ヴィクトリアズ・シークレット(Victoria’s Secret)のエンジェルは、同ブランドの看板モデルであり、ファッションショーやキャンペーンで象徴的な役割を果たすトップモデルたちです。ロージー・ハンティントン=ホワイトリーは2006年から2010年までエンジェルとして活躍しましたが、彼女以外にも多くの著名なモデルがこの称号を獲得しています。
以下では主要なヴィクトリアズ・シークレット・エンジェルの概要を紹介します。なお、2021年にブランドは「エンジェル」の呼称を終了し、より多様な「VSコレクティブ」を導入しましたが、ここではエンジェル時代に焦点を当てます。
主要なヴィクトリアズ・シークレット・エンジェル
以下は、ロージー以外の代表的なエンジェルとその特徴です。リストは歴史的な貢献度や知名度を基に厳選し、簡潔にまとめます。
アドリアナ・リマ(Adriana Lima)
- 期間:2000年~2018年
- 出身:ブラジル
- 特徴:最長期間活躍したエンジェル(約18年)。
2008年、2010年、2014年にファンタジーブラ(高価な宝石付きブラ)を着用し、ハイディ・クルムと並ぶ3回着用の記録をもつ。2014年にはアレッサンドラ・アンブロジオと史上初のダブル・ファンタジーブラを披露。情熱的な美貌とプロフェッショナリズムで「ヴィクトリアズ・シークレットの顔」と称される。その後、2018年にエンジェルを引退後、2023年に「ヘヴンリー」香水キャンペーンで復帰。ファッション以外のブランド(ミュウミュウ、ジバンシィなど)でも活躍。
アレッサンドラ・アンブロジオ(Alessandra Ambrosio)
- 期間:2004年~2017年
- 出身:ブラジル
- 特徴:17回のファッションショー出演を誇るベテラン。
2006年にPINKラインの初代スポークスモデルを務め、2014年にリマと共にファンタジーブラを着用。親しみやすい魅力と長身のスタイルで人気を博した。その後はモデル業を続けつつ、自身のスイムウェアブランド「GAL Floripa」を設立。ドルチェ&ガッバーナやラルフローレンなど高級ブランドの仕事も継続。
ジゼル・ブンチェン(Gisele Bündchen)
- 期間:2000年~2007年
- 出身:ブラジル
- 特徴:ヴィクトリアズ・シークレットでスーパーモデルとしての地位を確立し、「ヘロインシック」トレンドを終わらせたと言われる。
2000年代の最高収入モデルで、「ホースウォーク」(力強いランウェイ歩行)の創始者。その後、シャネル、ヴェルサーチなど高級ブランドのキャンペーンに出演。環境保護活動家としても知られ、フォーブスの「最も稼ぐモデル」リストで長年トップに君臨。
ハイディ・クルム(Heidi Klum)
- 期間:1999年~2010年
- 出身:ドイツ
- 特徴:初期のエンジェルで、1999年、2001年、2005年にファンタジーブラを着用。
明るいパーソナリティとプロフェッショナルな姿勢でブランドの人気を牽引。その後、テレビ番組『プロジェクト・ランウェイ』のホストやプロデューサーとして成功。モデル業も継続し、家族との生活を重視。
タイラ・バンクス(Tyra Banks)
- 期間:1997年~2005年
- 出身:アメリカ
- 特徴:ヴィクトリアズ・シークレットの初のアフリカ系アメリカ人エンジェル。
1997年にカタログ表紙、2004年にファンタジーブラを着用。ブランドの多様性を象徴する存在だった。その後、『アメリカズ・ネクスト・トップモデル』の司会者・プロデューサーとして名を馳せ、ビジネスウーマンとしても活躍。
キャンディス・スワンポール(Candice Swanepoel)
- 期間:2010年~2018年
- 出身:南アフリカ
- 特徴:2013年にファンタジーブラを着用し、3年連続でスイムカタログの表紙を飾った。
明るいブロンドヘアと親しみやすい魅力でファンに愛され、その後はヴォーグやハーパーズ・バザーの表紙を飾り、自身のスイムウェアラインを展開。モデル業を継続。
ミランダ・カー(Miranda Kerr)
- 期間:2007年~2013年
- 出身:オーストラリア
- 特徴:初のオーストラリア人エンジェル。
2006年にPINKのスポークスモデルを務め、2012年に250万ドルのファンタジーブラを着用。愛らしい笑顔とディンプルが特徴。その後はオーガニック・コスメブランド「KORA Organics」を設立し、ビジネスウーマンとして成功。モデル業も継続。
ベハティ・プリンスルー(Behati Prinsloo)
- 期間:2009年~2018年
- 出身:ナミビア
- 特徴:マルーン5のアダム・レヴィーンと結婚し、親しみやすいキャラクターで知られる。
