フランスは西ヨーロッパに位置する共和制国家で、面積約643,801㎢、人口約6,800万人（2023年推定）。首都はパリ。文化、芸術、歴史、美食で知られ、ルーブル美術館やエッフェル塔が象徴的。経済はEU屈指で、観光、ファッション、ワイン産業が盛ん。民主主義と人権を重視し、国際的な影響力を持つ。
時代別映画史
映画の誕生とサイレント映画時代（1890年代～1920年代）
フランスは映画発祥の地として知られています。1895年、リュミエール兄弟が「シネマトグラフ」を開発し、世界初の映画上映を行いました。『工場の出口』や『列車の到着』は、初期の短編映画として歴史的意義を持ちます。同時期、ジョルジュ・メリエスは特撮や物語性を導入し、『月世界旅行』（1902年）が代表作です。彼の作品は視覚効果やファンタジー要素で観客を魅了しました。この時代の映画はサイレントで、音楽や字幕が補助的に使われました。女優としては、ミュジドラが『ファントマ』（1913年）や『吸血鬼』（1915年）で活躍し、ミステリアスな魅力で人気を博しました。フランス映画は、芸術性とエンターテインメント性を融合させ、国際的な影響力を確立しました。
- 主要作品：『工場の出口』（1895年）、『月世界旅行』（1902年）、『ファントマ』（1913年）、『吸血鬼』（1915年）
- 主要女優：ミュジドラ
トーキー映画と詩的リアリズムの時代（1930年代～1940年代）
1920年代末にトーキー映画が登場し、フランス映画は新たな表現を獲得しました。1930年代は「詩的リアリズム」の黄金期で、ジャン・ルノワールやマルセル・カルネが活躍。ルノワールの『ゲームの規則』（1939年）は、社会階級や人間関係を描いた名作です。カルネの『天井桟敷の人々』（1945年）は、劇場と恋愛を軸にしたロマンティックな作品で、戦時中のフランスで大きな感動を呼びました。この時代の女優では、アレティが『天井桟敷の人々』で深い情感を表現し、ミシェル・モルガンも『霧の波止場』（1938年）で憂いを帯びた美貌で知られました。詩的リアリズムは、現実と詩情を融合させ、フランス映画の芸術性を高めました。
- 主要作品：『霧の波止場』（1938年）、『ゲームの規則』（1939年）、『天井桟敷の人々』（1945年）
- 主要女優：アレティ、ミシェル・モルガン
ヌーヴェル・ヴァーグ（1950年代後半～1960年代）
1950年代後半から1960年代にかけて、フランス映画はヌーヴェル・ヴァーグ（新しい波）という革新的な運動により世界的に注目されました。フランソワ・トリュフォーやジャン＝リュック・ゴダールらが、従来の商業映画の枠組みを破り、実験的で自由な作風を追求。トリュフォーの『大人は判ってくれない』（1959年）は、若者の反抗心を描いた青春映画の金字塔です。ゴダールの『勝手にしやがれ』（1960年）は、即興性と斬新な編集で映画史に衝撃を与えました。この時代の女優では、ジャン・セバーグが『勝手にしやがれ』でショートカットの自由奔放なイメージを確立。ブリジット・バルドーも『軽蔑』（1963年）でセクシーかつ知的な魅力を発揮しました。ヌーヴェル・ヴァーグは、個性と革新性を重視し、後の映画製作者に大きな影響を与えました。
- 主要作品：『大人は判ってくれない』（1959年）、『勝手にしやがれ』（1960年）、『軽蔑』（1963年）
- 主要女優：ジャン・セバーグ、ブリジット・バルドー
ポスト・ヌーヴェル・ヴァーグと現代映画（1970年代～1990年代）
1970年代以降、フランス映画は多様なジャンルとスタイルで発展しました。エリック・ロメールやクロード・シャブロルは、ヌーヴェル・ヴァーグの精神を引き継ぎつつ、日常や道徳をテーマにした作品を制作。ロメールの『クレールの膝』（1970年）は、繊細な心理描写で知られます。一方、リュック・ベッソンは『ニキータ』（1990年）でアクションとサスペンスを融合させ、新世代の観客を惹きつけました。この時代の女優では、カトリーヌ・ドヌーヴが『最後のメトロ』（1980年）で気品ある演技を披露し、フランス映画の象徴的存在に。イザベル・アジャーニも『ポゼッション』（1981年）で狂気的な演技が評価されました。フランス映画は、芸術性と商業性を両立させ、国際的な地位を確固たるものにしました。
- 主要作品：『クレールの膝』（1970年）、『最後のメトロ』（1980年）、『ポゼッション』（1981年）、『ニキータ』（1990年）
- 主要女優：カトリーヌ・ドヌーヴ、イザベル・アジャーニ
5. 現代のフランス映画（2000年代～現在）
2000年代以降、フランス映画は多様性と社会的テーマを重視する傾向が強まりました。マイケル・ハネケの『白いリボン』（2009年）は、厳格な社会と暴力の起源を探る重厚な作品です。セリーヌ・シアマの『燃ゆる女の肖像』（2019年）は、女性の愛と自由を描き、国際的に高い評価を受けました。また、コメディやエンターテインメント作品も人気で、『アメリ』（2001年）はジャン＝ピエール・ジュネの色彩豊かな世界観で世界的なヒットとなりました。この時代の女優では、マリオン・コティヤールが『エディット・ピアフ～愛の讃歌～』（2007年）でアカデミー賞を受賞し、国際的なスターに。レア・セドゥも『ブルーは熱い色』（2013年）で情熱的な演技を見せました。現代のフランス映画は、文化的多様性やジェンダー、移民問題を反映し、グローバルな影響力を維持しています。
- 主要作品：『アメリ』（2001年）、『エディット・ピアフ～愛の讃歌～』（2007年）、『白いリボン』（2009年）、『ブルーは熱い色』（2013年）、『燃ゆる女の肖像』（2019年）
- 主要女優：マリオン・コティヤール、レア・セドゥ
まとめ
フランス映画は、映画の誕生から現代まで、常に革新と芸術性を追求してきました。リュミエール兄弟の技術革新からヌーヴェル・ヴァーグの自由な表現、現代の社会的テーマまで、多様な作品が生まれています。女優たちも、ミュジドラからマリオン・コティヤールまで、各時代で独自の魅力を発揮。フランス映画は、文化と歴史を反映しながら、世界の映画史に欠かせない存在です。
レビュー 作品の感想や女優への思い