『ワンダー・ガールズ 東方三侠』（1993年）は香港の近未来アクション映画。ミシェル・ヨー、マギー・チャン、アニタ・ムイの三大女優が活躍し、邪悪な組織に立ち向かう女性ヒーローたちの戦いを描きます。監督はジョニー・トー、アクションとドラマが融合したカルト的人気作。
基本情報
- 邦題：ワンダー・ガールズ 東方三侠
- 原題：東方三侠
- 英題：The Heroic Trio
- 公開年：1993年
- 製作国：香港
- 上映時間：87分
- ジャンル：アクション
概要
『ワンダー・ガールズ 東方三侠』（原題：東方三俠、英題：The Heroic Trio）は、1993年に香港で製作されたアクション映画で、近未来の香港を舞台にしたSF要素を含むエンターテイメント作品です。ミシェル・ヨー、マギー・チャン、アニタ・ムイという香港映画界のトップ女優が共演し、ジョニー・トー監督とアクション監督チン・シウトンがタッグを組んだことで話題となりました。87分のコンパクトな上映時間の中で、派手なアクション、独特のビジュアル、ドラマチックな展開が織り交ぜられ、香港映画特有のエネルギッシュな魅力が詰まっています。2023年には4Kリマスター版が公開され、現代の観客にもその魅力が再評価されています。
見どころ
オスカー女優、ミシェル・ヨーと『ロアン・リンユィ／阮玲玉』のマギー・チャン、そして香港の伝説的歌姫、アニタ・ムイが共演し、個性あふれるキャラクターを演じ切る。
前半1/3でマギー・チャンが黒網のパンティストッキング、後半2/3で黒網のガーターストッキングを着用。
女優の活躍
本作の最大の魅力は、ミシェル・ヨー、マギー・チャン、アニタ・ムイの三大女優の圧倒的なパフォーマンスです。
ミシェル・ヨー演じるサンは、悪の組織に属しながらも葛藤を抱える複雑なキャラクターで、アクションシーンでのキレのある動きと感情的な演技が光ります。彼女は『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でアカデミー賞を受賞する以前から、アクション女優としての実力を本作で証明しています。
マギー・チャン演じるチャットは、賞金稼ぎとしてクールで独立した女性を演じ、機敏な動きと鋭い眼光で観客を魅了。彼女の『ロアン・リンユィ／阮玲玉』での繊細な演技とは対照的に、本作ではタフでユーモラスな一面を見せます。
アニタ・ムイ演じるトントンは、正義のヒーロー「ワンダー・ガール」として物語の中心となり、力強いアクションと母性的な優しさでキャラクターに深みを与えています。香港の伝説的歌姫でもあるアニタの存在感は、アクションだけでなく情感豊かなシーンでも際立ちます。
三者三様の個性がぶつかり合い、互いに競演しながらも調和し、物語を牽引します。
女優の衣装・化粧・髪型
本作の衣装、化粧、髪型は、近未来的な世界観と各キャラクターの個性を強調するデザインが特徴です。
ミシェル・ヨー（サン）は、黒を基調としたタイトなレザー風の衣装をまとい、ダークでミステリアスな雰囲気を演出。化粧は控えめながら、鋭い目元を強調するアイラインが彼女の葛藤と強さを表現しています。髪型はショートカットで、動きやすさと実用性を重視したスタイルがアクションシーンにマッチ。
マギー・チャン（チャット）は、賞金稼ぎらしいラフで機能的な衣装が特徴で、革のジャケットやブーツを着用。化粧はナチュラルで、傷や汚れをあえて残したメイクが彼女のタフなキャラクターを強調します。髪はポニーテールや無造作なスタイルで、活動的な印象を与えます。
アニタ・ムイ（トントン）は、黒いマントとマスクをまとった「ワンダー・ガール」として登場し、ヒーローらしい神秘的なオーラを放ちます。衣装はマントとタイツの組み合わせで、動きやすさと象徴性を両立。化粧は赤いリップと強調された眉で、力強さとカリスマ性を表現。髪型は長めのストレートヘアで、マスクとの対比が印象的です。
これらのビジュアルは、90年代香港映画の独特な美学を反映し、現代でも色褪せない魅力を持っています。
あらすじ
近未来の香港では、3か月間で18人の新生児が次々に誘拐される事件が発生。警察は無力で、背後には新たな皇帝を誕生させようとする「魔王」が率いる邪教集団の陰謀が潜んでいました。この危機に立ち向かうのは、正体不明のヒーロー「ワンダー・ガール」ことトントン（アニタ・ムイ）、魔王の命令で赤ん坊を誘拐していたが良心の呵責に悩むサン（ミシェル・ヨー）、そして凄腕の賞金稼ぎチャット（マギー・チャン）の3人です。異なる背景を持つ彼女たちは当初対立しますが、運命に導かれ団結。邪教集団の地下要塞に挑み、壮絶な戦いを繰り広げます。それぞれの過去と葛藤を乗り越え、3人は香港を救うため一致団結します。
解説
『ワンダー・ガールズ 東方三侠』は、香港映画の黄金期を象徴する作品であり、アクションとドラマの融合が特徴。ジョニー・トー監督の初期の娯楽作品としてのスタイルと、チン・シウトンのアクション演出が融合し、スピーディーで派手な戦闘シーンが観客を引き込みます。特に、ワイヤーアクションや格闘シーンは当時の香港映画の技術の粋を集めており、現代のアクション映画にも影響を与えています。物語は単なるヒーローものではなく、各キャラクターの内面的な葛藤や過去のトラウマを描くことで深みを持たせています。ミシェル・ヨーのサン、マギー・チャンのチャット、アニタ・ムイのトントンは、それぞれ異なる動機と背景を持ちながら、女性の絆と成長を描く点で「香港版チャーリーズ・エンジェル」とも称されます。また、近未来のディストピア設定や東洋の神秘主義を取り入れたヴィジュアルは、香港映画独特の「雑さ」と「魅力」が共存するカルト的な人気の要因です。続編『ワンダー・ガールズ 東方三侠2』（原題：現代豪俠傳）では、よりダークな世界観で物語が展開し、本作の明るさと対比される点も興味深いです。
キャスト
- サン（ミシェル・ヨー）：邪教集団に属するが、良心に葛藤する女性。アクションと感情表現が際立つ。
- チャット（マギー・チャン）：賞金稼ぎとして活躍するクールなヒーロー。機敏な動きが魅力。
- トントン（アニタ・ムイ）：正義のヒーロー「ワンダー・ガール」。カリスマ性と優しさを兼ね備える。
- カウ（アンソニー・ウォン）：魔王の手下で、物語の鍵を握るキャラクター。
その他、ダミアン・ラウ、ポール・チュン、ジェームズ・パク、クワン・ヤンユイなど。
スタッフ
- 監督：ジョニー・トー（『ドラッグ・ウォー 毒戦』など娯楽作品で知られる）
- 製作・アクション監督：チン・シウトン（『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』シリーズ）
- 脚本：サンディ・ショウ
- 撮影：プーン・サンハン
総括
『ワンダー・ガールズ 東方三侠』は、香港映画のダイナミズムと三大女優の魅力が詰まった作品です。アクションの爽快感、個性的な衣装とビジュアル、ドラマチックなストーリーが融合し、90年代香港映画のエッセンスを堪能できます。ミシェル・ヨー、マギー・チャン、アニタ・ムイの競演は、単なるアクション映画を超えた女性の絆と成長の物語として、現代でも多くのファンに愛されています。4Kリマスター版の公開により、新たな世代にもその魅力が伝わり続けるでしょう。
レビュー 作品の感想や女優への思い