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愛のタリオ

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ソウルの大学教授ハッキュはスキャンダルで片田舎へ単身赴任し、廃れゆく遊園地で働く純真な少女ドクと激しい愛欲に溺れます。復職が決まると妊娠した彼女を残してソウルへ去り、八年後に視力を失った彼の隣へ女が引っ越してきます。依存と嫉妬、復讐が絡み合うサスペンス。

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イ・ソムのフルヌードから、スタイルの良さが釘付けになりました。ケバくなるにつれにやってくるハイヒール。彼女をはじめ各スタッフの演技も良いし、「愛のハンムラビ法典」により、二転三転する展開も素敵。

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基本情報

  • 邦題:愛のタリオ
  • 原題:마담 뺑덕
  • 英題:Madam Ppang-Deok/Scarlet Innocence
  • 公開年:2014年
  • 製作国:韓国
  • 上映時間:120分
  • ジャンル:サスペンス

女優の活躍

本作の軸を握るのは、ドク役のイ・ソムです。モデル出身で、公開当時はまだ映画界でのキャリアが浅かったにもかかわらず、純真な地方の少女と、八年後に復讐を遂げる都会的な女という二つの顔を、一人で演じ分けています。前半では、退屈な日常から抜け出したい二十歳の好奇心と、初めての恋愛に全身で傾く危うさが画面ににじみます。後半では、セジョンと名を変えてハッキュの隣へ入り込み、優しさを装いながら相手の弱みを正確につかむ計算高さが加わります。

イ・ソムは、捨てられた痛みを声高に語るのではなく、視線の温度や歩き方、言葉の間で変化を見せます。ハッキュにすがる場面と、主導権を握ったあとの冷たい静けさとの落差が大きく、観る者は同じ人物だと知りつつも別人のように感じます。第51回大鐘賞と第35回青龍映画賞では新人女優賞にノミネートされ、大胆なラブシーンだけでなく、役の内面を運ぶ演技力でも注目を集めました。

娘チョンを演じるパク・ソヨンも重要です。母親の死を父のせいだと恨む一方で、父の隣にいるセジョンへ嫉妬と依存を重ねていきます。未熟さと鋭さが混ざる年頃の感情を、過剰に説明せずに運んでいます。妻役のユン・セアは登場時間こそ多くありませんが、うつ病に沈む生活の重さを短い場面で残し、のちの悲劇へつながる余韻を作ります。

イ・ソムをはじめとする女優陣は、男性主人公の欲望だけを飾る存在ではありません。捨てられた側、取り残された側、父を失いたくない側として、物語の転調を実際に動かしています。二転三転する展開が成立するのは、彼女たちの表情が「純愛」から「執念」へ自然に移っていくからです。

女優の衣装・化粧・髪型

イ・ソムの視覚的な変貌は、物語そのものです。前半のドクは、廃遊園地の売票口に似合う簡素な服が中心です。薄い色のシャツやカーディガン、動きやすいボトムスなど、地方の日常に溶け込む装いが続きます。化粧はほぼ素顔に近く、肌の質感を残し、唇も控えめで、二十歳の無防備さが伝わります。髪は自然な長さで下ろすか、軽くまとめる程度で、飾らない印象を保っています。

八年後のセジョンになると、空気が変わります。ボディラインがはっきり見えるドレスやタイトなワンピース、光沢のある素材が増え、都会の夜に立つ女の輪郭が強調されます。ケバく、派手になっていく過程で登場するハイヒールは、歩き方そのものを変えます。かかとを上げた歩幅は、かつての少女が持っていたためらいを消し、相手を見下ろす高さへと移していきます。化粧はアイラインと口紅が濃くなり、目元に影を置くことで、優しさの奥にある計算が見えるように設計されています。髪型もセット感が強くなり、前髪や巻きの形が意図的です。

ラブシーンにおける裸体は、単なる刺激ではなく、前半の無防備さと後半の武器化を対比させる装置です。前半では触れられることに戸惑いながらも相手へ開いていく身体として、後半では相手の視覚が失われていくなかで支配の手段として使われます。衣装担当のチェ・ギョンファは、素朴さと艶を同じ女優の体型の上で切り替え、イ・ソムのスタイルの良さを物語の転換点に結びつけています。

パク・ソヨンのチョンは、学生らしいカジュアルな服から、夜の街へ出るときの少し大人びた装いへ揺れます。母親を失った娘が、父の女に近づきすぎる危うさが、化粧の濃淡と髪の乱れ方にも表れます。ユン・セアの妻は、室内着中心で血色の弱い化粧が続き、家庭の沈みが視覚化されています。

あらすじ

ソウルの大学で文学を教えていたハッキュは、学生とのスキャンダルに巻き込まれ、地方の文化センターへ講師として赴任します。うつ病の妻と幼い娘チョンを都に残した単身赴任の日々は退屈で、彼は廃業が近い遊園地で働くドクと出会います。耳の不自由な母と暮らすドクは、見合い話が持ち上がるような閉鎖的な町に飽きていました。文学講座へ通ううち、二人は激しい関係に落ちていきます。

