雲南省は中国南西部に位置し、多様な民族と豊かな自然が特徴。面積約39万平方キロメートル、人口約4,800万人で、昆明が省都です。温暖な気候と生物多様性で知られ、観光地として麗江や大理が人気。女優ではプーアル県出身の彝族、楊麗坤(1941年〜2000年)が有名で、近年ではトン・ヤオ(童瑶)、ムチミヤ(母其弥雅)、アナベル・ヤオ(姚安娜)らが活躍。
歴史
雲南省の歴史は古く、紀元前から多様な民族が居住していました。雲南の名は「雲の南」に由来し、雲嶺山脈の南に位置することからきています。古代には、雲南地域は複数の王国が存在し、特に紀元前3世紀頃の滇王国が著名です。滇王国は青銅器文化で知られ、発掘された遺物は当時の高度な技術を示しています。漢代(紀元前206年~紀元220年)には漢王朝の支配下に入り、雲南は中国の辺境地域として重要視されました。唐代(618年~907年)には南詔王国が成立し、雲南は独自の文化と政治体制を発展させました。南詔は周辺地域と交易を行い、仏教や独自の芸術を育みました。元代(1271年~1368年)にはモンゴル帝国が雲南を征服し、雲南行省が設置されました。この時期、雲南は中央アジアや東南アジアとの交易路「茶馬古道」の要衝として繁栄しました。明代(1368年~1644年)以降、雲南は漢民族の移住が増え、中央政府の統治が強化されました。
清代(1644年~1912年)には、雲南は多民族地域としての特色を保ちつつ、中国の統一国家の一部として発展しました。近代では、雲南は抗日戦争中に重要な役割を果たし、ビルマ公路を通じて連合国への物資輸送が行われました。1949年の中華人民共和国成立後、雲南は民族自治制度が導入され、少数民族の文化保護が進められています。現在も雲南は多民族共生のモデル地域として注目されています。
芸術
雲南省の芸術は、25の少数民族の文化が融合した多様性が特徴です。雲南には漢族のほか、彝族、バイ族、哈尼族、チワン族、タイ族などが居住し、それぞれが独自の音楽、舞踊、工芸を発展させてきました。たとえば、バイ族の三道茶やタイ族の孔雀舞は、雲南の代表的な伝統芸能です。孔雀舞は優雅な動きと色鮮やかな衣装で知られ、祭りや儀式で披露されます。雲南の音楽では、葫蘆絲(ひょうたん笛)やバウ(竹の管楽器)が特徴的で、少数民族の民謡に独特の旋律を加えます。工芸品では、雲南の刺繍や銀細工が有名で、特にタイ族やミャオ族の刺繍は精緻な模様で観光客にも人気です。また、雲南の壁画や彫刻は、仏教や道教の影響を受けつつ、民族独自の要素が融合しています。麗江のナシ族の東巴文化は、象形文字「東巴文字」や宗教的絵画で知られ、ユネスコの無形文化遺産に登録されています。近代では、雲南の自然や民族文化をテーマにした絵画や写真が国内外で評価されており、昆明や大理ではアートギャラリーが増えています。雲南の芸術は、多民族の調和と自然との共生を表現する場として、今も進化し続けています。
登場する映画
- 『五朵金花』(1960年):バイ族の文化を背景に、雲南の大理を舞台にしたロマンス映画。美しい風景と民族音楽が特徴で、中国映画の古典として知られています。
- 『阿詩瑪』(1964年):彝族の民話を基にした映画で、雲南の石林を舞台に、愛と自由をテーマにした物語。民族衣装と伝統音楽が魅力です。
- 『孔雀』(2005年):張芸謀監督の作品で、雲南の少数民族の生活を描いたドキュメンタリー風映画。家族の絆と文化の多様性がテーマです。
- 『雲南の歌会』(2007年):雲南の少数民族の音楽と祭りを描いたドキュメンタリー。民族の伝統と現代の融合が描かれています。
- 『麗江の恋』(2016年):麗江の古城を舞台にした現代ロマンス映画。観光地としての雲南の美しさが強調されています。
出身女優
- 楊麗坤(1941年〜2000年):雲南省プーアル県出身の彝族(イ族)の女優。『五朵金花』で主演を務め、バイ族の女性を演じて一躍有名になりました。彼女の自然な演技と美貌は、雲南の民族文化を全国に広めるきっかけとなりました。
- 馬吟吟(マ・インイン):昆明市出身の歌手・女優。TV番組では『孤独な戦士』、映画で『无名之辈』などに出演。
- 童瑶(トン・ヤオ):昆明市出身。2002年に北京市の中央戯劇学院で女優としてのキャリアをスタートし、数々の映画やTV番組に出演。
- ムチミヤ(母其弥雅):楚雄彝族自治州出身。ヨガ指導者としても活躍し、女優としても活動。
- アナベル・ヤオ(姚安娜):昆明市出身。ファーウェイ創業者であるレン・ジェンフェイの次女で、2021年に歌手デビュー。
レビュー 作品の感想や女優への思い