「ステージ・マザー」は2020年にカナダで製作されたコメディ映画。保守的なテキサスの教会聖歌隊指揮者であるメイベリンが、疎遠だったゲイの息子の死後、サンフランシスコのドラッグクラブを相続。そこで出会った人々との交流を通じて、偏見を乗り越え、クラブを再生させる物語。ジャッキー・ウィーヴァー主演で、LGBTQ+コミュニティの温かさと家族の絆を描写。上映時間は93分。
基本情報
- 邦題:ステージ・マザー
- 原題:Stage Mother
- 公開年:2020年
- 製作国:カナダ
- 上映時間:93分
- ジャンル:コメディ
見どころ
ドラァグクイーンの息子の死後、保守的な母親が新たな人生を歩み、友情を育む姿を描いた感動ドラマ。何歳になっても自分らしく生きることの大切さを教えてくれる。
女優の活躍
本作では、主演のジャッキー・ウィーヴァーをはじめ、ルーシー・リュー、マイア・テイラー、ジャッキー・ビートといった女優たちが印象的な活躍を見せています。
ジャッキー・ウィーヴァーは、メイベリン・メトカーフ役を演じています。彼女は保守的なテキサスの主婦から、ドラッグクラブのオーナーへと変貌するキャラクターを、ユーモアと感動を交えながら見事に体現しています。ウィーバーの演技は、鋭い一言や感情の機微を自然に表現し、観客を引き込む力強さがあります。特に、物語のクライマックスで自らの声で歌うシーンは、彼女の歌唱力と演技力が光り、批評家からも高い評価を受けています。ウィーバーはこれまで「アニマル・キングダム」や「シルバーライニング・プレイブック」などでアカデミー賞にノミネートされた実力派で、本作でもその経験を活かし、母親の葛藤と成長を深く描き出しています。
ルーシー・リューは、シエナ役で出演しています。シエナは息子の親友で、シングルマザーとして乱れた生活を送るキャラクターです。リューは、この役を生き生きと演じ、疲弊しつつもユーモラスな側面を強調しています。彼女の登場シーンから映画に活気を吹き込み、ストーリーを盛り上げる存在となっています。リューは「チャーリーズ・エンジェル」や「キル・ビル」などでアクション女優として知られていますが、本作ではコメディ要素を前面に出し、観客を楽しませています。彼女の演技は、シエナの複雑な感情を繊細に表現し、友情の温かさを伝えています。
マイア・テイラーは、チェリー役を務めています。チェリーはシャイなトランスジェンダーのドラッグクイーンで、テイラーは役に優しさと忍耐強さを吹き込んでいます。彼女の演技は、キャラクターの内面的な葛藤を静かに描き、観客に共感を呼んでいます。テイラーは「タンジェリン」でインディペンデント・スピリット賞を受賞した経歴を持ち、本作でもその才能を発揮しています。
ジャッキー・ビートは、ダスティ・マフィン役で、ベテランのドラッグクイーンとしてコミカルな演技を披露しています。彼女の存在は、クラブの雰囲気を活気づけ、映画のコメディ面を支えています。
これらの女優たちは、それぞれの役を通じて、LGBTQ+コミュニティの多様性を体現し、物語に深みを加えています。全体として、女優たちの活躍は映画の魅力の中心であり、批評家からも好評です。
女優の衣装・化粧・髪型
本作の女優たちの衣装、化粧、髪型は、物語のテーマであるドラッグ文化と保守的な背景の対比を強調する形でデザインされています。ジャッキー・ウィーヴァー演じるメイベリンは、物語の序盤ではテキサスの保守的な主婦らしいシンプルな衣装を着用しています。花柄のブラウスやスカート、控えめなメイクアップ、短めのストレートヘアが特徴で、彼女の内気で伝統的な性格を反映しています。しかし、物語が進むにつれ、サンフランシスコの影響を受け、衣装は徐々に明るくカジュアルなものに変わります。終盤では、クラブのイベントで少し派手なドレスを着用し、メイクも軽く強調され、髪型はゆるくウェーブがかかったスタイルになり、キャラクターの成長を視覚的に表現しています。
ルーシー・リュー演じるシエナは、シングルマザーとしての乱れた生活を表す衣装が目立ちます。くしゃくしゃのTシャツやジーンズ、時には派手なアクセサリーを付け、化粧はスモーキーアイや赤いリップで疲れた都会的な雰囲気を演出しています。髪型はロングヘアを無造作にまとめ、煙草をくわえながらのシーンでそのルーズさが強調されます。このスタイリングは、シエナの自由奔放さを象徴し、ルーシーの演技をより生き生きとさせています。
