『運命のボタン』は、リチャード・ケリーが脚本・監督を務め、共同プロデューサーも務める2009年の米国SFスリラー映画。『トワイライト・ゾーン』のエピソードにもなったリチャード・マシスンの1970年の短編小説『死を招くボタン・ゲーム』が原作。主演のキャメロン・ディアスとジェームズ・マースデンは、フランク・ランジェラ扮する謎の男から箱を受け取ったカップルを演じます。
彼は、箱の上にあるドームに封印されたボタンを押せば100万ドルをくれるというのですが、ボタンが押されると、彼らの知らない誰かが死ぬと告げます。『運命のボタン』は2009年11月6日にワーナー・ブラザース映画から公開されました。批評家からの評価は散々で、予算3,000万ドルに対して全世界で3,330万ドルの興行収入を記録。
運命のボタン
- 原題:The Box
- 公開年:2009年
- 製作国:米国
- 上映時間:115分
- ジャンル:サスペンス
図書館の場面はボストンの公立図書館で撮影されました。
予告編はこちら。
この映画の出演者や関係者の一覧は、運命のボタン キャストとスタッフをご覧ください。
感想
裕福な男女(ジェームズ・マースデンとキャメロン・ディアス)が、突然の幸運に見舞われます。ボタンを押せば100万ドルが手に入るという話が舞い込んできたのです。しかし、ボタンを押すと彼らの知らない誰かが死ぬという選択肢つき。そして、この出来事はほんの始まりに過ぎませんでした。
この映画『運命のボタン』はジャン=ポール・サルトの戯曲『出口なし』との謎めいたつながりもあり、序盤で長々と取り上げられ、フロントガラスには「出口なし」と書かれていました。この戯曲と「地獄とは他人である」というメッセージが、この映画にどのようにフィットしているのでしょうか。
エイリアンと天使の境界線を曖昧にするような、永遠の救済と永遠の天罰についての議論もあるし、スチュワードの「雇い主」の正体も完全には語られていません。この点で、背景は『Knowing』や『The Screwfly Solution』に少し似ているかも。赤いボタンをエデンの禁断の果実のメタファーとして見れば、その境界線はさらに曖昧になります。ボタンが持ち込まれる3つの場面では、3つとも女性がボタンを押しているのですが、そのボタンはリンゴのように赤いです。 その禁断の果実のように、この決断はトラブルの世界を開きます。そしてイノセンスは失われます。
この映画が残念だったのは、終結部分。次から次へと扉が開かれ、次から次へと筋書きがはじまるものの、疑問に対して完全な答えを与えられることがありません。少しフラストレーションを感じます。しかし、このことこそ、映画の面白いところでもあります。1週間以上、毎日毎日私たちの魂を蝕み、そしてまた別の…という持続…。
解説
リチャード・マシスンが書いた短編小説『死を招くボタン・ゲーム』は、『プレイボーイ』誌(1970年6月号)に初めて掲載され、のちにマシスンの短編集の一部として再出版されました。この原作は『運命のボタン』以前にも『Button, Button (The Twilight Zone)』(1986年)として映画化されています。
(少しネタバレあり)
1976年12月16日の早朝、教師のノーマ・ルイスは夫アーサーと暮らすバージニア州の自宅の玄関で箱を見つけ、箱を開けると見知らぬボタン・ユニットと手紙が入っていました。手紙にはその日の夜に「ミスター・スチュワート」が訪ねてくると書かれていました。
その日、身体に障害をもつノーマとアーサーは、それぞれの職場で悲惨な知らせを受けます。夕方、ノーマとアーサーの家に、アーリントン・スチュワートと名乗る異形の顔をした不気味な男が現れます。彼はボタン・ユニットを開ける鍵とある提案を夫婦に渡します。ボタンを押せば、それぞれの職場でニュースを見ることができます。ただし、世界のどこかで見知らぬ人が死ななければなりません。そしてルイス夫妻は、24時間以内に決断するよう告げられます。渋るノーマとアーサーはスチュワートを信じず、彼らの決断自分たちの人生を永遠に変えることになります。
レビュー 作品の感想や女優への思い