『ザ・スパイ オペレーション・ウルトラ』(2023年)は、香港を舞台にしたクライムアクション映画。シュー・トントン演じる元潜入捜査官が、過去の復讐とジムの経営に奮闘。アクション満載で、裏社会の闇を描く。監督はカム・カーワイ、製作・脚本はバリー・ウォン。
基本情報
- 邦題:ザ・スパイ オペレーション・ウルトラ
- 原題:老板娘3
- 英題:Queen Of Triads 3
- 公開年:2023年
- 製作国:中国
- 上映時間:88分
- ジャンル:アクション
見どころ
『シャクラ』ほか、アクション映画を得意とするカム・カーウァイ監督が魅惑の肉体を持つシュー・トントンを主演に迎え、美しきスパイの活躍を圧倒的なスリルと迫力で描く。
女優の活躍
本作の主演は中華圏で人気の女優、シュー・トントン(徐冬冬)が務めており、彼女の存在感が本作の大きな魅力の一つです。シュー・トントンは、元潜入捜査官メイクイ役として、強い女性像を体現。彼女の演技は、感情の機微とアクション場面のダイナミズムの両方をバランスよく表現しており、観客を引き込みます。特に、フィットネスジムを舞台にした戦闘シーンでは、身体能力の高さを活かし、華麗な格闘技を披露。彼女のアクションは、香港映画らしいスピーディーで迫力のある動きが特徴で、観客に緊張感と興奮を与えます。また、過去のトラウマを抱えながらも正義感を失わないキャラクターの内面を丁寧に演じ、物語に深みを加えています。シュー・トントンは、本作でもそのスター性を遺憾なく発揮し、シリーズの看板女優としての期待に応える活躍を見せています。
脇を固める女優陣も注目で、ジエ・シトンやリ・スワンが出演。彼女たちはジムのスタッフや関係者として登場し、物語の進行に重要な役割を果たします。特に、ジエ・シトンは被害を受けた女性社員の一人として感情的なシーンを演じ、物語の重みを増しています。これらの女優たちの演技は、主人公の復讐劇に人間味を加え、観客に共感を呼び起こします。
女優の衣装・化粧・髪型
シュー・トントンの衣装は、彼女のキャラクターであるメイクイのライフスタイルを反映したものが多く、フィットネスジム経営者としてのカジュアルかつ実用的なスタイルが中心です。ジムのシーンでは、スポーティーなタンクトップやレギンスを着用し、動きやすさと女性らしさを両立。アクション場面では、黒を基調としたタイトな衣Instrumentが登場し、潜入捜査官としての過去を彷彿とさせるシャープな印象を与えます。これらの衣装は、彼女の力強さと美しさを強調するデザインとなっており、視覚的にも強いインパクトを与えます。
メイクアップは、アクション映画のヒロインとして自然体でありながら、シュー・トントンの美貌を最大限に引き出すよう工夫されています。ジムの日常シーンでは、ナチュラルメイクで健康的かつ親しみやすい印象を演出。一方、アクションや夜のシーンでは、ダークトーンのアイメイクやリップを用いて、クールでミステリアスな雰囲気を強調。ヘアスタイルは、ポニーテールやシンプルなアップスタイルが多く、動きやすさを重視しつつ、女性らしいエレガンスを保っています。特に、戦闘シーンでは髪をタイトにまとめたスタイルが目立ち、彼女のプロフェッショナルな一面を際立たせます。
他の女優陣も、ジムのスタッフとしてカジュアルなスポーツウェアや、物語の展開に応じたシックなドレスを着用。メイクとヘアスタイルは、日常的な設定に合わせて控えめながら、個々のキャラクターの個性を表現する工夫が施されています。全体的に、衣装とメイクは香港映画らしい実用性とスタイリッシュさを兼ね備えたものとなっています。
あらすじ