マイア・テイラー演じるチェリーは、ドラッグクイーンとして華やかな衣装が特徴です。スパンコールのドレスやハイヒール、派手なメイクアップ(濃いアイシャドウ、長いまつ毛、鮮やかなリップ)が施され、髪型はボリュームのあるウィッグを使用しています。これらの要素は、クラブのパフォーマンスシーンで視覚的に際立ち、テイラーのシャイな役柄とのコントラストを強調します。
ジャッキー・ビート演じるダスティ・マフィンは、ベテランらしい過剰なドラッグスタイルで、派手な衣装、厚化粧、派手なウィッグが印象的です。全体的に、映画の衣装とメイクはハリファックスのメイクアーティスト、クリス・コクラン(ステージネーム: エル・ノワール)の手によるもので、視覚的に見事で、ドラッグ文化の魅力を高めています。これらのスタイリングは、女優たちの活躍を支え、映画のコメディとドラマを豊かにしています。
あらすじ
テキサスの小さな町レッド・ヴァインで、保守的な教会の聖歌隊指揮者を務めるメイベリン・メトカーフは、息子のリッキーがゲイであることを理由に疎遠になっていました。ある日、リッキーがサンフランシスコのドラッグクラブ「パンドラズ・ボックス」でステージ上でオーバードーズにより亡くなったという知らせを受けます。夫のジェブはクラブを売却するよう促しますが、メイベリンは息子の遺産を確かめるため、サンフランシスコへ向かいます。
現地で彼女は、リッキーの恋人ナサン、親友のシエナ、そしてクラブのドラッグパフォーマーたち—ジョーン・オブ・アーク、テキーラ・モッキンバード、チェリー—と出会います。クラブは経営難で閉鎖の危機にあり、メイベリンは最初は戸惑いますが、息子の思い出に触れ、徐々に彼らの世界に溶け込んでいきます。彼女は聖歌隊の経験を活かし、パフォーマーたちを歌手として訓練し、クラブを再生させる計画を立てます。
物語は、メイベリンが偏見を捨て、LGBTQ+コミュニティを受け入れる過程を描きます。シエナの虐待的なデートやジョーンの依存症などのドラマが加わり、メイベリンは母親らしい優しさで彼らを支えます。最終的に、クラブは成功を収め、メイベリンは新たな人生を見つけます。このあらすじは、喪失と再生、受け入れのテーマをユーモラスに展開します。
解説
「ステージ・マザー」は、トム・フィッツジェラルド監督による心温まるコメディで、LGBTQ+コミュニティと保守的な価値観の衝突をテーマにしています。物語は、母親の喪失感と成長を軸に、ドラッグ文化の魅力を紹介し、観客に多様性の重要性を伝えています。脚本はブラッド・ヘニグによるもので、予測可能な展開ながら、ユーモアと感動のバランスが取れています。批評家からは、ジャッキー・ウィーヴァーの演技が高く評価され、ドラッグシーンでの視覚効果も魅力です。
映画は、カナダのノバスコシアで撮影され、サンフランシスコの活気ある雰囲気を再現しています。音楽はウォーレン・ロバートが担当し、聖歌とドラッグソングの融合がユニークです。本作は、2020年のパームスプリングス国際映画祭でプレミア上映され、スタンディングオベーションを受けました。テーマとして、家族の絆と偏見の克服が強調され、現代社会の多文化共生を反映しています。全体的に、軽快なトーンで重い話題を扱い、幅広い観客にアピールします。
キャスト
- ジャッキー・ウィーヴァー:メイベリン・メトカーフ
- ルーシー・リュー:シエナ
- エイドリアン・グルニエ:ナサン
- マイア・テイラー:チェリー
- アリスター・マクドナルド:ジョーン・オブ・アーク
- オスカー・モレノ:テキーラ・モッキンバード
- ジャッキー・ビート:ダスティ・マフィン
- レノア・ザン:ベベッテ
スタッフ
- 監督: トム・フィッツジェラルド
- 脚本: ブラッド・ヘニグ
- 製作: アン・クレメンツ、J・トッド・ハリス、ブラッド・ヘニグ、ダグ・ペティグルー、ローリー・クラウス・ラコブ
- 撮影: トーマス・M・ハーティング
- 編集: ヤニブ・ダバッチ
- 音楽: ウォーレン・ロバート
レビュー 作品の感想や女優への思い