『連続ドラマW 正体』は、染井為人のサスペンス小説を原作に、死刑囚・鏑木慶一が脱獄し、偽名と変装で人々を救いながら真実を追う物語。WOWOWで2022年3月12日から4月2日まで全4話放送。亀梨和也主演、中田秀夫らが監督を務め、緊張感溢れる展開が話題に。
あらすじ
『連続ドラマW 正体』は、埼玉県で起きた夫婦とその幼い息子の殺害事件の容疑者として逮捕され、死刑判決を受けた鏑木慶一（亀梨和也）が主人公です。18歳で逮捕された彼は、神戸拘置所への移送中に刑務官の隙をついて脱獄。テレビやマスメディアで大きく報じられ、警察の追跡を逃れながら、偽名と変装を駆使して潜伏生活を送ります。逃亡先で出会う人々――工事現場の作業員・野々村和也（市原隼人）、ライター兼ディレクターの安藤沙耶香（貫地谷しほり）、痴漢冤罪に悩む弁護士・渡辺淳二（上川隆也）――をそれぞれの窮地から救い、彼らに希望を与えます。しかし、彼が指名手配中の死刑囚だと気づいた人々は、「彼は本当に殺人犯なのか？」と疑問を抱き始めます。鏑木の行動の裏には、冤罪を晴らすための執念と、事件の真相を追う目的が隠されているのでしょうか。物語は、彼の“正体”とその動機を巡るサスペンスが展開し、視聴者を引き込みます。
解説
『正体』は、染井為人の同名小説を基にしたサスペンスドラマで、冤罪、逃亡、正義の在り方をテーマに描かれています。原作とは異なる結末が採用され、原作者の染井為人は「ドラマチームに感謝」とコメントする一方、独自の解釈が加えられたことで話題となりました。監督の中田秀夫は、『リング』や『事故物件 恐い間取り』で知られるホラー・サスペンスの巨匠であり、本作でも緊張感溢れる演出が光ります。脚本は前川洋一が担当し、緻密な心理描写と展開のテンポが特徴です。全4話という短編構成ながら、各話で鏑木が新たな人物と関わり、彼らの人生に影響を与えるエピソードが丁寧に描かれ、視聴者に深い余韻を残します。本作は2022年にMIPCOM BUYERS’ AWARD for Japanese Dramaのグランプリを受賞し、その完成度が高く評価されました。
女優の活躍
本作では、黒木瞳、貫地谷しほり、堀田真由、若村麻由美、高畑淳子といった実力派女優が重要な役割を果たしています。
黒木瞳（井尾由子役）
被害者夫婦の夫の母親で、若年性認知症を患う井尾由子を演じます。事件のトラウマを抱えながら介護施設で生活する難しい役どころを、繊細かつ情感豊かに表現。彼女の演技は、物語の重厚なテーマに深みを与え、視聴者に強い印象を残しました。黒木の落ち着いた佇まいと、時折見せる感情の揺れが、物語の核心に迫る重要なシーンで光ります。
貫地谷しほり（安藤沙耶香役）
ライター兼ディレクターの安藤沙耶香として、鏑木と心を通わせる女性を演じます。不倫関係の清算後の孤独感や、鏑木への複雑な感情を見事に表現し、物語に温かさと人間味を加えました。彼女の自然体な演技は、視聴者に親近感を与え、鏑木との関係性の変化を丁寧に描き出しています。
堀田真由（酒井舞役）
若手女優として注目される堀田は、物語の鍵を握る役で登場。彼女の清純な魅力と、物語後半での意外な展開への関与が、視聴者に新鮮な驚きを提供しました。
若村麻由美・高畑淳子
両者ともベテラン女優として、物語の脇を固める重要な役で出演。彼女たちの存在感は、作品全体の緊張感とリアリティを高め、特に高畑の迫真の演技は視聴者を圧倒しました。
小括
女優陣は、それぞれの役柄で感情の機微を丁寧に演じ、男性中心の逃亡劇に人間ドラマの深みを加えています。
女優の衣装・化粧・髪型
黒木瞳
井尾由子役では、介護施設での生活を反映したシンプルで落ち着いた衣装が中心。淡い色調のニットやカーディガンで、穏やかだがどこか憂いを帯びた雰囲気を演出。化粧はナチュラルで、年齢感を自然に表現しつつ、認知症の影響を感じさせるやつれた表情を強調。髪型はショートカットで、動きやすく清潔感のあるスタイルが採用され、役のリアリティを高めました。
貫地谷しほり
安藤沙耶香は、ライターらしいカジュアルかつ知的さを兼ね備えた衣装が特徴。シャツにデニムやトレンチコートを合わせ、都会的な女性像を表現。化粧は控えめで、ナチュラルメイクが彼女の親しみやすさを引き立てます。髪型はセミロングのゆるいウェーブで、柔らかさと大人の女性らしさを演出。
堀田真由
若々しい役柄に合わせ、明るい色合いのカジュアルな衣装やワンピースが多用され、フレッシュな印象を与えます。メイクは透明感を重視し、ナチュラルながらも若さを強調。髪型はポニーテールやハーフアップで、活発で純粋なキャラクター性を表現。
小括
女優陣の衣装やメイクは、各キャラクターの背景や心情を反映し、視覚的に物語を補完しています。特に、黒木瞳と貫地谷しほりの対照的なスタイルが、物語の多面性を強調しました。
キャスト
- 鏑木慶一：亀梨和也（幼少期：徳永光樹）
- 井尾由子：黒木瞳
- 野々村和也：市原隼人
- 安藤沙耶香：貫地谷しほり
- 渡辺淳二：上川隆也
- 又貫征吾（刑事）：音尾琢真
その他、堀田真由、濵田崇裕（ジャニーズWEST）、若村麻由美、高畑淳子、奥貫薫、和田瞳ら、豪華なキャスト陣が物語の多層的な人間関係を鮮やかに描き出しています。
スタッフ
- 原作：染井為人『正体』（光文社文庫）
- 監督：中田秀夫（『リング』『事故物件 恐い間取り』）、谷口正晃
- 脚本：前川洋一（『連続ドラマW 華麗なる一族』）
- 音楽：やまだ豊
- 製作：WOWOW、カルチュア・エンタテインメント
中田秀夫の緊張感ある演出と、前川洋一の緻密な脚本が、原作のサスペンスをドラマとして昇華。音楽も物語の緊迫感を高める要素となりました。
まとめ
『連続ドラマW 正体』は、冤罪と逃亡を軸に、人間の善悪や正義を問うサスペンスドラマです。亀梨和也の迫真の演技、黒木瞳や貫地谷しほりら女優陣の情感豊かなパフォーマンス、緻密な演出と脚本が織りなす全4話は、視聴者に深い思索と感動を与えます。衣装やメイクもキャラクターの個性を際立たせ、物語のリアリティを高めました。
レビュー 作品の感想や女優への思い