カンザス州は米国中西部に位置し、グレートプレーンズの中心に広がる平坦な地形が特徴。州都はトピカ、最大都市はウィチタ。農業と牧畜が盛んで、小麦の生産が特に有名。出身女優にキルスティン・ダンスト、アネット・ベニング、ルイーズ・ブルックス、ヘスティン・ムーアら。
歴史
カンザス州の歴史は、1000年以上にわたりこの地に住んでいた先住インディアン部族から始まります。カンサ族にちなんで名付けられたこの地域は、19世紀初頭まで多くの先住部族の故郷でした。1803年のルイジアナ購入により、米国の一部となり、1827年にフォートレブンワースで非先住者の最初の入植が始まりました。1850年代には奴隷制度を巡る政治的対立が激化し、「血を流すカンザス(Bleeding Kansas)」と呼ばれる内戦前の衝突が起こりました。この時期、奴隷制度反対派と賛成派の間で暴力的な対立が頻発し、カンザスは南北戦争の前哨戦の舞台となりました。1861年1月29日、カンザスは奴隷制度を禁止する自由州として合衆国34番目の州に加盟しました。19世紀後半には、鉄道の拡張と共に農業が発展し、特に小麦やトウモロコシの生産が州経済の基盤となりました。20世紀に入ると、航空機製造や石油産業も成長し、ウィチタは「世界の航空首都」として知られるようになりました。現在もカンザスは農業と工業のバランスを保ちつつ、歴史的な遺産を大切にする州として発展を続けています。
芸術
カンザス州の芸術シーンは、その広大な平原と農村文化に影響を受けつつ、都市部で独自の発展を遂げています。しかし、2011年にサム・ブラウンバック知事(当時)がカンザス芸術委員会を閉鎖し、州の芸術支援が縮小されたことは大きな議論を呼びました。これは米国で初めて芸術関連機関を持たない州となった出来事で、芸術家や支援者から強い反発がありました。それでも、カンザスシティやローレンスなどの都市では、芸術と文化が根強く育まれています。特にカンザスシティの39thストリート地区は、ボヘミアン文化の中心地として知られ、ギャラリーやライブハウスが集まります。また、カントリークラブ・プラザは高級ショッピングエリアとして、屋外彫刻やアートイベントで観光客を引きつけます。州内では、インディアン文化や開拓時代の歴史をテーマにした美術作品も多く、ウィチタ美術館やトピカのマルベリー州立美術館などで展示されています。音楽面では、カンザスシティのジャズ文化が特に有名で、1930年代のビッグバンド時代にルーツを持ち、現代でもライブ音楽が盛んです。こうした芸術活動は、地域コミュニティの情熱によって支えられています。
登場する映画
カンザス州は、その象徴的な平原の風景や歴史的背景から、多くの映画の舞台やロケ地として登場します。以下は代表的な作品です。
- スーパーマン(2025年):DCユニバースのリブート作品で、カンザス州のスモールビルで育ったクラーク・ケントがスーパーマンとして覚醒する物語。現代的な視点で彼の起源を描き、ヒーローとしての葛藤や人間性を強調。カンザスの農場風景が象徴的に描かれ、壮大なビジュアルとアクションが特徴です。
- ジミーとジョルジュ 心の欠片を探して(2013年):カンザス州の小さな町を舞台に、認知症の老夫婦が過去と向き合い絆を取り戻す感動作。静かな田園風景と心温まる物語が調和し、家族愛と記憶の大切さを描きます。繊細な演技とリアルな感情表現が評価されています。
- マン・オブ・スティール(2013年):スーパーマンのリブート作品で、カンザス州スモールビルで育つクラーク・ケントの成長が描かれます。地球外の起源と人間性との葛藤を軸に、カンザスの広大な風景が物語の背景として効果的に使われ、壮大なアクションと深いテーマが融合しています。
- オズ はじまりの戦い(2013年):オズの魔法使いの前日譚で、カンザスのサーカス団員がオズの国へ飛ばされる冒険譚。カラフルなビジュアルと魔法の世界が魅力で、カンザスの田舎町の描写が主人公の現実と夢の対比を強調。ファンタジーと冒険心を刺激する作品です。
