2006年公開の米国・日本合作ホラー映画。オムニバス形式で4つの恐怖話を描く。映画スタジオのツアーで閉じ込められた7人が、恐怖体験を語り脱出を目指す。90分。
基本情報
- 邦題:デス・ルーム
- 原題:TRAPPED ASHES
- 公開年:2006年
- 製作国:米国、日本
- 上映時間:90分
- レンタル・購入:Amazon
見どころ
おぞましい見せ場と、エロスシーンで構成された4話のオムニバス。ジョー・ダンテやケン・ラッセルなど有名監督や敏腕スタッフが“お下劣魂”全開でぶちかました怪作。
あらすじ
『デス・ルーム』(原題:TRAPPED ASHES)は、伝説のホラー映画『ヒステリア』の撮影セットである「死の館」に足を踏み入れた7人の男女が、脱出のために自らの恐怖体験を語るオムニバス形式のホラー映画です。
ウルトラ・スタジオの見学ツアーに参加した6人とツアーガイドは、立ち入り禁止のセットに閉じ込められ、館から出るためにそれぞれが体験した恐怖話を披露します。物語は4つの短編で構成され、奇抜でグロテスクな要素が織り交ぜられています。
- 豊胸死術の女:女優フィービーが貧乳コンプレックスから豊胸手術を受けるが、移植された胸が吸血鬼となり、恋人や周囲を襲う。
- 日本の縛霊:日本を訪れた夫婦が寺の墓地で遭遇した霊に取り憑かれ、妻ジュリアが怪物に変貌する。
- キューブリックの恋人:脚本家レオが友人の恋人ニーナと関係を持ち、彼女が魔女であることを知る。
- 私の双子害虫:ナタリーが胎内で育った寄生虫を「弟」として飼い、両親を毒殺する。
各話は過激なエログロ描写やB級ホラーの要素を強調し、最後に全員が幽霊だったという衝撃の結末を迎えます。
解説
『デス・ルーム』は、ホラー映画の巨匠たちが集結したオムニバス形式の作品で、ケン・ラッセルやジョー・ダンテといった監督の個性が光ります。アメリカと日本の合作であり、特に「日本の縛霊」ではJホラーの影響が顕著で、リングの川井憲次が音楽を担当するなど、日本文化へのオマージュが感じられます。全体的にB級映画の雰囲気を強く持ち、エログロや奇抜な設定が特徴です。
レビューでは賛否両論で、ユニークな発想を評価する声がある一方、低予算感やストーリーの荒唐無稽さを批判する意見もあります。ホラー映画ファンを楽しませるカルト的な魅力がある一方、過激な描写は一般受けしにくい側面も持ち合わせています。物語の枠組みとして「死の館」に閉じ込められた者たちが語る形式は、古典的なホラーアンソロジーの手法を踏襲しつつ、現代的な過激さを加えた作品と言えるでしょう。
女優の活躍
本作では、複数の女優が各短編で個性的な役を演じ、物語の中心を担っています。
レイチェル・ヴェルトリ(フィービー・ケーン役/豊胸死術の女)
レイチェル・ヴェルトリが演じるフィービーは女優としての成功を夢見るが、貧乳コンプレックスに悩むキャラクター。ヴェルトリは、自信と不安が交錯する女性像を見事に表現。吸血鬼の胸に翻弄される恐怖と、恋人との関係性を熱演し、物語の過激な展開を牽引しました。彼女のコミカルかつ悲劇的な演技は、B級ホラーの雰囲気にマッチしています。
ララ・ハリス(ジュリア役/日本の縛霊)
ジュリアは夫と日本を訪れ、霊に取り憑かれる人妻。ハリスは、閉所恐怖症で感情的な女性を演じ、霊との出会いから怪物化する過程を体現。特に、夢の中で霊と関係を持つシーンでは、情欲と恐怖の混在を表現し、物語の不気味さを高めました。
アメリア・クック(ニーナ役/キューブリックの恋人)
ニーナは魔女として登場し、ミステリアスで誘惑的な女性を演じる。クックは、妖艶な魅力と不気味さを兼ね備えた演技で、レオを誘惑しつつ魔女としての本性を徐々に露わに。彼女の存在感が、短編のダークな雰囲気を際立たせました。
ミシェル・バーバラ・ペレティア(ナタリー役/私の双子害虫)
