キャサリン・アン・プライド（Katherine Anne Pryde）、通称キティ・プライド（Kitty Pryde）は、マーベル・コミックスの『X-MEN』シリーズに登場する人気の女性キャラクターであり、映画『X-MEN』シリーズでも重要な役割を果たしています。
以下では、彼女の映画での描写を中心に、コミックでの背景やキャラクターの特徴、能力、映画シリーズにおける役割、文化的影響について詳しく解説します。
基本情報とコミックでの背景
キティ・プライドは、1980年にマーベル・コミックスの『Uncanny X-Men #129』で初めて登場しました。クリス・クレアモント（原作）とジョン・バーン（作画）によって創造された彼女は、ユダヤ系アメリカ人のティーンエイジャーとして描かれ、シカゴ郊外で普通の生活を送っていました。彼女のミュータント能力が発現したことで、X-MENの創設者であるプロフェッサーX（チャールズ・エグゼビア）にスカウトされ、X-MENの一員となります。コードネームは「シャドウキャット（Shadowcat）」ですが、映画では主に本名の「キティ・プライド」として知られています。
コミックでのキティは、知性、勇気、そしてユーモアを兼ね備えたキャラクターとして人気です。彼女はチームの若手メンバーとして登場し、読者にとって親しみやすい存在でした。また、彼女のユダヤ人としてのアイデンティティや、ホロコーストの歴史との関連（特に『Days of Future Past』での物語）が、キャラクターに深みを与えています。キティは、X-MENの中でも特に成長が顕著なキャラクターで、単なる若者からリーダーシップを発揮するヒーローへと進化しました。
ミュータント能力
キティの主要なミュータント能力は「位相移動（Phasing）」です。この能力により、彼女は自分の体や接触している物体を一時的に「位相をずらす」ことで、固体を通り抜けることができます。例えば、壁や床、さらにはエネルギー攻撃をすり抜けることが可能です。この能力は以下のような応用が可能です。
- 防御…物理的攻撃やエネルギー攻撃を無効化。
- 移動…壁や障害物を通過して移動。
- 攻撃…敵の体内に手を入れて神経を刺激するなど、創造的な戦術。
- 電子機器の妨害…位相移動中に電子機器に干渉し、ショートさせる。
映画では、この能力が特に『X-MEN：ファイナルディシジョン』（2006年）や『X-Men: フューチャー＆パスト』（2014年）で効果的に描かれています。彼女の能力は戦闘だけでなく、ストーリー進行においても重要な役割を果たします。
映画『X-MEN』シリーズ
キティ・プライドは、映画『X-MEN』シリーズの複数の作品に登場しますが、役の大きさや描写は作品によって異なります。以下に、彼女の主要な登場作品と役割をまとめます。
X-MEN（2000年）・X-MEN2（2003年）
初代『X-MEN』とその続編『X-MEN2』では、キティの登場は非常に限定的です。『X-MEN』では、プロフェッサーXの学校（ザビアーズ・スクール・フォー・ギフテッド・ヤングスターズ）で授業中に壁を通り抜けるシーンでカメオ出演的に登場。『X-MEN2』でも同様に、ウィリアム・ストライカーの襲撃中に能力を使って逃げる生徒として短い出演があります。これらの作品では、彼女のキャラクター性や背景はほとんど掘り下げられず、脇役としての扱いでした。
X-MEN： ファイナルディシジョン（2006年）
キティ・プライドが本格的に活躍し始めるのは、この3作目です。エリオット・ペイジ（当時はエレン・ペイジ）がキティ役を演じ、彼女の能力と個性がより明確に描かれました。物語では、ミュータントの「治療薬」を巡る対立が中心で、キティはX-MENの若手メンバーとして登場。彼女の位相移動能力は、ジャガーノート（ヴィニー・ジョーンズ）との戦闘シーンで効果的に使われ、彼を壁に閉じ込める活躍を見せます。
