『三人の夫』はフルーツ・チャン監督の「娼婦3部作」最終章です。異常な性欲を持つ女性ムイが、年老いた漁師に嫁がされ、売春を強いられます。3人の夫たちとの奇妙な生活を、海・陸・空の3部構成で描きます。香港の下層社会と人魚伝説を織り交ぜ、肉感的なヒロインの苦悩を表現した衝撃作です。
基本情報
- 邦題:三人の夫
- 原題:三夫
- 英題:Three Husbands
- 公開年:2018年
- 製作国:香港
- 上映時間:101分
- ジャンル:SF
見どころ
『メイド・イン・ホンコン』のフルーツ・チャン監督による“娼婦3部作”の最終章。赤裸々な性愛描写、香港の人魚伝説を背景にしたファンタジックな世界観に引き込まれる。
女優の活躍
本作の主演女優はクロエ・マーヤンさんです。彼女は主人公ムイを演じ、異常な性欲に悩む娼婦の複雑な内面を体現しています。役作りのために、監督の指示により14~15キロもの体重を増量し、ジャンクフードを大量に摂取して肉体改造に挑みました。これにより、ムイの肉感的な体型をリアルに表現し、圧倒的な存在感を発揮しています。 絡みのシーンが多く、香港の道徳観念の中で大変な挑戦でしたが、監督の要求をすべて受け入れ、空っぽの心で演じ切りました。常にゆらゆらと揺れるような、地に足がついていない独特の雰囲気を作り出し、意志のないようなキャラクターを絶妙に演じています。 彼女の熱演は、映画の核心を支え、東京国際映画祭での評価にもつながりました。クロエ・マーヤンさんは、以前『天安門、恋人たち』にも出演しており、本作でさらに注目を集めました。 彼女の活躍は、単なる演技を超え、身体的な献身が物語のリアリティを高めています。
女優の衣装・化粧・髪型
クロエ・マーヤンさんの衣装は、ムイの生活環境を反映したシンプルで実用的なものが中心です。船上でのシーンでは、薄手の服や露出の多い服装が用いられ、娼婦としての日常を強調しています。化粧はナチュラルで、過度なメイクを避け、素朴で疲弊した表情を際立たせています。髪型は乱れやすく、長い髪を無造作にまとめたスタイルが多く、ムイの内面的な混乱や空虚さを視覚的に表現しています。 体重増量による肉感的な体型が、これらの衣装と相まって、キャラクターの性的な側面を強く印象づけています。具体的な記述は少ないですが、全体として香港の下層社会の現実感を出すために、派手さを抑えたデザインが採用されています。これにより、彼女の活躍がより生々しく感じられます。
あらすじ
主人公のムイは、常人離れした異常な性欲に悩む若い女性です。父親は彼女の性欲を抑えるために、年老いた漁師に嫁がせます。漁師の夫はムイを船上で売春させ、金を稼ぐ手段に利用します。ムイの驚くべき性体験に魅了された青年が現れ、高額な金を払って彼女と結婚し、3人目の夫となります。 物語は海・陸・空の3つのパートで構成され、最初は船上での生活を描きます。青年との結婚後、陸上での新婚生活が始まりますが、ムイの尽きせぬ性欲を彼一人では満たせなくなります。結局、ムイは客を取り続け、3人の男たちが彼女の面倒を見る奇妙な関係が続きます。 香港の人魚伝説をモチーフに、ムイの病的な性欲が家族や社会に与える影響を、過激なエロスシーンを交えて描きます。最終的に、空のパートで物語は意外な結末を迎えます。このあらすじは、ムイの苦しみと夫たちの複雑な感情を軸に進みます。
解説
本作は、フルーツ・チャン監督の「娼婦3部作」の最終章として、17年ぶりに完成しました。前作『ドリアン ドリアン』『ハリウッド★ホンコン』と同様、売春をテーマに香港の下層社会を描いています。 香港の経済発展が進む中でも、貧困層の生活は変わらず、医療を受けられない境遇を象徴的に表現しています。人魚伝説を基に、異常な性欲を「病気」として扱い、女性の苦しみを描く点が特徴です。監督は当初、ヒロイン探しに苦労し、撮影を断念していましたが、クロエ・マーヤンさんの起用で実現しました。 過激なエロスシーンが多いため、R-15指定となっていますが、これらは物語の核心を突くものです。レビューでは、ストーリーの難解さを指摘する声もありますが、性欲の苦しみに共感する評価も多いです。 東京国際映画祭コンペティション部門出品作として、国際的に注目されました。全体として、香港映画のインディペンデント精神を体現した作品です。
キャスト
- ムイ:クロエ・マーヤン
- 青年(3人目の夫):チャン・チャームマン
- 漁師(夫):チン・マンライ
スタッフ
- 監督・脚本・プロデューサー:フルーツ・チャン
- 製作:ABES HEADACHE LLC
レビュー 作品の感想や女優への思い