『ハイ・クライムズ』(2002年、米国)は、ジョセフ・ファインダーの小説を原作とした法廷サスペンス映画。女性弁護士クレアが、夫の殺人容疑を晴らすため軍事裁判に挑む。主演はアシュレー・ジャッド、モーガン・フリーマン。監督はカール・フランクリン。
ハイ・クライムズ
- 邦題:ハイ・クライムズ
- 原題:HIGH CRIMES
- 公開年:2002年
- 製作国:米国
- 上映時間:115分
- ジャンル:アクション
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見どころ
『コレクター』の主演コンビ、アシュレー・ジャッドとモーガン・フリーマンが再共演。夫の過去にショックを受けながらも、軍事裁判で戦うヒロインの姿をスリリングに描出。
あらすじ
カリフォルニアで幸せな生活を送る敏腕弁護士クレア・キュービック(アシュレー・ジャッド)は、建設会社を経営する夫トム(ジム・カヴィーゼル)と子供を望む日々を過ごしていました。しかし、ある日、強盗が家に侵入する事件が発生。警察の捜査により、トムの本名がロナルド・チャップマンであり、元海兵隊特殊工作部隊員で、1988年にエルサルバドルで一般市民9人を殺害した容疑で追われていたことが判明します。FBIに逮捕されたトムは無実を訴えますが、クレアは彼を信じ、軍事裁判に立ち向かうことを決意。軍事裁判の専門知識を持つ老弁護士チャーリー・グライムス(モーガン・フリーマン)と、若手弁護士ジャッキー(アマンダ・ピート)の協力を得て、クレアは夫の無実を証明しようと奮闘します。しかし、通常の刑事裁判とは異なる軍事法廷のルールや、軍内部の隠された陰謀に直面し、クレアは予想外の真実と危険に立ち向かうことになります。物語は、法廷での息詰まる駆け引きと、衝撃的な結末へと展開していきます。
感想
まともなストーリーが好きな人、モーガン・フリーマンが好きな人はとくに見るべき。
この映画は、不条理極まりない軍法会議と、エルサルバドルでの汚い隠蔽工作を中心に展開するので、ストーリー性が高いです。クライマックスを含めて、どんでん返しがたくさんあって、観ていて退屈しません。もちろん、軍法会議の 経緯には苛立ちますけど。
映画の序盤で、クレア(アシュレイ・ジャッド)の夫がFBIに逮捕され、メキシコでの8件の殺人容疑で起訴されるという大げさな場面があります。軍事法は彼女の専門ではないので、事務所の弁護士はグライムズ弁護士(モーガン・フリーマン)を推薦します。
彼はアルコール依存症から立ち直り、以前は優秀な弁護士でした。彼は抜け穴を知り尽くしており、法廷でクレアにアドリブでいくつか教えます。
1988年、南米で複数の殺人事件が発生し、軍の隠蔽工作があったモンテ・アズールのシーンがフラッシュバック。
人生の苦渋を舐めたクレアもグライムズも、最終的には明るい方向へ向き、素晴らしい エンディングでした。
ファム・ファタル
アシュレイ・ジャッドが演じる刑事弁護士のクレアが綺麗でひたむきで好印象。クレアが弁護士として働くサンフランシスコやオークランドの素敵なショットがいくつかあって、格好いい姿を見られます。
ただ、モーガン・フリーマンの名演技に引っ張られて、あまり詳しくアシュレイを覚えていません(^^)
クレアの夫トムを演じたジム・カヴィーゼルは、妻への配慮と敬虔なカトリックの信条ゆえ、アシュレイとの露骨なラブシーンの撮影を拒否しました。彼とアシュレイがラブシーンで服を着たまま登場するのはそのため。(だからクレアを何も覚えていないのか…)
ちなみに、脚本の初期バージョンで、アシュレイ・ジャッドの役はハーバードの法学教授になるはずでした。
女優の活躍
『ハイ・クライムズ』で主演を務めるアシュレー・ジャッドは、敏腕女性弁護士クレア・キュービック役として圧倒的な存在感を発揮しています。クレアは、愛する夫トムが突然逮捕され、過去の殺人容疑で軍事裁判にかけられるという衝撃的な状況に直面しながらも、夫の無実を信じ、軍の隠された陰謀に立ち向かう強い女性を演じています。ジャッドは、感情の揺れ動きや法廷での鋭い弁護シーンを通じて、クレアの知性と精神的な強さを体現。彼女の演技は、絶望と希望が入り混じる複雑な心理を繊細に表現しており、特に軍事法廷という未知の領域での闘いにおいて、観客を引き込む力強いパフォーマンスを見せています。過去に『コレクター』(1997年)でもモーガン・フリーマンと共演した経験を生かし、本作でも二人の息の合った掛け合いが物語の緊張感を高めています。ジャッドの演技は、批評家からも高く評価され、彼女の美しさと知性を活かしたヒロイン像が本作の魅力の一つとなっています。
