛藤を表現します。
小野道子は三津を演じます。赤線出身の女として、信子たちと共に偽装売春クラブで働き、逃亡を試みます。彼女の活躍はグループの結束を象徴します。
川上康子はセツを演じます。赤線出身の女で、信子たちの仲間として苦難を共有します。八潮悠子は菊代を演じ、グループの一員として描かれます。若松和子は秋子、南左斗子は葉子、市田ひろみはかつをそれぞれ演じ、赤線出身の女性たちの多様な人生を体現します。
倉田マユミは島子を演じ、白線の女として信子を誘い、ジョーにリンチされるなど、物語の緊張を高めます。穂高のり子は鶴江、清水谷薫はかおる、楠よし子はとしを演じ、白線の女性たちを活気づけます。
浪花千栄子はお霜を演じます。屋台のおばさんとして信子を支え、親戚の娘のように扱いますが、事故で亡くなり、信子に影響を与えます。彼女の粋な演技が印象的です。
浦辺粂子はりえを演じ、吉原の女主人として借金問題に関わります。平井岐代子はおきよ、村田知栄子はおよしを演じ、脇役として物語を支えます。
立花宮子は久子、水木麗子は文乃、藤田佳子はマリ、有吉恵子は花子を演じ、青線や白線の女性たちとして多角的に活躍します。これらの女優たちは、売春婦の更生というテーマを深く描き出し、当時の社会問題を反映した演技を披露します。
女優の衣装・化粧・髪型
京マチ子演じる荒木信子は、物語の多くで着物を着用します。吉原を離れた後、町工場や屋台で働くシーンでは、質素な着物姿が目立ちます。化粧は自然で、売春婦の過去を思わせる控えめなものですが、ゴージャスな魅力がにじみ出ます。髪型は当時の日本女性らしいまとめ髪で、苦難の生活を象徴します。
野添ひとみ演じる葉室ヒデは、着物中心の衣装です。吉原時代を回想するシーンでは華やかな着物ですが、更生後はシンプルなものに変わります。化粧は可愛さを強調し、髪型はゆるやかなアップスタイルで、粋な雰囲気を演出します。
小野道子演じる三津や川上康子演じるセツは、赤線出身らしい衣装で、グループシーンでは統一感のある着物を着ます。化粧は日常的で、髪型は実用的なまとめ髪です。
倉田マユミ演じる島子は、白線の女として派手めの着物を着用します。化粧は濃く、髪型は巻き髪風で、誘惑的な役柄を反映します。
浪花千栄子演じるお霜は、リヤカーを引くシーンで実用的な着物姿です。化粧は年配らしい薄化粧、髪型は伝統的なお団子スタイルで、親しみやすい印象を与えます。
浦辺粂子演じるりえは、女主人らしい落ち着いた着物で、化粧は厳格、髪型は整ったアップです。他の女優たちも、1950年代の日本映画らしい和服中心の衣装で、化粧と髪型は役の社会的地位に合わせた自然なものが主流です。これにより、当時の風俗がリアルに描かれます。
あらすじ
荒木信子は吉原の赤線地帯を離れ、もう二度と男に触れまいと誓います。夫に先立たれ、中風の義母のために仕送りを続けてきましたが、売春防止法施行前に義母が亡くなります。白線の女である島子の誘いに乗り、ヤッパのジョーに捕まってしまいます。
信子はジョーから逃げ出し、町工場に住み込みで働きますが、主人の誘惑に遭い、再び逃亡します。お霜婆さんの屋台を手伝い、ようやく落ち着きますが、ジョーに追われ、お霜婆さんが事故で亡くなってしまいます。屋台の継承も失敗します。
昔の同僚である葉室ヒデと再会します。ヒデは旅館経営の両親が亡くなった後、家出して吉原に入りました。板前の宗吉と結婚目前でしたが、過去がばれて離別します。信子が口を添えますが、宗吉が過去を気にしてヒデは再び別れます。
偽装売春クラブで落ち合った信子たちは、ジョーの子を妊娠した信子を中心に逃亡を試みます。島子は逃亡に失敗し、ジョーにリンチされますが、信子が「お前の子を生むため」と告げて止めます。女たちは逃げ、ジョーは追う男を防いで刺され死にます。
クラブの親玉が検挙され、信子たちは再出発を目指します。この物語は、売春婦たちの苦難と希望を描きます。
解説
映画『赤線の灯は消えず』は、売春防止法施行後の赤線地帯を舞台に、更生を試みる売春婦たちの苦難を描きます。当時の社会問題をテーマとし、世間の冷たい目や暴力が彼女たちを追い詰めます。女が無自覚なのか、社会が悪いのかという問いを投げかけます。
悲しい中にも楽しい生活を哀調豊かに表現します。オリジナル脚本で、赤線出身の女性たちの多様な人生を群像劇風に描きます。大映カラー(アグファ・カラー)を使用し、視覚的に豊かです。
監督の田中重雄は、女性たちの心理を丁寧に追い、京マチ子をはじめとした女優陣の演技を引き出します。音楽や美術も時代を反映し、社会劇として成立します。
売春婦の更生が難しく、過去の烙印が消えない現実を強調します。希望的な結末ながら、問題の根深さを示唆します。当時の日本社会の風俗やジェンダー問題を考察する上で価値があります。
キャスト
- 荒木信子(赤線出の女):京マチ子
- 葉室ヒデ(赤線出の女):野添ひとみ
- 犬太郎(ヤッパのジョー):根上淳
- 宗吉(板前):船越英二
- 三津(赤線出の女):小野道子
- セツ(赤線出の女):川上康子
- 菊代(赤線出の女):八潮悠子
- 秋子(赤線出の女):若松和子
- 葉子(赤線出の女):南左斗子
- かつ(赤線出の女):市田ひろみ
- 久子(青線出の女):立花宮子
- 文乃(青線出の女):水木麗子
- 島子(白線の女):倉田マユミ
- 鶴江(白線の女):穂高のり子
- かおる(白線の女):清水谷薫
- とし(白線の女):楠よし子
- マリ:藤田佳子
- 花子:有吉恵子
- お霜:浪花千栄子
- りえ:浦辺粂子
- おきよ:平井岐代子
- およし:村田知栄子
- 利助:高村栄一
- 浜地弓子:町田博子
- 滋:金沢義彦
- 仙造:星ひかる
- きん:竹里光子
- 幸子:久保田紀子
- 杉:小山慶子
- 時子:水原志摩子
- 長七:潮万太郎
- 篠原:見明凡太朗
スタッフ
- 監督:田中重雄
- 脚本:相良準
- 企画:久保寺生郎
- 製作:永田秀雅
- 撮影:渡辺公夫
- 美術:仲美喜雄
- 音楽:古関裕而
- 録音:西井憲一
- 照明:伊藤幸夫



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