町では噂が広がり、ドクの母は深く動揺します。やがて友人ドンウの奔走で嫌疑が晴れ、ハッキュは大学復帰を言い渡されます。そのときドクは妊娠を告げますが、彼は中絶を選び、連絡すると約束してソウルへ帰ります。時を同じくして、妻は娘の目の前で自ら命を絶ちます。

八年後、ハッキュは作家として名を得ますが、放蕩と賭博に溺れ、視力を奪う病が進行します。成長したチョンは母の死を父のせいだと考え、反発と依存のあいだを揺れます。そんな隣へセジョンと名乗る女が越してきます。ほとんど目が見えないハッキュは、彼女がかつてのドクだとは気づかず、生活のすべてを預けていきます。チョンもまたセジョンへ惹かれ、三人の関係は嫉妬と執着で歪みます。主導権を握ったドクは、ハッキュの財産も尊厳も崩そうとします。

古典『沈清伝』では、盲目の父のために身を捧げる娘と、父を食いものにする悪女ッペンドクが対比されます。本作はその構図を現代の情念劇へ裏返し、捨てた男、捨てられた女、取り残された娘の三者が互いを傷つけ合う結末へ向かいます。

解説

監督イム・ピルソンは、『南極日誌』や『ヘンゼルとグレーテル』で知られる映像派です。本作は民話の孝をそのまま美談にせず、欲望に忠実な男と、純愛を踏みにじられた女の報復を中心に据えています。原題『마담 뺑덕』は、古典で悪妻の代名詞とされるッペンドクをタイトルに掲げ、物語の焦点が娘ではなく女の変貌にあることを示しています。

構成は大きく二部です。前半は地方の湿った空気と廃遊園地の色彩で、禁断の恋愛の熱を描きます。後半はソウルの夜、カジノ、薄暗い室内へと移り、視覚を失う男と、視覚を武器にする女の力関係が逆転します。撮影のイ・ソンジェは、昼間の素朴さと夜間の人工的な光を対比し、音楽のモグは情念を過度に歌わず、不安の低音で支えています。

テーマは愛そのものというより、愛を口実にした所有です。ハッキュは名誉も家庭も若い身体も同時に握ろうとし、握った瞬間に捨てます。ドクは捨てられたあと、優しさという仮面で相手の生活へ入り込みます。チョンは父を憎みながら父を失いたくないという矛盾を抱え、セジョンへ接近します。三人とも「無頼」であり、誰かが一方的に正しいわけではありません。

日本では2015年2月7日にR-18指定で公開され、上映時間は112分前後と案内されました。韓国公開は2014年10月2日、観客動員は約47万人規模でした。トロント国際映画祭でも上映され、チョン・ウソンとイ・ソムの対比が「韓国的なネオノワール」として紹介されました。興行的な大ヒットではありませんでしたが、イ・ソムの転調と、民話を情念劇へ裏返す着想は、のちの彼女の代表作の一つとして語られています。

宿命が交錯する後半は、どんでん返しの誘惑だけでなく、視覚を失う男が「見ないことで都合のよい物語を信じ続ける」構造が効いています。観る側はセジョンの正体を知ったうえで、ハッキュが気づかない時間を過ごすことになります。その残酷さが、サスペンスとしての手触りです。

キャスト

  • チョン・ウソン:ハッキュ(シム・ハッキュ)。ソウルの文学教授であり、のちに作家となる男。欲望に忠実で、家庭も恋も同時に手放さない。
  • イ・ソム:ドク/セジョン。廃遊園地の売票係から、八年後に隣へ越してくる女へ変貌する。
  • パク・ソヨン:チョン。ハッキュの娘。母の死を父のせいだと考え、セジョンへ嫉妬と依存を重ねる。
  • キム・ヒウォン:チェ氏。賭場を仕切る男。金と暴力でハッキュの転落を加速させる。
  • ユン・セア:ハッキュの妻。うつ病に苦しみ、短い登場で家庭の崩壊を印象づける。
  • キム・ナムジン:ドクの母。耳が不自由で、娘の恋を案じる。
  • イ・チャンフン:ドンウ。ハッキュの友人。スキャンダルの収拾を助ける。
  • ヤン・ジヌ:眼科医。視力を失っていく過程を医学的に示す。
  • パク・ソヨン(幼少):幼いチョン。
  • パク・ソダム:クラブにいるチョンの友人。
  • ソン・ソクク:賭場の手下。

スタッフ

  • 監督:イム・ピルソン
  • 脚本:チャン・ユンミ
  • 脚色:イム・ピルソン
  • 製作:ソ・ジョンヘ
  • 撮影:イ・ソンジェ
  • 照明:イ・ビョンフン
  • 編集:キム・サンボム
  • 音楽:モグ
  • 美術:ヤン・ホンサム
  • 衣装:チェ・ギョンファ
  • ヘアメイク:ファン・スジョン
  • 製作会社:映画社アニマルキングダム、CJエンターテインメント
  • 配給(日本):CJ Entertainment Japan

製作国は韓国、公開年は2014年、ジャンルはサスペンスと情念 Melodrama の境界にあります。人名に敬称は付けず、参考情報も本文中の事実関係に限っています。イ・ソムの身体とハイヒールが印象に残るのは、単なる露出ではなく、純真が復讐の意匠へ変わる過程を衣装と化粧が正確に運んでいるからです。

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