キャサリン・オハラ(Catherine O’Hara)はカナダ系アメリカ人の女優、コメディアン、脚本家。コメディ番組『SCTV』での活躍や、『ホーム・アローン』『ビートルジュース ビートルジュース』などの映画で知られます。エミー賞やゴールデン・グローブ賞を受賞し、クリストファー・ゲスト監督作品での即興演技も高評価。
プロフィール
- 名前:キャサリン・オハラ(Catherine O’Hara)
- 本名:キャサリン・アン・オハラ(Catherine Anne O’Hara)
- 生年月日:1954年3月4日(71歳)
- 出生地:カナダ・オンタリオ州
- 職業:女優、声優、脚本家
- 活動期間:1974年〜
- 配偶者:ボー・ウェルシュ(1992年〜)
生い立ち・教育
キャサリン・アン・オハラ(Catherine Anne O’Hara)は、1954年3月4日、カナダのオンタリオ州トロントで生まれました。アイルランド系のカトリック教徒の家庭で、7人きょうだいの6番目として育ちました。姉には歌手で女優のメアリー・マーガレット・オハラがいます。幼少期はトロントのエトビコーク郊外で過ごし、家族とのユーモラスなやり取りが彼女のコメディセンスを育みました。家族は互いに笑わせ合うことを楽しみ、彼女のユーモアの基礎がここで築かれたといいます。
高校はバーナムソープ・カレッジエイト・インスティテュート(Burnhamthorpe Collegiate Institute)に通い、そこで後のコメディアン、ロビン・デュークと出会いました。この時期、彼女は演技やコメディに対する興味を深めていましたが、正式な演技教育は受けていませんでした。1974年に卒業後、すぐに演劇の道に進むのではなく、トロントのセカンド・シティ劇場でウェイトレスとして働き始めました。この仕事が彼女のキャリアの転機となり、そこでコメディの世界に足を踏み入れることになります。
経歴
キャサリン・オハラのキャリアは、1974年にセカンド・シティのトロント支部でギルダ・ラドナーの代役として参加したことから始まりました。正式な演技訓練はなかったものの、彼女の天性の才能が認められ、同年に劇団のメンバーとなりました。1976年、セカンド・シティのメンバーたちが制作したスケッチコメディ番組『Second City Television(SCTV)』に出演し、ルシル・ボールやキャサリン・ヘプバーンなどの巧みな物まねや、オリジナルのキャラクター(例:ローラ・ヒースートン)で人気を博しました。彼女は『SCTV』のレギュラー出演者として1976年から1984年まで活躍し、脚本家としても貢献。1982年には番組のライティングでプライムタイム・エミー賞を受賞し、2度のノミネートも受けました。
『SCTV』終了後、映画界へ進出。1980年の『Double Negative』で映画デビューを果たし、ジョン・キャンディやユージーン・レヴィといった『SCTV』の共演者と共に出演しました。1985年にはマーティン・スコセッシ監督の『アフター・アワーズ』、1986年には『ハートバーン』に出演し、注目を集めます。1988年のティム・バートン監督『ビートルジュース』では、風変わりな継母デリア・ディーツ役で広く知られるようになり、この作品で後の夫ボー・ウェルチと出会いました。1990年の『ホーム・アローン』と1992年の続編『ホーム・アローン2』では、ケビンの母親ケイト・マカリスター役で大成功を収め、クリスマスの定番映画として世界中で愛されました。
オハラはクリストファー・ゲスト監督のモキュメンタリー映画でも才能を発揮。『Waiting for Guffman』(1996年)、『Best in Show』(2000年)、『A Mighty Wind』(2003年)、『For Your Consideration』(2006年)では、即興演技を活かし、ユージーン・レヴィと共演。特に『A Mighty Wind』のフォーク歌手ミッチ&ミッキー役では、主題歌「A Kiss at the End of the Rainbow」がアカデミー賞にノミネートされ、2004年の授賞式で披露しました。
声優としても活躍し、『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』(1993年)、『チキン・リトル』(2005年)、『オーバー・ザ・ヘッジ』(2006年)、『フランケンウィニー』(2012年)、『エレメンタル』(2023年)などで個性的なキャラクターに声を吹き込みました。2015年から2020年までは、ユージーン・レヴィとダン・レヴィ親子が制作したコメディドラマ『Schitt’s Creek』で風変わりな元女優モイラ・ローズを演じ、2020年にプライムタイム・エミー賞主演女優賞(コメディ部門)を受賞。ゴールデン・グローブ賞やカナダ・スクリーン賞も獲得し、彼女のキャリアの集大成ともいえる評価を得ました。