また、キティはこの作品でボビー・ドレイク（アイスマン）とロマンティックな関係をほのめかす描写があり、ローグとの三角関係が示唆されます。この点はコミックでのキティの人間関係（とくにピーター・ラズプーチン/コロッサスとの関係）とは異なり、映画独自の展開でした。彼女の純粋で勇敢な性格は、観客に強い印象を与え、以降の作品での再登場の基盤となりました。
X-MEN：デイズ・オブ・フューチャー・パスト（2014年）
キティ・プライドは、この映画でストーリーの鍵を握るキャラクターとして登場します。原作コミックの『Days of Future Past』では、キティが未来から過去に意識を送り、歴史を変える役割を果たしますが、映画ではこの役割が若干変更されています。映画では、キティの位相移動能力が応用され、ウルヴァリン（ローガン）の意識を1973年に送るための「時間旅行の媒介」として機能します。彼女は、ウルヴァリンの意識を過去に維持するために長時間能力を使い続けるという、非常に負担の大きい役割を担います。
この作品でのキティは、エリオット・ペイジが再び演じ、成熟した姿を見せます。彼女は戦闘シーンだけでなく、感情的なシーンでも存在感を発揮し、未来のX-MENメンバーとしての強さと決意を表現しています。特に、未来の世界でセンチネルに追われる過酷な状況下での彼女の冷静さと勇気は、コミックのキティの成長した姿を反映していると言えるでしょう。
キャラクター・デザインと女優
映画でのキティ・プライドは、複数の女優によって演じられました。初期のカメオ出演では、スミタ・パティルやケイティ・スチュアートが演じましたが、『ファイナルディシジョン』と『フューチャー＆パスト』でのエリオット・ペイジの演技が最も印象的です。ペイジの演じるキティは、若々しさと知性を兼ね備え、コミックのキティの魅力をうまく再現していました。ペイジの繊細な演技は、キティの内面的な強さと脆弱さを表現し、観客に共感を呼びました。
デザイン面では、映画のキティはコミックほど派手なコスチュームを着用せず、X-MENのユニフォームやカジュアルな服装で登場します。これは、映画シリーズ全体のリアリスティックなトーンに合わせた選択と言えます。
文化的影響と人気
キティ・プライドは、コミックと映画の両方で多くのファンに愛されるキャラクターです。彼女の人気の理由は以下の点に集約されます。
- 共感性…ティーンエイジャーとしての等身大な悩みや成長が、若い読者や観客に共感を呼びます。
- ユニークな能力…位相移動という視覚的に面白い能力は、戦闘やストーリー展開で多様な活用法があり、印象的です。
- 多様性…ユダヤ人としてのアイデンティティや、女性としての強さが、キャラクターに深みを与え、多様なファン層を引きつけます。
映画では、彼女の役割が原作ほど大きくないにもかかわらず、『X-Men: フューチャー＆パスト』での活躍により、キティの重要性が再認識されました。彼女の登場は、X-MENシリーズのテーマである「差別との闘い」や「個性の尊重」を体現するものであり、観客に強いメッセージを伝えました。
今後の可能性
現時点（2025年5月）では、X-MENシリーズの映画はマーベル・シネマティック・ユニバース（MCU）への統合が進んでおり、キティ・プライドが今後どのように描かれるかは不明です。MCUでのX-MENリブートが計画されている中、キティのユニークな能力と魅力的なキャラクター性は、現代の観客にアピールする可能性が高いです。特に、彼女のユダヤ人としての背景や、現代社会の多様性を反映したストーリーが期待されます。
まとめ
キティ・プライドは、映画『X-MEN』シリーズにおいて、限られた出番ながらも強い印象を残したキャラクターです。彼女の位相移動能力は視覚的にも物語的にも魅力的で、ストーリーの鍵を握る役割を果たしました。エリオット・ペイジの演技により、彼女の知性と勇気が強調され、コミックのファンにも新たな観客にも愛される存在となりました。コミックでの深い背景や文化的意義を背景に、映画でのキティはX-MENの多様性と団結の象徴として輝いています。MCUでの再登場が実現すれば、彼女の新たな物語がファンに感動を与えることでしょう。
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