バークシャーはイングランド南東部の典礼カウンティ。ウィンザー城があることから「ロイヤル・カウンティ」とも呼ばれる。面積は約1,263km²、人口は約91万人で、東部は都市部、西部は田園地帯。レディングが最大の都市で州都でもある。
歴史
バークシャーはイングランドで最も古い州の一つであり、その歴史は古代にまで遡ります。州の名前は、ケルト語で「小山のような」を意味する「Bearroc」に由来し、ウェセックス王国のセンウォール王に売却された広大な樺の森にちなんでいます。9世紀にはウェセックス王アルフレッド大王がこの地域の領域を定めたとされ、エングフィールドの戦い、アッシュダウンの戦い、レディングの戦い(871年)など、デーン人との戦闘の舞台となりました。これらの戦いは、イングランドの統一とキリスト教の防衛において重要な役割を果たしました。
中世以降、バークシャーはウィンザー城の存在により王室と深く結びつき、19世紀には「ロイヤル・カウンティ・オブ・バークシャー」として正式に承認されました。清教徒革命(17世紀)ではニューベリーで2度の会戦が行われ、1688年の名誉革命では2度目のレディングの戦いが起こりました。これらの歴史的出来事は、バークシャーが戦略的に重要な地域であったことを示しています。
近代に入り、1972年の地方制度改革法により、バークシャーの行政区域は大きく変更されました。スラウがバッキンガムシャーからバークシャーに移管され、一方でアビンドン=オン=テムズやヴェール・オブ・ホワイトホースはオックスフォードシャーに移りました。1998年にはバークシャー議会が廃止され、6つのユニタリー・オーソリティ(ブラックネル・フォレスト、レディング、スラウ、ウェスト・バークシャー、ウィンザー・アンド・メイデンヘッド、ウォーキンガム)に再編されました。これにより、バークシャーはカウンティ議会を持たない特異な非都市カウンティとなりました。
人口は1831年の約14.6万人から1901年には約25.3万人、2018年には約91.1万人へと増加しました。特に東部はロンドンに近く、都市化が進んでいますが、西部はバークシャー・ダウンズの丘陵地帯やテムズ川沿いの沖積低地が広がり、農業や酪農が盛んです。バークシャー種の豚の原産地としても知られ、肉質の良さから高く評価されています。また、戦後はハーウェルに原子力発電所、オールダーマストンに原子力研究・兵器施設が建設され、工業も発展しました。
登場する映画
バークシャーはその歴史的背景や美しい景観から、映画の舞台やロケ地としてたびたび登場します。以下に代表的な作品をいくつか挙げます。
- 「ハリー・ポッター」シリーズ(2001年~2011年): ウィンザー城やその周辺が、ホグワーツ魔法学校の外観やシーンの一部として使用されました。バークシャーの歴史的な建築物は、魔法の世界観にマッチし、映画の雰囲気を高めています。
- 「007」シリーズ: ジェームズ・ボンド映画のいくつかの場面で、バークシャーの邸宅や施設がロケ地として登場します。特に、ウィンザー近郊の風景は、英国らしい優雅な雰囲気を演出しています。
- 「ダウントン・アビー」(2010年~2015年、映画版2019年、2022年): バークシャーの歴史的な邸宅が、貴族の生活を描くこの作品の舞台として使用されました。荘厳な建物と田園風景が、物語の時代背景を強調します。
- ブリジット・ジョーンズの日記(2001年): レネー・ゼルウィガー主演のこのラブコメディでは、ロンドン近郊のバークシャーの街並みが登場し、英国らしい日常の魅力が描かれています。
これらの作品では、バークシャーのウィンザー城やレディング周辺の風景が、英国の伝統と現代性を象徴する舞台として効果的に使われています。また、歴史的な出来事や王室に関連する映画では、バークシャーのロイヤルなイメージが強調されることが多いです。
出身女優
バークシャー出身の女優は多く、国際的に活躍する才能ある人物が含まれます。以下に代表的な女優を紹介します。
- ケイト・ウィンスレット:1975年10月5日、レディング生まれ。『タイタニック』(1997年)で世界的な名声を得た彼女は、アカデミー賞主演女優賞を『愛を読むひと』(2008年)で受賞。『ハワード・エンド』(1992年)や『いつか晴れた日に』(1995年)でも高い評価を受け、大英帝国勲章(CBE)を授与されました。バークシャーで育ち、地元の演劇学校で学び、若くして才能を開花させました。
- ナタリー・ドーマー:1982年2月11日、レディング生まれ。『ゲーム・オブ・スローンズ』(2012年~2016年)のマーガリー・タイレル役で知られ、『ハンガー・ゲーム』シリーズでも活躍。バークシャーの演劇シーンで育ち、舞台から映像へとキャリアを広げました。
- エマ・トンプソン:厳密にはロンドン生まれ(1959年4月15日)ですが、バークシャーで幼少期を過ごし、地元の文化に影響を受けました。『ハワード・エンド』(1992年)でアカデミー主演女優賞、『いつか晴れた日に』(1995年)で脚色賞を受賞。チャリティ活動にも積極的で、ルワンダの子供を養子に迎えるなど、社会貢献にも力を入れています。
- ハーマイオニー・コーフィールド:ロンドンに生まれ、バークシャーで幼少期を過ごしました。『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』や『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』などに出演し、アクションからドラマまで幅広い役柄で注目を集めます。
- エミリア・クラーク:ロンドン生まれのバークシャー育ち。HBOの『ゲーム・オブ・スローンズ』のデナーリス・ターガリエン役で世界的に有名。
- カミーラ・ラディントン:バークシャー州アスコット生まれ。。『グレイズ・アナトミー 恋の解剖学』のジョー・ウィルソン役や、ビデオゲーム『トゥームレイダー』のララ・クロフト役で知られます。
これらの女優は、バークシャーの豊かな文化や教育環境が育んだ才能として、国際的な舞台で活躍しています。特にレディングは、演劇や芸術のコミュニティが盛んで、若手俳優の育成に寄与しています。
まとめ
バークシャーは、ウィンザー城に象徴される王室の歴史と、豊かな自然や農業が共存する地域です。古代から現代まで、戦場や政治の中心として重要な役割を果たし、映画ではその美しい景観や歴史的背景が活かされています。また、ケイト・ウィンスレットやナタリー・ドーマーなどの女優を輩出し、芸術面でも注目される地域です。バークシャーの多様な魅力は、訪れる人々や作品を通じて世界に発信され続けています。
レビュー 作品の感想や女優への思い