2024年には『ビートルジュース』の続編『ビートルジュース ビートルジュース』でデリア役を再演し、新世代の観客にもその魅力を示しました。また、『The Last of Us』シーズン2への出演も決定しており、さらなる活躍が期待されています。
私生活
キャサリン・オハラは1992年に、映画『ビートルジュース』のセットで出会ったプロダクション・デザイナーのボー・ウェルチと結婚しました。夫妻には1994年に生まれたマシューと1997年に生まれたルークの2人の息子がおり、現在はロサンゼルスに在住しています。彼女はプライベートをあまり公にしない性格ですが、夫との関係はユーモアと相互の尊敬に基づいていると語っています。
オハラは生まれつき「内臓逆位(Situs Inversus)」という珍しい状態を持ち、胸部と腹部の臓器が通常と左右逆になっています。この状態は1万人に1人未満の割合で発生し、彼女には健康上の問題はほとんどありません。また、慈善活動にも積極的で、2020年にはゲーム番組『Who Wants to Be a Millionaire』で25万ドルを獲得し、ロサンゼルスのホームレス支援団体「Upward Bound House」に寄付しました。
彼女はカナダとアメリカの二重国籍を持ち、2018年にはカナダ勲章オフィサーに任命され、2021年にはカナダ総督芸術賞で生涯芸術成就賞を受賞するなど、母国での功績も称えられています。
出演作品
以下はキャサリン・オハラの代表的な出演作品の一部です(映画とテレビを主に列挙)。
映画
- Double Negative(1980年):映画デビュー作。ジョン・キャンディらと共演。
- After Hours(1985年):マーティン・スコセッシ監督のブラックコメディ。
- Heartburn(1986年):メリル・ストリープ、ジャック・ニコルソンと共演。
- Beetlejuice(1988年):ティム・バートン監督のホラーコメディでデリア・ディーツ役。
- Home Alone(1990年):ケビンの母ケイト・マカリスター役。世界的なヒット作。
- Home Alone 2: Lost in New York(1992年):続編で再びケイト役。
- The Nightmare Before Christmas(1993年):声優としてサリー役。
- The Paper(1994年):ロン・ハワード監督のコメディドラマ。
- Waiting for Guffman(1996年):クリストファー・ゲストのモキュメンタリー。
- Best in Show(2000年):ゲスト監督作で犬ショーを風刺。
- A Mighty Wind(2003年):フォーク歌手役でアカデミー賞ノミネート曲を披露。
- For Your Consideration(2006年):オスカーを夢見る女優役。
- Chicken Little(2005年)、Over the Hedge(2006年)、Monster House(2006年)、Frankenweenie(2012年):声優として参加。
- Elemental(2023年):ディズニー・ピクサーのアニメーション。
- ビートルジュース ビートルジュース(2024年):デリア役で続編に出演。
TV
- SCTV(1976-1984年):スケッチコメディで人気キャラクターを演じ、エミー賞受賞。
- Tales from the Crypt、The Larry Sanders Show、Six Feet Under、Curb Your Enthusiasm1990年代以降のゲスト出演。
- Temple Grandin(2010年):テレビ映画でエミー賞ノミネート。
- Schitt’s Creek(2015-2020年):モイラ・ローズ役でエミー賞、ゴールデン・グローブ賞受賞。
- The Last of Us(シーズン2、2025年予定):今後の出演予定。
まとめ
キャサリン・オハラは、コメディとドラマの両方で卓越した才能を発揮し、40年以上のキャリアで世界中の観客を魅了してきました。『SCTV』での即興コメディから『ホーム・アローン』や『Schitt’s Creek』での心温まる役柄まで、彼女の多才さとユーモアは多くの賞を受賞し、カナダとアメリカの文化に大きな影響を与えました。今後も『The Last of Us』や『ビートルジュース ビートルジュース』での活躍が期待され、彼女の遺産は次世代の俳優にインスピレーションを与え続けるでしょう。
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