- LOOPER/ルーパー(2012年):近未来のカンザスを舞台にしたSFアクション。タイムトラベルを利用した暗殺者「ルーパー」の物語で、時間旅行の倫理と運命がテーマ。カンザスの農場や荒廃した風景が、緊張感あるストーリーに独特の雰囲気を与えています。
- マイレージ、マイライフ(2009年):カンザス州ウィチタを拠点とする解雇請負人の孤独な旅を描く人間ドラマ。現代社会の不安定さと人間関係の希薄さを、カンザスの平凡な町並みを背景に描き、主人公の内面的な変化を丁寧に描写した作品です。
- カポーティ(2005年):作家トルーマン・カポーティがカンザスでの殺人事件を取材する実話を基にした伝記映画。カンザスの田舎町の冷たく静かな雰囲気が、事件の重苦しさとカポーティの心理を際立たせ、深い人間洞察と文学的テーマが特徴です。
- アイス・ハーヴェスト 氷の収穫(2005年):カンザス州ウィチタを舞台にしたブラックコメディ・犯罪映画。クリスマスイブに巻き起こる裏切りと犯罪の連鎖を描き、凍てつくカンザスの冬が物語の不穏なムードを強調。ユーモアと緊張感が絶妙に混ざり合います。
- ルックアウト/見張り(2007年):カンザス州の小さな町の銀行員が犯罪に巻き込まれるサスペンス。過去の事故による記憶障害を抱える主人公の心理が、カンザスの静かな町並みを背景に巧みに描かれ、緊張感と人間ドラマが交錯する作品です。
- ダーク・プレイス(2015年):カンザス州の農村で起きた家族殺人事件の真相を探るミステリー。過去と現在の視点が交錯し、カンザスの荒涼とした風景が物語の暗い雰囲気を増幅。サスペンスと心理的な掘り下げが魅力の作品です。
- ナイト&デイ(2010年):カンザス州ウィチタで始まるアクションコメディ。平凡な女性がスパイに巻き込まれ、世界を駆け巡る冒険が展開。カンザスの日常的な町並みが、突如始まる非日常の物語の対比として効果的に使われています。
- ブライトバーン/恐怖の拡散者(2019年):カンザスに墜落した宇宙船から来た少年が、邪悪な力に目覚めるホラーSF。スーパーマン神話を暗くひねった物語で、カンザスの農村の静けさが恐怖の舞台として対比的に描かれ、緊張感を高めます。
- イン・ザ・トール・グラス -狂気の迷路-(2019年):カンザスの広大な草原に迷い込んだ姉弟が、超自然的な恐怖に直面するホラー。背の高い草に閉じ込められる閉塞感と、カンザスの無限に広がる風景が、心理的な恐怖と混乱を強調します。
- スーパーマンIII/電子の要塞(1983年):スーパーマンがカンザス州スモールビルに帰郷する物語。コンピュータの脅威と戦うアクションが中心で、カンザスの田舎町が故郷の温かさとして描かれ、ヒーロー映画の軽快な魅力が楽しめます。
- シティヒート(1984年):1930年代のカンザスシティを舞台にしたアクションコメディ。探偵と相棒がギャングと対決する物語で、カンザスシティのレトロな雰囲気とユーモアが特徴。豪華なキャストによる軽快な掛け合いが魅力です。
- スーパーマン(1978年):クラーク・ケントがカンザス州スモールビルで育ち、スーパーマンとして活躍する物語。カンザスの農場が彼の人間性を育む場として描かれ、壮大な冒険と感動的なドラマが融合した名作です。
- さよならミス・ワイコフ(1979年):1950年代のカンザスを舞台に、教師の女性が禁断の関係に悩むドラマ。保守的な町の雰囲気と主人公の内面の葛藤が丁寧に描かれ、カンザスの閉鎖的な社会が物語の重みを増しています。
- ペーパー・ムーン(1973年):大恐慌時代のカンザスを舞台に、詐欺師と少女の旅を描くロードムービー。カンザスの荒涼とした風景が、ユーモアと温かさに満ちた物語の背景として効果的に使われ、名演が光る名作です。