ナタリーはゴスロリ風の女性で、寄生虫を「弟」として扱う異様な役。ペレティアは、冷淡かつ狂気的な演技で、家族への復讐心を表現。サナダ虫との奇妙な絆を演じきり、観客に強烈な印象を与えました。
杉本彩(婦警役/日本の縛霊)
日本を代表する女優としてカメオ出演。婦警役で登場し、短い出番ながらも存在感を発揮。彼女の落ち着いた演技は、Jホラーの雰囲気と調和し、物語にリアリティを加えました。
女優の衣装・化粧・髪型
各女優の衣装、化粧、髪型は、キャラクターの個性や物語の雰囲気を強調する要素として工夫されています。
レイチェル・ヴェルトリ(フィービー)
フィービーは女優らしい華やかな衣装が特徴。タイトなドレスや露出度の高いトップスを着用し、セックスシンボルを意識したスタイル。化粧は濃いめのアイメイクと赤いリップで、女優としての魅力を強調。髪型はロングでゆるいウェーブがかかり、グラマラスな印象を与えます。手術後のシーンでは、胸を隠すためにゆったりした服を着るが、恐怖が増すにつれ乱れた髪と薄れた化粧でパニック状態を表現。
ララ・ハリス(ジュリア)
ジュリアは旅行者らしいカジュアルな衣装で、シャツとパンツが基本。日本のシーンでは、浴衣や和風のアクセサリーを着用し、異国情緒を演出。化粧はナチュラルで、薄いファンデーションとピンクのリップ。髪型はミディアムレングスのストレートで、清楚な印象。怪物化するシーンでは、髪が乱れ、血や汚れで化粧が崩れることで恐怖感を強調。
アメリア・クック(ニーナ)
ニーナは魔女らしい妖艶な衣装で、黒や赤のドレッシーなワンピースを着用。深いスリットの入ったドレスや、透け感のある素材が彼女のミステリアスな魅力を引き立てます。化粧はスモーキーなアイシャドウと濃いリップで、魔女の妖しさを表現。髪型は長く、ダークトーンのストレートヘアで、時に乱れて不気味さを増す。
ミシェル・バーバラ・ペレティア(ナタリー)
ナタリーはゴスロリ風の衣装で、黒いレースのドレスやコルセットが特徴。化粧は白塗りの肌に濃いアイライナーと暗いリップで、ゴシックな雰囲気。髪型は黒いロングヘアにリボンやヘッドピースを加え、異様なキャラを強調。寄生虫とのシーンでは、衣装が乱れ、化粧も汗や汚れで崩れる。
杉本彩(婦警)
婦警の制服を着用し、シンプルな紺色のユニフォームと帽子が特徴。化粧は控えめで、ナチュラルな肌感と薄いリップ。髪型はショートカットで、きっちりまとめられ、プロフェッショナルな印象を与える。短い出番ながら、制服の清潔感が際立つ。
キャスト
- レイチェル・ヴェルトリ(フィービー・ケーン)
- ジェイス・バルトーク(アンディ)
- ララ・ハリス(ジュリア)
- スコット・ローウェル(ヘンリー)
- 石橋凌(セイシン)
- 杉本彩(婦警)
- 比留間由哲(住職)
- ジョン・サクソン(レオ・ハーシェル)
- アメリア・クック(ニーナ)
- ターモー・ペニケット(ザック)
- ミシェル・バーバラ・ペレティア(ナタリー)
- ルーク・マクファーレン(ヴィンセント)
- ディアナ・ミリガン(マルティーヌ)
- ジェリー・ワッサーマン(ラリー・ワイスマン博士)
- ヘンリー・ギブソン(ツアーガイド/デズモンド・ハッカー監督)
スタッフ
- 監督:ケン・ラッセル、ショーン・S・カニンガム、モンテ・ヘルマン、ジョン・ゲイター、ジョー・ダンテ
- 製作:細谷佳史、吉川優子、デニス・バルトーク
- 脚本:デニス・バルトーク
- 撮影:ゾーラン・ポポビック
- 音楽:川井憲次
- SFX:ロバート・スコタック
まとめ
『デス・ルーム』は、B級ホラーの魅力とオムニバス形式のユニークさを兼ね備えた作品です。女優たちの個性的な演技と、奇抜な衣装や化粧が物語の雰囲気を高め、ホラー映画ファンを引きつけるカルト的な要素が満載です。賛否両論あるものの、その過激さと独創性は一度観ると忘れられない印象を残します。
レビュー 作品の感想や女優への思い