また、アマンダ・ピートが演じるジャッキー・グリマルディ(クレアの妹)も、物語に軽快なスパイスを加える重要な役どころです。ピートの活発で少し破天荒なキャラクターは、クレアの真剣な闘いにユーモアと人間味をもたらし、姉妹の絆を強調する役割を果たしています。彼女の自然体な演技は、物語の重いテーマにバランスを与え、観客に親しみやすさを提供しています。
女優の衣装・化粧・髪型
アシュレー・ジャッド演じるクレアの衣装は、彼女の職業である弁護士としてのプロフェッショナルなイメージを強調するものが多いです。法廷シーンでは、ダークカラーのテーラードスーツや膝丈のスカートを着用し、知性と威厳を表現。スーツはシンプルかつ洗練されており、グレーやネイビーなどの落ち着いた色調が中心で、彼女の真剣な姿勢を象徴しています。一方、私生活のシーンでは、カジュアルなニットやブラウスを着用し、柔らかく親しみやすい一面を覗かせます。これにより、クレアの公私の二面性が視覚的に表現されています。
化粧は、ナチュラルで上品なスタイルが特徴です。法廷では、薄いファンデーションに控えめなアイメイクとリップを施し、プロフェッショナルな印象を保ちつつ、彼女の自然な美しさを引き立てています。プライベートでは、さらに軽いメイクで、クレアの人間らしい温かみを強調。髪型は、肩より少し長いストレートヘアを基本とし、法廷ではきちんとまとめ上げたアップスタイルや低めのポニーテールで清潔感を演出。私生活では、髪を下ろした自然なスタイルが多く、彼女の親しみやすさを表現しています。このような衣装とメイクの使い分けは、クレアのキャラクターの多面性を効果的に伝え、ジャッドの美しさを最大限に引き出しています。
アマンダ・ピートのジャッキーは、よりカジュアルで自由奔放なスタイルが特徴。デニムやカジュアルなトップス、明るい色のアクセサリーを身につけ、若々しくエネルギッシュな印象を与えます。彼女のメイクは少し大胆で、明るいリップや軽いスモーキーアイが用いられ、キャラクターの活発さを強調。髪型はルーズなウェーブやポニーテールで、気取らない雰囲気を演出しています。
解説
『ハイ・クライムズ』は、ジョセフ・ファインダーの小説『バーニング・ツリー』を原作とした法廷サスペンス映画で、軍事裁判の特殊性や軍部の腐敗を描いた社会派作品です。監督のカール・フランクリンは、『青いドレスの女』などで知られる実力派で、サスペンスの緊張感とドラマの感情的な深みを巧みに融合させています。本作は、通常の法廷ドラマとは異なり、軍事裁判の独特なルールや閉鎖的な環境を背景に、主人公クレアが孤軍奮闘する姿を描くことで、観客に新鮮なスリルを提供します。特に、軍の隠蔽体質や権力の濫用といったテーマは、アメリカの現代社会を反映しており、単なるエンターテインメントを超えた問題提起を含んでいます。
アシュレー・ジャッドとモーガン・フリーマンの再共演も見どころの一つ。『コレクター』での息の合った演技を再現しつつ、本作ではより複雑なキャラクター関係を構築。フリーマン演じるチャーリーの、過去に傷を持つアウトローな弁護士像は、クレアの真っ直ぐな正義感と対比をなし、物語に深みを加えています。映画は、法廷での対決を通じて徐々に明らかになる真実と、終盤の意外な展開で観客を驚かせます。ただし、一部の批評家からは、ストーリーの展開がやや中途半端であるとの声もあり、キャラクターの背景が十分に掘り下げられていない点が指摘されています。それでも、ジャッドの魅力的な演技と、フリーマンの渋い存在感が、物語の欠点を補って余りある作品となっています。
キャスト
登場人物 | 出演者 |
---|---|
クレア・クビック | アシュレイ・ジャッド |
チャールズ・W・グライムス | モーガン・フリーマン |
トム・クビック/ロン・チャップマン巡査部長 | ジム・カヴィーゼル |
テレンス・エンブリー中尉 | アダム・スコット |
ジャッキー | アマンダ・ピート |
ビル・マークス准将 | ブルース・デイヴィソン |
FBI捜査官マリンズ | トム・バウワー |
ジェームズ・ヘルナンデス少佐 | フアン・カルロス・エルナンデス |
ルーカス・ウォルドロン少佐 | マイケル・ガストン |
ファレル大佐 | ジュード・チッコレラ |
サルバドル人 | エミリオ・リベラ |
トロイ・アボット | マイケル・シャノン |
嘘発見器コーチ | ジョン・ビリングズリー |
ローラ | デンドリー・テイラー |
グレイシー | ポーラ・ジェイ・パーカー |
フランクリン | ジョン・アピセラ |
ラピエール中佐 | ドーン・ハドソン |
ジョシュ | サミュエル・シェン |
看護師 | フローレンス・レジーナ |
リサ・ステンストローム | ジュリー・レマラ |
サンフランシスコ判事 | カイル・T.ヘフナー |
サンフランシスコ検事 | ジョー・マッツァ |
ラモーナ | ジェシー・ビートン |