- カンザス/カンザス経由→N.Y.行き(1988年):カンザスからニューヨークを目指す若者たちの冒険コメディ。カンザスの田舎町を出発点に、友情と成長を描く。軽快なストーリーとカンザスの牧歌的な風景が、青春の瑞々しさを引き立てます。
- ザ・デイ・アフター(1983年):カンザス州を舞台にした核戦争後の世界を描くTV映画。核攻撃の恐怖と人間のサバイバルをリアルに描写し、カンザスの日常的な町が破壊される様子が、戦争の悲惨さを強く訴えます。
- マーズ・アタック!(1996年):カンザスを含む地球全土が火星人の侵略を受けるSFコメディ。カンザスの田舎町が奇抜なエイリアン攻撃の舞台となり、ユーモアとパロディが満載。風刺的な視点で人間社会を描いています。
- ザ・ロック(1996年):カンザス出身の化学兵器専門家がアルカトラズ島でのテロ事件に挑むアクション。カンザスは主人公の背景としてわずかに登場し、平凡な出自と過酷なミッションの対比が物語に深みを加えています。
- 終身犯(1999年):カンザス州の刑務所を舞台にしたコメディドラマ。冤罪で投獄された男性が仲間と絆を築く物語で、カンザスの閉鎖的な環境がユーモアと人間性を引き立てます。軽快な展開と心温まるテーマが特徴です。
- ニア・ダーク/月夜の出来事(1987年):カンザスを舞台に、若者が吸血鬼の一団に巻き込まれるホラー。カンザスの広大な夜の風景が、孤独と恐怖の雰囲気を増幅。アクションとロマンスが混在し、カルト的な人気を誇ります。
- 許されざる者(1992年):カンザスを拠点に活動する退役ガンマンの復讐劇。西部劇の古典的要素と暗い人間ドラマが融合し、カンザスの荒野が物語の重厚な雰囲気を強調。クリント・イーストウッドの名演が光ります。
- 硝煙のカンサス(1953年):南北戦争後のカンザスを舞台にした西部劇。無法者と法執行官の対立を描き、カンザスの荒々しい風景が物語の緊張感を高めます。クラシックな西部劇の魅力が詰まった作品です。
- 笑国万歳(1989年):カンザス州の小さな町が独立国家を宣言するコメディ。風刺的なユーモアとカンザスの田舎町の素朴さが融合し、個性的なキャラクターたちが織りなす軽快な物語が楽しめます。
- 冷血(1967年):カンザス州の農村で起きた実在の家族殺人事件を基にした犯罪ドラマ。モノクロの映像とカンザスの静かな田舎町が、事件の冷酷さと人間の闇を際立たせ、ドキュメンタリー風の緊張感が特徴です。
- ピクニック(1955年):カンザス州の小さな町での労働者の恋愛と葛藤を描くロマンスドラマ。カンザスの牧歌的な風景と1950年代の社会規範が、情熱的な物語の背景として効果的に使われ、情感豊かな名作です。
- 草原の輝き(1961年):カンザス州の農村を舞台に、若い恋人たちの情熱と悲劇を描くロマンス。カンザスの広大な自然が、純粋な愛と社会の制約との対比を強調。情感豊かな演出と演技が心に響きます。
- 最終目的地(2000年):カンザス州の田舎町で始まるサスペンスホラー。飛行機事故を予知した少年が運命に抗う物語で、カンザスの平凡な町が異常な出来事の舞台として描かれ、緊張感ある展開が特徴です。
- OK牧場の決斗(1957年):カンザス州ダッジシティを舞台にした西部劇の名作。ワイアット・アープとドク・ホリデイの友情と戦いを描き、カンザスの町の雰囲気が歴史的な緊張感を高めます。クラシックな魅力が満載です。
- ウィンチェスター銃’73(1950年):カンザス州ダッジシティで始まる復讐劇。名銃を巡る物語が展開し、カンザスの西部の雰囲気がアクションとドラマを際立たせます。ジェームズ・スチュワートの熱演が光る名作です。
- 墓石と決闘(1993年):カンザス州ダッジシティを訪れるワイアット・アープの物語。西部劇の壮大なスケールと人間ドラマが融合し、カンザスの町が歴史的背景として効果的に使われています。豪華キャストが魅力です。
