『シャドウハンター』は、カサンドラ・クレアの人気小説シリーズ「ザ・モータル・インストゥルメンツ」の第1巻を原作とした都市ファンタジー映画です。ニューヨークに住む普通の少女クラリー・フレイが、突然自分の血統を知り、悪魔と戦うシャドウハンターとして覚醒します。家族の秘密を解き明かし、強大な力を持つモータルカップを巡る争いに巻き込まれ、仲間たちと共に危険な影の世界に挑みます。この作品は、ティーンエイジャーの成長とファンタジー要素を融合させた冒険譚です。
基本情報
- 邦題:シャドウハンター
- 原題:The Mortal Instruments: City of Bones
- 公開年:2013年
- 製作国:米国、独国
- 上映時間:130分
- ジャンル:アクション
見どころ
カサンドラ・クレアの小説が原作のアクション・ファンタジー。自身の秘められた宿命と能力を知るヒロインを、リリー・コリンズが快演。壮大なバトル描写も見どころだ。
女優の活躍
本作の主人公クラリー・フレイを演じた女優は、リリー・コリンズです。彼女は、クラリーのキャラクターを非常に信ぴょう性を持って体現しており、普通の少女から強靭な戦士へと成長する過程を感情豊かに描き出しています。リリー・コリンズは、映画の中心人物として、アクションシーンでの激しい戦闘や、複雑な家族関係にまつわるドラマチックな感情表現をこなしています。特に、母の失踪や自身の出自を知るシーンでは、混乱と決意の入り混じる微妙な心理を細やかに演じ、観客を引き込む活躍を見せています。批評家からは、彼女の演技が映画のハイライトの一つと評価されており、ファンタジー要素の多いストーリーの中で、人間味あふれるヒロイン像を確立しています。
また、リリー・コリンズは撮影中、特殊効果を伴うシーンでスタントを一部自らこなすなど、積極的な姿勢を示しました。この役を通じて、彼女はハリウッドでのキャリアをさらに広げ、以降の作品でも主役級の活躍を続けています。全体として、彼女の存在感が映画の魅力を高めていると言えます。
女優の衣装・化粧・髪型
リリー・コリンズ演じるクラリー・フレイの衣装は、物語の進行に合わせて変化し、日常的なカジュアルスタイルから戦闘向きの機能的なものまで多岐にわたります。序盤では、ニューヨークのティーンエイジャーらしいジーンズ、白いTシャツ、チェック柄のベスト、ジーンジャケットを着用し、親しみやすい雰囲気を演出しています。中盤以降、シャドウハンターとして覚醒すると、黒を基調としたレザー調のジャケットやブーツ、動きやすいパンツスタイルにシフトし、戦士らしいタフさを強調します。これらの衣装は、原作のイメージを尊重しつつ、現代的なファッション要素を加えています。化粧については、基本的にナチュラルメイクを基調とし、日常シーンでは軽いファンデーションとリップで少女らしい清純さを表現していますが、戦闘や夜のシーンではダークなアイシャドウやリップを加え、ドラマチックで力強い印象に変わります。特に、傷跡やタトゥー(ルーン)を描く特殊メイクが施され、影の世界への没入感を高めています。髪型は、クラリーの特徴である赤みがかった長いストレートヘアがメインで、序盤はダウンスタイルで自然に流し、アクションシーンではポニーテールやハーフアップにまとめ、動きやすさを考慮しています。この赤髪は、原作ファンから議論を呼んだほどで、少し暗めのトーンが選ばれ、神秘的な雰囲気を醸し出しています。全体として、リリー・コリンズのルックスが衣装・化粧・髪型と調和し、キャラクターの成長を視覚的に表現しています。
あらすじ
