2006年に米国で公開された『ストレンジャー・コール』は、1979年のカルトホラー『夕暮れにベルが鳴る』のリメイク。女子高生ジルがベビーシッター中、不審な電話に脅かされるサスペンスホラー。豪邸を舞台に恐怖が展開し、カミーラ・ベルの熱演が光ります。
基本情報
- 邦題：ストレンジャー・コール
- 原題：WHEN A STRANGER CALLS
- 2006年
- 製作国：米国
- 上映時間：87分
- ジャンル：ホラー
女優の活躍
『ストレンジャー・コール』の主演はカミーラ・ベルで、彼女は本作で一躍注目を集めました。ジル・ジョンソン役を演じたカミーラは、恐怖に直面する女子高生のリアルな感情を表現し、ほぼ一人芝居ともいえる緊迫した演技で観客を引き込みます。彼女の繊細な表情や恐怖に震える仕草は、閉鎖的な豪邸という舞台で孤立感と緊迫感を強調しました。当初、ジル役はエヴァン・レイチェル・ウッドにオファーされましたが断られ、リーリー・ソビエスキーの友人であるカミーラに白羽の矢が立ちました。カミーラ自身もホラー映画への出演に当初は消極的でしたが、サイモン・ウェスト監督の熱心な説得により出演を決意。撮影ではウェイトトレーニングやアクション訓練を行い、アクション場面に備えましたが、桟橋のシーンで手を切り、ガラス扉に額をぶつけるなど二度の負傷を経験しました。それでも彼女のプロフェッショナリズムは高く評価され、本作の成功に大きく貢献しました。
また、ケイティ・キャシディがジルの友人ティファニー・マディソン役で出演し、物語の序盤で重要な役割を果たします。彼女の活発なキャラクターは、ジルの内向的な性格と対比を成し、物語にメリハリを与えました。テッサ・トンプソンもスカーレット役で脇を固め、若手女優としての存在感を示しました。
女優の衣装・化粧・髪型
カミーラ・ベルの衣装は、女子高生らしいカジュアルさと現代的なセンスを反映しています。ジルは主にジーンズとシンプルなトップスを着用し、動きやすさを重視したスタイルが特徴です。物語の舞台が豪邸であるため、彼女の衣装は豪華さとは対照的に平凡で親しみやすいものに設定され、観客がジルに感情移入しやすくする工夫が見られます。色合いも落ち着いたトーンが中心で、恐怖感を強調する暗い照明の中で彼女の存在を際立たせました。メイクアップはナチュラルで、若い女子高生の自然体な魅力を引き出すものに徹しています。過度な化粧は避け、恐怖や緊張による汗や表情の変化をリアルに表現できるよう配慮されました。ヘアスタイルは、シンプルなポニーテールやダウンヘアが中心で、アクション場面での動きやすさと、恐怖に追われる中での乱れ具合がリアルに描かれました。この自然体なスタイルは、カミーラの2006年春夏のプラダガールとしてのファッションセンスともリンクし、彼女の美しさを引き立てました。
ケイティ・キャシディ演じるティファニーは、より派手でトレンディな衣装を着用し、ジルとの性格の違いを視覚的に表現。彼女のメイクは少し濃いめで、ティーンらしい華やかさが強調されました。ヘアスタイルもややスタイリッシュで、物語の序盤の軽快な雰囲気を演出しました。
あらすじ
高校生のジル・ジョンソン（カミーラ・ベル）は、浮気性の彼氏ボビーとの長電話が原因で携帯料金が払えなくなり、医師マンドラキス家のベビーシッターのアルバイトを引き受けます。人里離れた豪邸に到着したジルは、子供たちがすでに寝ているため、静かな夜を過ごすつもりでした。しかし、夜が深まるにつれ、不審な電話が繰り返しかかってきます。最初はイタズラ電話だと思っていたジルですが、電話の声が「子供の様子を見てみろ」と不気味な言葉を繰り返すにつれ、恐怖が募ります。逆探知を依頼した結果、発信元が家の中にあることが判明し、ジルは絶望的な恐怖に突き落とされます。姿の見えない「ストレンジャー」（トミー・フラナガン、ランス・ヘンリクセンの声）に追い詰められながら、ジルは子供たちを守り、生き延びるために必死で戦います。物語は、豪邸という閉鎖空間での心理的・肉体的な戦いを描き、緊張感が高まる展開が続きます。
解説
『ストレンジャー・コール』は、1979年のカルトホラー『夕暮れにベルが鳴る』のリメイクであり、アメリカの有名な都市伝説「ベビーシッターと2階の男」を基にしています。原作の冒頭23分間の緊張感あふれるシーンを、87分の長編映画に拡張した作品です。サイモン・ウェスト監督は、『トゥームレイダー』や『コン・エアー』で知られるアクション演出の巧みさを活かし、豪邸という閉鎖的な空間を最大限に活用してサスペンスを構築しました。物語は、電話を使った心理的恐怖を軸に、現代のテクノロジー（携帯電話やホームセキュリティシステム）を織り交ぜ、観客にリアルな恐怖体験を提供します。
本作は批評家からの評価は賛否両論でしたが、全米で興行収入6710万ドル（予算1500万ドル）と商業的には成功を収めました。特にカミーラ・ベルのほぼ一人芝居による恐怖の表現は高く評価され、彼女のキャリアにおける重要な一歩となりました。物語の展開はスローペースで、恐怖音や暗闇を利用した演出が中心ですが、これが単調と感じる観客もいた一方、静かな恐怖の積み重ねが効果的だったとの声もあります。続編『ストレンジャーリターンズ』も企画されましたが、カミーラの年齢の問題で実現しませんでした。
キャスト
- ジル・ジョンソン：カミーラ・ベル（日本語吹替：弓場沙織）
- ストレンジャー：トミー・フラナガン（声：ランス・ヘンリクセン、吹替：青山穣）
- ティファニー・マディソン：ケイティ・キャシディ（吹替：田中昌子）
- ボビー：ブライアン・ジェラティ（吹替：中川慶一）
- スカーレット：テッサ・トンプソン
- ベン・ジョンソン：クラーク・グレッグ
- マンドラキス：デレク・デ・リント
- ケリー・マンドラキス：ケイト・ジェニングス・グラント
- アリソン・マンドラキス：マデリン・キャロル
- ハインズ刑事：スティーヴ・イースティン
- バローズ：デヴィッド・デンマン
スタッフ
- 監督：サイモン・ウェスト
- 製作：ジョン・デイヴィス、ワイク・ゴドフリー、ケン・レンバーガー
- 製作総指揮：パディ・カレン
- 脚本：ジェイク・ウェイド・ウォール
- 原作：スティーヴ・フィーク、フレッド・ウォルトン（1979年版『夕暮れにベルが鳴る』）
- 撮影：ピーター・メンジースJr.
- 編集：ジェフ・ベタンコート
- 音楽：ジェームズ・ドゥーリー
- 美術監督：ジェラルド・サリヴァン
- 衣装デザイン：（情報不足のため詳細不明）
総括
『ストレンジャー・コール』は、古典的な都市伝説を現代的に再構築したサスペンスホラーで、カミーラ・ベルの熱演とサイモン・ウェストの演出が光る作品です。シンプルな衣装とメイクがジルの等身大な魅力を引き立て、豪邸での閉鎖的な恐怖が観客を引き込みます。賛否両論ながらも興行的成功を収め、ホラーファンに一定の支持を得ました。
レビュー 作品の感想や女優への思い