- ザ・テキサス・レンジャーズ(1936年):カンザスを含む西部を舞台にしたアクション西部劇。テキサス・レンジャーの活躍を描き、カンザスの荒野が冒険の舞台として活かされています。クラシックな西部劇のスピリットが感じられます。
- 赤い河(1948年):カンザスへの牛追い旅を描く壮大な西部劇。広大な平原と厳しい自然が、男たちの絆と対立を際立たせます。ジョン・ウェインの迫真の演技と、カンザスの風景が織りなす名作です。
- アメリカン・ソルジャー(1970年):ベトナム戦争後のカンザスを舞台にしたドラマ。帰還兵の心の傷と社会への適応を描き、カンザスの静かな町が主人公の孤独感を強調。反戦メッセージが込められた作品です。
- アメリカン・ポップ(1981年):カンザスを含むアメリカの音楽史をアニメで描く作品。移民家族の音楽を通じた夢の追求が、カンザスの田舎町から始まり、時代背景と音楽の進化が鮮やかに表現されています。
- 暗黒の命令(1996年):カンザス州の小さな町で、元軍人がテロ計画に巻き込まれるアクション。カンザスの平凡な町が、突然の危機的状況と対比され、緊迫感ある展開とアクションシーンが特徴の作品です。
- 命知らずの男(1962年):カンザスを舞台にしたアクション西部劇。無法者と法執行官の対決を描き、カンザスの荒々しい風景が物語の緊張感を高めます。クラシックな西部劇の魅力が詰まった作品です。
- 無法者の群(1950年):カンザスを含む西部を舞台にした西部劇。無法者集団と正義の戦いを描き、カンザスの広大な土地が物語のスケールを強調。アクションと人間ドラマがバランスよく描かれています。
- オズの魔法使(1939年):カンザス州の農場に住むドロシーがオズの国へ旅立つファンタジー。カンザスのモノクロの田舎風景とオズのカラフルな世界が対比され、夢と冒険の物語が心を掴む不朽の名作です。
- オズ(1985年):オズの魔法使いの続編で、カンザスから再びオズの国へ旅立つファンタジー。ドロシーの冒険が続き、カンザスの農場が故郷として描かれ、魔法と友情の物語が子供から大人まで魅了します。
出身女優
カンザス州出身の女優は、限られた数ながらもハリウッドで活躍する才能を輩出しています。以下は代表的な人物です。
- キルスティン・ダンスト(Kirsten Dunst, 1982-): カンザスシティ生まれ(ただしニュージャージー育ち)。「スパイダーマン」シリーズや「マリー・アントワネット」(2006)で知られ、若手からベテランへと成長した女優です。
- アネット・ベニング(Annette Bening, 1958-): トピカ出身。「アメリカン・ビューティ」(1999)や「キッズ・オールライト」(2010)などでアカデミー賞にノミネート。深みのある演技で知られる実力派女優です。
- ヴィヴィアン・リー(Vivian Vance, 1909-1979): チェリーべール出身。テレビドラマ「アイ・ラブ・ルーシー」でエセル役を演じ、エミー賞を受賞。コメディ女優として愛されました。
- ルイーズ・ブルックス(Louise Brooks, 1906-1985): チェリーべール出身。サイレント映画時代の大スターで、「パンドラの箱」(1929)などの作品で知られる。彼女の独特な美貌と表現力は現代でもカルト的な人気を誇ります。
- ヘスティン・ムーア(Hattie McDaniel, 1893-1952): ウィチタ出身。映画「風と共に去りぬ」(1939)でアカデミー助演女優賞を受賞し、黒人女性として初のオスカー受賞者となりました。彼女の演技は、時代を超えて評価されています。
カンザス州は、広大な自然と歴史的背景を持ち、芸術や映画、女優の分野で独自の貢献をしています。その魅力は、シンプルながらも深い文化として、今も多くの人々を引きつけています。
レビュー 作品の感想や女優への思い