ニューヨークに住む少女クラリー・フレイは、ある日突然奇妙なシンボルが見え始め、ナイトクラブで謎のグループが人を殺す現場を目撃します。そのグループはシャドウハンターで、悪魔を狩る半人半天使の戦士たちです。クラリーの母ジョスリンから、ヴァレンタインという男がモータルカップを狙っていると警告を受けますが、ジョスリンは誘拐され、昏睡状態に陥ります。クラリーはジェイス・ウェイランドというシャドウハンターに助けられ、自分もシャドウハンターの血を引いていることを知ります。親友のサイモン・ルイスと共に、シャドウハンターの拠点であるインスティテュートへ行き、アレック、イザベル、ホッジらと出会います。そこで、モータルカップが天使ラジエルから授けられた三つの聖なる器の一つで、ヴァレンタインがこれを使ってシャドウハンターと悪魔を支配しようとしていることを学びます。クラリーの記憶は母によってブロックされており、サイレント・ブラザーズの助けで一部が蘇りますが、マグナス・ベインというウォーロックが関与していることが判明します。サイモンがヴァンパイアに誘拐され、救出作戦でウェアウルフたちと協力します。クラリーはジョスリンが描いたタロットカードの中にカップが隠されていることに気づき、マダム・ドロテアの元でそれを回収しますが、ホッジの裏切りによりヴァレンタインに渡ってしまいます。ヴァレンタインはクラリーの父であることを明かし、彼女の兄ジョナサンが死んだ過去を語ります。クラリーは偽のカップでヴァレンタインを欺き、ポータルを破壊します。ジョスリンは救出されますが、昏睡状態のままです。クラリーはシャドウハンターとしての運命を受け入れ、ジェイスと共にインスティテュートに戻ります。この物語は、クラリーの自己発見と戦いの始まりを描いています。
解説
『シャドウハンター』は、ヤングアダルト向けファンタジー小説の映画化として、ティーンエイジャーのアイデンティティ探求と超自然的な冒険を融合させた作品です。原作のカサンドラ・クレアの小説は、影の世界を設定し、シャドウハンター、悪魔、ヴァンパイア、ウェアウルフなどの要素を織り交ぜ、豊かな世界観を構築しています。映画はこれを視覚的に再現し、ニューヨークの現代都市を舞台にファンタジーを展開する点が魅力です。しかし、批評家からは賛否両論で、Rotten Tomatoesでは13%の支持率、Metacriticでは33点と低評価が多く、プロットの複雑さやオリジナル性の欠如を指摘されています。特に、『トワイライト』や『ハンガー・ゲーム』との類似性が批判され、フランチャイズ化を狙った商業的な意図が透けて見えるとの声があります。一方で、観客からの評価はB+と比較的高く、特に女性や若年層に人気です。キャストの演技は好評で、リリー・コリンズのフレッシュな魅力やジェイミー・キャンベル・バウアーのカリスマ性が光ります。監督のハラルド・ズワートは、アクションとロマンスのバランスを取ろうとしましたが、詰め込みすぎたストーリーが散漫さを生んだとの分析もあります。制作面では、カナダとドイツの共同製作で、特殊効果やセットデザインが凝っており、影の世界のビジュアルが印象的です。興行収入は約9000万ドルと予算を回収しましたが、続編計画は中止されました。この映画は、ファンタジー映画のトレンドを反映しつつ、原作ファン向けの忠実さを保っていますが、幅広い観客層へのアピールに苦戦した点が教訓的です。全体として、娯楽性は高く、シリーズの導入部として機能しています。
キャスト
- リリー・コリンズ:クラリー・フレイ
- ジェイミー・キャンベル・バウアー:ジェイス・ウェイランド
- ロバート・シーハン:サイモン・ルイス
- ケヴィン・ゼガーズ:アレック・ライトウッド
- レナ・ヘディ:ジョスリン・フレイ
- ケヴィン・デュランド:エミル・パンボーン
- エイダン・ターナー:ルーク・ギャロウェイ
- ジェマイマ・ウェスト:イザベル・ライトウッド
- ゴッドフリー・ガオ:マグナス・ベイン
- CCH・パウンダー:マダム・ドロテア
- ジャレッド・ハリス:ホッジ
- ジョナサン・リス・マイヤーズ:ヴァレンタイン・モーゲンスターン
スタッフ
- 監督:ハラルド・ズワート
- 脚本:ジェシカ・ポスティゴ
- 原作:カサンドラ・クレア(小説「City of Bones」)
- 製作:ドン・カーモディ、ロバート・クルツァー、他
- 撮影:ゲイル・ハートリー・アンドレアセン
- 編集:ジャクリーン・カーモディ
- 音楽:アトリ・オルヴァルソン
- 製作会社:コンスタンチン・フィルム、ドン・カーモディ・プロダクションズ、ユニーク・フィーチャーズ
- 配給:エンターテインメント・ワン(カナダ)、コンスタンチン・フィルム(ドイツ)、スクリーン・ジェムズ(米国)
レビュー 作品の感想や女優への思い