物語は、1970年代の香港を舞台に、元ICAC(香港廉政公署)の潜入捜査官メイクイ(シュー・トントン)が主人公。彼女は恋人をマフィアに殺され、潜入捜査官としてのキャリアを終えた後、フィットネスジムを経営して新たな人生を歩もうとします。しかし、ジムでは男性スタッフによるセクハラや覗き行為が横行し、さらに女性社員二人がレイプされ殺害されるという悲劇が起こります。怒りと復讐心に駆られたメイクイは、ジムの秩序を取り戻すため、そして過去のトラウマと向き合うために戦いを決意します。
一方、メイクイのジムに新たに雇われた男性スタッフ(ロン・ン)は、実は暗い過去を持つ人物。かつて黒社会に所属し、ボスを裏切ったことで弟を失った彼は、弟の復讐を胸に秘めています。メイクイとロンは互いの過去を知りながら、共通の敵に対して共闘。物語は、ジムを舞台にしたアクションと、裏社会の陰謀が絡み合うクライムドラマとして展開します。復讐と正義をテーマに、激しいアクション場面と感情的なドラマが交錯する展開が観客を引き込みます。
解説
『ザ・スパイ オペレーション・ウルトラ』は、原題『老板娘3/Queen Of Triads 3』が示す通り、香港映画のクライムアクションシリーズの第3弾です。しかし、邦題が示唆する「スパイ」要素は冒頭の数分に限定され、実際はフィットネスジムを舞台にした復讐劇が中心。このギャップが一部の観客に肩透かしを与える可能性がありますが、アクション場面自体のクオリティは高く、香港映画らしいスピーディーな格闘や銃撃戦が楽しめます。
本作は、1970年代の香港の裏社会や社会問題を背景に、女性の強さと復讐を描く点で特徴的です。特に、セクハラや女性への暴力といったテーマは、現代の視点からも共感を呼び、物語に重みを加えています。ただし、ストーリーは典型的なクライムアクションの枠組みに収まり、複雑なプロットや深い心理描写を求める観客にはやや物足りないかもしれません。それでも、シュー・トントンのアクションとカリスマ性、そして脇を固めるキャストの人間ドラマが、作品をエンターテインメントとして成立させています。
監督のカム・カーワイは、香港映画『シャクラ』の経験を活かし、テンポの良い演出でアクション場面を盛り上げます。製作・脚本のバリー・ウォンは、『ゴッドギャンブラー』シリーズで知られるベテランで、香港ノワールの雰囲気を本作にも注入。シリーズとしての連続性は薄いものの、単体作品として十分な娯楽性を提供しています。
キャスト
- シュー・トントン(徐冬冬):メイクイ役。元潜入捜査官で、ジム経営者として新たな人生を模索する女性。アクションと感情演技の両方で活躍。
- ロン・ン(呉毅将):ジムの新スタッフで、黒社会の過去を持つ男。弟の復讐を誓う。
- リー・ガ:脇役としてジムの関係者を演じる。
- ドミニク・ホー:裏社会のキャラクターとして登場。
- ジエ・シトン:被害を受けたジムスタッフの一人。
- ガイ・ジャングー:敵役として物語を牽引。
- リ・スワン:ジムの女性スタッフとして重要な役割を果たす。
スタッフ
- 監督:カム・カーワイ(『シャクラ』)
- 製作・脚本:バリー・ウォン(『ゴッドギャンブラー』シリーズ)
- 撮影:未公開情報
- 音楽:未公開情報
総評
『ザ・スパイ オペレーション・ウルトラ』は、シュー・トントンを中心としたアクションと復讐劇が魅力の作品です。邦題によるスパイ映画の期待とは異なり、香港ノワールと女性の闘いを描いたクライムアクションとして楽しむべき作品です。衣装やメイクはキャラクターの個性を引き立て、アクション場面は香港映画の伝統を受け継ぐ迫力があります。ストーリーの単純さやスパイ要素の薄さは欠点ですが、娯楽作品として気軽に楽しめる一本です。
レビュー 作品の感想や女優への思い