長期間エンジェルとして活躍し、2018年までランウェイを飾った。その後、モデル業を控えめにしつつ、家族との時間を優先。2023年にヴィクトリアズ・シークレットのキャンペーンに復帰。
カーリー・クロス(Karlie Kloss)
- 期間:2013年~2015年
- 出身:アメリカ
- 特徴:短期間ながら強い印象を残し、2013年と2014年のヴィクトリアズ・シークレット・ファッションショーで注目を集めた。知的で多才なモデルとして知られる。
その後、プログラミング教育の「Kode with Klossy」を設立し、YouTubeチャンネルを運営。ヴォーグやバーバリーのキャンペーンにも出演。
テイラー・ヒル(Taylor Hill)
- 期間:2015年~2018年
- 出身:アメリカ
- 特徴:若手エンジェルとして急速に人気を集め、2015年に契約。
ランコムやロレアルの契約も獲得し、現代的な美しさで注目された。その後、ヴォーグ英国版やVマガジンの表紙を飾り、モデル業を精力的に継続。
エンジェルの役割と意義
ヴィクトリアズ・シークレットのエンジェルたちは、単なるモデルではなく、ブランドの顔としてキャンペーン、トークショー、ファッションショーに優先的に出演する契約モデルです。1997年に「エンジェル」呼称が導入され、ヘレナ・クリステンセンやタイラ・バンクスらが初代エンジェルとして登場。エンジェルは象徴的な「翼」をまとい、ファンタジーブラ(数百万ドルの宝石付きブラ)を着用する機会が与えられることもあり、モデル業界での最高峰の地位を意味しました。
エンジェルの契約は時間的・業務的な負担が大きく、ドウツェン・クロースやカーリー・クロスは他のキャリア(学業や別ブランド)を優先するために早期に契約を終了しました。報酬はかつては数百万ドル規模だったものの、2010年代以降は「100,000ドル程度」とされるケースもあったと報じられています。
多様性の進化とエンジェルの終焉
ヴィクトリアズ・シークレットは長年、特定の「セクシー」イメージを強調しましたが、2010年代後半に多様性不足への批判が高まりました。2019年にレオミー・アンダーソン(ジャマイカ出身、黒人モデル)やアレクシーナ・グレアム(赤毛モデル)がエンジェルに選ばれ、2020年にはヴァレンティナ・サンパイオが初のトランスジェンダー・モデルとして起用されるなど、変化が見られました。
しかし、2019年にヴィクトリアズ・シークレット・ファッションショーが中止され、2021年に「エンジェル」ブランドは終了。代わりに「VSコレクティブ」が導入され、ミーガン・ラピノー(サッカー選手)、プリヤンカ・チョプラ・ジョナス(俳優)、パロマ・エルセッサー(プラスサイズ・モデル)など、多様な背景の女性がブランド大使に選ばれました。この再編は、従来の「ファンタジー」重視から女性のエンパワーメントを重視する方向への転換を反映しています。
その他の注目エンジェル
- ステファニー・シーモア:1997年~2000年、初期エンジェル。カタログや広告で活躍。
- ヘレナ・クリステンセン:1997年~1998年、初代エンジェルの一人。クリス・アイザックの「Wicked Game」MVで知名度を上げた。
- イザベル・グラール:2005年~2008年、ショー後もランウェイ出演を継続。
- バルバラ・パルヴィン:2019年、ハンガリー出身で最後のエンジェル世代の一人。
- ジャスミン・トゥークス:2015年~2018年、2017年にファンタジーブラを着用。
文化的影響と現在
ヴィクトリアズ・シークレット・エンジェルは、1990年代から2010年代にかけてファッション業界の「セクシー」の定義を形成し、ジゼルやリマのようなモデルを世界的スターに押し上げました。2007年にはハリウッド・ウォーク・オブ・フェームにエンジェルとして星が刻まれるなど、文化的影響力は絶大でした。
2024年10月、ヴィクトリアズ・シークレットは5年ぶりにヴィクトリアズ・シークレット・ファッションショーを復活させ、元エンジェルのリマやスワンポール、ジジ・ハディッド(非エンジェル)らが登場。エンジェル呼称は復活しなかったものの、ブランドのレガシーを引き継ぐ試みが見られました。
まとめ
ロージー・ハンティントン=ホワイトリーと共に、ヴィクトリアズ・シークレット・エンジェルはファッション界の頂点を象徴する存在でした。アドリアナ・リマの長期貢献、ジゼル・ブンチェンの革新、タイラ・バンクスのパイオニア精神など、各エンジェルが独自の魅力でブランドを輝かせました。2021年のエンジェル終了後も、彼女たちの影響力はモデル業界やポップカルチャーに残り続けています。さらなる詳細が必要な場合や、特定のエンジェルについて深掘りしたい場合は、ぜひお知らせください。
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