『The Nightmare Gallery』（2019年）は米国のホラー・スリラー映画。人類学教授のサマンサが、失踪した学生と超自然現象の謎を追いかけ、彼女の執着は仕事と結婚生活を脅かします。監督：ジーン・ブラロック、主演：アンバー・ベンソン。
基本情報
- 原題：The Nightmare Gallery
- 公開年：2019年
- 製作国：米国
- 上映時間：94分
女優の活躍
本作の主演は、アンバー・ベンソン（サマンサ役）。『バフィー 恋する十字架』でタラ役を演じたことで知られるベンソンは、本作で人類学教授という知的な役柄に挑戦しました。彼女の演技は、理性的な学者から精神的に追い詰められる女性へと変貌する過程を表現し、感情の起伏を強調。特に、超自然現象への執着と私生活の崩壊を体現する場面では、叫び声や激しい感情表現でキャラクターの不安定さを伝えています。ただし、批評家の間では賛否両論で、一部は彼女の演技を「過剰」と評し、感情的なシーンでの自然さが欠けると指摘しました。
対照的に、ミエコ・ヒルマン（ドーン役）は、サマンサの妻として落ち着いた演技を見せ、物語の感情的な支柱として高い評価を受けました。ヒルマンは、限られた出番の中で、愛情と苛立ちが入り混じる複雑な感情を繊細に表現し、ベンソンとの対比で物語に深みを加えました。
脇役のニコール・エバールやナディナ・ゲルラックも、それぞれ学生や謎の人物として登場し、ホラー要素を支える役割を果たしましたが、全体的にキャストの演技は低予算映画特有の制約からか、一貫性に欠けるとの声もあります。
女優の衣装・化粧・髪型
アンバー・ベンソンの衣装は、大学教授らしい知的なスタイルを反映。物語の冒頭では、ベージュやグレー系のブレザー、シャツ、スラックスといったシンプルでプロフェッショナルな装いが中心です。これにより、サマンサの学者としての信頼性が強調されます。しかし、物語が進むにつれ、彼女の精神的な疲弊を反映し、衣装は徐々に乱れ、シャツのボタンが外れたり、髪が乱れる描写が増えます。
化粧は控えめで、ナチュラルなベースメイクに薄いリップが施され、教授らしい現実的な外見を保ちつつ、物語後半では目の下のクマや青白い肌で睡眠不足と狂気を表現。
髪型は、肩までのダークブラウンの髪を緩くまとめるスタイルで、日常的なシーンではきちんと整えられていますが、超自然現象に深入りするにつれ、髪はほつれ、乱雑になることで内面的な崩壊を視覚化しています。ミエコ・ヒルマンの衣装は、カジュアルかつ家庭的な雰囲気で、ニットや柔らかい色調のトップスを着用。彼女の化粧もナチュラルで、温かみのあるピンク系のメイクが施され、妻としての優しさを強調。髪はミディアムレングスのストレートで、シンプルながらも安定感のある印象を与えます。これらの衣装とメイクは、低予算ながらもキャラクターの心理状態や物語のトーンを効果的に補強しています。
あらすじ
人類学教授のサマンサ（アンバー・ベンソン）は、優秀な学生サンジュの失踪事件に取り憑かれます。サンジュが研究していた超自然的なテキストと謎の古代の神にまつわる資料に没頭するサマンサは、仕事や妻ドーン（ミエコ・ヒルマン）との結婚生活を顧みなくなります。彼女は、大学での地位や同僚との関係を危険にさらしながら、奇妙な夢や幻覚に悩まされ、謎の「ナイトメア・ギャラリー」と呼ばれる場所に導かれます。このギャラリーは、恐怖や狂気を具現化した展示物で満ち、彼女の精神を蝕みます。サンジュの行方を追い求める中、サマンサは血に飢えたガードや異様な存在に直面し、真実と狂気の境界が曖昧になっていきます。ドーンはサマンサを救おうと奮闘しますが、彼女の執着は家族と自身の心を破壊する危機に瀕します。果たして、サマンサはサンジュを見つけ、謎を解き明かせるのか、それとも狂気の深淵に沈むのか。
解説
『The Nightmare Gallery』は、ホラーと心理スリラーの要素を融合させたインディペンデント映画。ジーン・ブラロック監督の初長編作品で、低予算ながら野心的なテーマに挑戦しています。物語は、知識への執着と精神の崩壊を軸に、超自然的な恐怖を描き、ホラー・アンソロジー『ナイト・ギャラリー』（1970年代のTV番組）へのオマージュとも言えます。映像は、暗い色調と不気味な照明で、博物館やギャラリーの閉鎖的な空間を効果的に活用。サマンサの幻覚や夢のシーンでは、抽象的で不条理なビジュアルが用いられ、観客に不安感を与えます。しかし、脚本の展開やキャラクターの動機が曖昧で、批評家からは「プロットが散漫」「演技が不均一」との批判も。特に、ホラー要素とドラマチックな夫婦関係のバランスが不十分で、緊張感が途中で失われるとの指摘があります。一方で、LGBTQ+のキャラクター（サマンサとドーン）を自然に描いた点は、WLW Film Reviewsなどで肯定的に評価されています。
音楽はサスペンスを高める効果的なスコアで、限られた予算の中でホラーらしい雰囲気を醸し出しています。本作は、インディホラーの挑戦として一定の評価を受けつつも、完成度には課題が残る作品です。
キャスト
- サマンサ：アンバー・ベンソン。人類学教授。超自然現象への執着で精神が崩壊していく。
- ドーン：ミエコ・ヒルマン。サマンサの妻。彼女を支えようとするが、関係が悪化。
- サンジュ：ラフル・パリク。失踪した学生。超自然的なテキストの研究者。
- レズリー：ニコール・エバール。サマンサの助手。物語の謎に巻き込まれる。
- ラディカ：ナディナ・ゲルラック
謎めいたキャラクター。ギャラリーの秘密に関与。 - その他：ケヴィン・チェンバリン、マット・ディヴァイン、リヴ・サウスアード。大学関係者や超自然的な存在として登場。
スタッフ
- 監督：ジーン・ブラロック。初長編作品で、ホラーと心理ドラマの融合を試みる。
- 脚本：ジャン・ハープ、ロブ・スティス。超自然と人間関係のテーマを扱うが、展開に課題。
- 撮影：アンドリュー・アダムス。暗い照明と閉鎖的な空間で不気味な雰囲気を演出。
- 音楽：ジェフ・ジェファーズ。サスペンスを高めるスコアで、ホラー要素を補強。
- 製作：ジーン・ブラロック、ジャン・ハープ、ウェンデリン・スリパコフ。インディ映画としてクラウドファンディングを活用。
- メイク：詳細不明。サマンサの疲弊を表現するメイクが評価される。
- 配給：グラビタス・ベンチャーズ。2019年5月に配給権を取得。
まとめ
『The Nightmare Gallery』は、超自然的な謎と心理的な恐怖を探求するインディホラー映画。アンバー・ベンソンの熱演とミエコ・ヒルマンの安定した演技が光る一方、脚本や演出の粗さが課題として指摘されます。衣装とメイクはキャラクターの心理を効果的に表現し、低予算ながらも雰囲気のある映像が特徴です。ホラー愛好者やLGBTQ+テーマに関心のある観客には一定の魅力を持つ作品です。
レビュー 作品の感想や女優への思い