バーテンダー | ウェイン・テリー |
女性弁護士 | モーリーン・マクベリー |
男性弁護士1 | ジェイク・ジェントリー |
男性弁護士2 | アンソニー・C.ジャクソン |
ジブン | ジュリア・メンドーサ |
クック | レイ・ハニス・ジュニア |
アルガー氏 | ドン・バジェマ |
アルガー夫人 | イーディス・ブライソン |
マフムード | ラスティ・マフムード |
トラックの運転手 | パッツィー・ラスト |
FBI捜査官 | ドン・J・バイロン |
FBI SWATガイ | サイバ・ロバーツ |
将軍補佐官 | アダム・セーゲン |
警備員1 | エディ・サンティアゴ |
警備員2 | アーレン・エスカルペタ |
衛兵3 | ルーカス・フォード |
海兵隊員 | アンドリュー・ウェズリー |
廷吏 | アレックス・ネシック |
裁判所速記官 | シンシア・ショープ |
ミリタリーガード1 | スティーブン・ジャレッド |
衛兵2 | ランディ・マルキー |
記者1 | カレン・カーン |
記者2 | ポール・ギリンゲリ |
記者3 | エレイン・コラル・ケンドール |
記者4 | ダニー・フリーマン |
記者5 | リンダ・レイング |
サンサルバドルの学生 | リー・ウィテカー |
赤ちゃんを抱く母親 | アリシア・ケプラー |
FBIのSWAT隊員 | アンディ・アーネス |
バイカー | アル・バーク |
海兵隊員 | カブラン・E・チェンバレン |
配達員 | ジェームズ・コトナー |
TVプロデューサー | ロジャー・フェレイラ |
海兵隊員 | ジェイク・ハンソン |
軍人 | ブラッドリー・ジェームス |
FBI SWATチームメンバー | ラリー・ラバティ |
裁判所ドアガード | ジェームズ・マーシャル |
受付係 | メーガン・マクラウド |
兵士のガールフレンド | メリッサ・モリナーロ |
会社員 刑事 | ジェフリー・ムーン |
ペック大尉 | C. アンドリュー・ネルソン |
海兵隊陪審員/大尉 | ダニエル・オーストライヒ |
弁護士 | ジミー・オレア |
マリンガード | アレックス・プロコピオ |
海兵隊員 | ブライアン・トス |
スタッフ
担当 | 担当者 |
---|---|
衣装デザイン | シャレン・デイヴィス |
衣装 | イボンヌ・バスティドス |
衣装 サンフランシスコ/ベイエリア | マイケル・ベッカー |
衣装 ジャド | シェリル・クラベディ |
衣装助手 メキシコ | エドガー・ネリ・ドミンゲス |
衣装 モーガン | ジェシカ・ファスマン |
セット衣装 | メリルー・リム |
衣装監督 | ポール・ロペス |
衣装 | ダニエラ・ムーア |
衣装助手 メキシコ | カルロス’ポロ’ムンギア |
衣装監督 メキシコ | ハイメ・オルティス |
衣装 アメリカ | コスメ・ダミアン・サーベドラ |
衣装主任 女性 | リキ・リン・サブサワ |
テーラー サンフランシスコ/ベイエリア | ナンシー・セルビン |
メイク部門責任者 | ルイサ・アベル |
ヘアスタイル モーガン | ディーナ・アデア |
メイクアップ ジャド | フェリシティ・ボウリング |
ヘアスタイル サンフランシスコ/ベイエリア | キャサリン・チルダース |
ヘアスタイル ジャド | シドニー・コーネル |
ヘアスタイル | リサ・M・クベロ |
ヘアスタイル | ジンジャー・デイモン |
メイクアップ | グレッチェン・デイビス |
ヘアスタイル | モニカ・ディ・ヴェンティ |
ヘアスタイル | ショーン・フィンチ |
ヘアスタイル サンフランシスコ/ベイエリア | ペギー・フォルセリーニ |
ヘアスタイル メキシコ | マルコ・A・ガルシア |
メイクアップ モーガン | マイケル・ハンコック |
ヘアスタイル メキシコ | カルロス・ホルカシタス |
メイクアップ | シェリー・ナイト |
ヘアスタイル主任 | デボラ・ミルズ=ウィットロック |
メイクアップ主任 サンフランシスコ/ベイエリア | クリス・ラベット |
メイクアップ メキシコ | ラウル・サルミエント |
メイクアップ助手 | ピーター・セライノ |
メイクアップ メキシコ | アレハンドロ・ソーサ |
ヘアスタイル | ナンチ・カシオ |
まとめ
『ハイ・クライムズ』は、アシュレー・ジャッドの知性と美しさが光る法廷サスペンスであり、モーガン・フリーマンとの共演が物語に深みを与えています。クレアのプロフェッショナルな衣装とナチュラルなメイク、軍事裁判の緊張感、そして予想外の展開が魅力の作品です。軍の闇や正義を巡るテーマは、観客に深い印象を与え、社会派映画としての価値も持っています。
レビュー 作品の感想や女優への思い