メリーランド州はアメリカ合衆国東部に位置し、チェサピーク湾やボルチモアで知られる。面積は約32,133km²、人口約617万人。首都はアナポリスで、歴史と自然が魅力の州です。出身女優にアンナ・ファリス、ジョン・ウォーターズ、ステファニー・ショスタク、ジュリー・ボーウェンたち。
歴史
メリーランド州は、アメリカ合衆国の形成において重要な役割を果たした州の一つです。1632年、イングランド国王チャールズ1世がジョージ・カルバート(初代ボルチモア男爵)に土地を授与し、1634年にイギリス人入植者が到着して植民地が設立されました。州の名前は、チャールズ1世の王妃ヘンリエッタ・マリアにちなんで名付けられました。メリーランドは、宗教的寛容を掲げるカトリック信仰の擁護者として設立され、特にカトリック教徒にとって安全な避難所となることを目指しました。これは、当時のイングランドでカトリックが迫害されていた背景によるものです。
アメリカ独立戦争では、メリーランドは13植民地の一つとしてイギリスからの独立を支持しました。1781年に連合規約を批准し、1788年には新憲法を批准した7番目の州となりました。特に、1790年には新しい首都ワシントンD.C.建設のため、メリーランドが土地を提供したことは歴史的に重要です。この土地は、モンゴメリー郡とプリンスジョージズ郡から削り取られたものです。
南北戦争では、メリーランドは北軍側に留まりましたが、州内には奴隷制度支持者も多く、複雑な立場にありました。1863年の奴隷解放宣言は反乱州に適用されたためメリーランドは対象外でしたが、1864年に州独自の憲法改正で奴隷制度を廃止しました。この時期、ボルチモアは戦略的に重要な都市であり、ボルチモア・アンド・オハイオ鉄道やマクヘンリー砦は北軍の拠点として機能しました。特にマクヘンリー砦は、1814年の米英戦争中にフランシス・スコット・キーが「星条旗」を作詞した場所として知られています。
20世紀に入ると、メリーランドは工業化と都市化が進み、ボルチモアは軍需品生産の中心地となりました。第二次世界大戦中には、リバティ船や航空機製造が盛んで、経済的発展を支えました。現代では、バイオテクノロジーや政府機関(NASAやNSAの本部)など、先端産業が州経済の柱となっています。
芸術
メリーランド州は、豊かな芸術文化で知られています。特にボルチモアは、芸術の中心地として多様な美術館やギャラリーを擁しています。ボルチモア美術館(Baltimore Museum of Art)は、アメリカを代表する美術館の一つで、マティスやピカソの作品を含む19世紀から現代までのコレクションが特徴です。また、ウォルターズ美術館(Walters Art Museum)は、古代から19世紀までの幅広い美術品を展示し、特にヨーロッパやアジアの工芸品が評価されています。
音楽面では、ボルチモア交響楽団が国内外で高い評価を受けており、クラシック音楽の公演が定期的に行われています。また、州内ではジャズやブルースのライブハウスも多く、チェサピーク湾周辺の文化的多様性が音楽シーンに反映されています。メリーランド州の芸術は、歴史的な背景と現代的な創造性が融合した独自の魅力を持っています。
また、アナポリスのメリーランド州立劇場(Maryland Hall for the Creative Arts)は、地元アーティストの育成や公演の場として重要です。州全体では、アートフェスティバルやコミュニティ主導の文化イベントも盛んで、地域住民が芸術に親しむ機会が豊富に提供されています。
登場する映画
メリーランド州は、その独特の風景や歴史的背景から多くの映画の舞台やロケ地として選ばれています。以下は、メリーランド州が登場する代表的な映画のリストです。
- スノーデン(2016年):オリバー・ストーン監督による伝記映画で、NSAの内部告発者エドワード・スノーデンの実話を描いています。メリーランド州のNSA本部が舞台の一部となり、スノーデンが政府の監視プログラムを暴露する過程が緊迫感をもって描かれます。情報社会の倫理やプライバシーの問題を提起し、主人公の葛藤がリアルに表現されています。
- ボーン・レガシー(2012年):ボーン・シリーズのスピンオフで、メリーランド州の研究所や周辺地域が舞台の一部です。ジェレミー・レナーが演じる新たなエージェントが、CIAの陰謀に巻き込まれながら逃亡と戦いを繰り広げます。アクションとサスペンスが融合し、シリーズ特有の緊張感が魅力です。
- ザ・ベイ(2012年):バリー・レヴィンソン監督のホラー映画で、メリーランド州チェサピーク湾を舞台にしたフェイクドキュメンタリーです。寄生虫による環境汚染が引き起こす恐怖が描かれ、地域の自然と人間の関係を風刺的に表現。臨場感ある映像が観客を引き込みます。
- ステップ・アップ2:ザ・ストリート(2008年):ボルチモアのストリートダンスシーンを背景に、若者たちの情熱と成長を描いたダンス映画です。メリーランド芸術学校が舞台となり、主人公たちがダンスバトルを通じて絆を深めます。エネルギッシュなダンスと青春のドラマが魅力の作品です。
- アナザー・ハッピー・デイ ふぞろいな家族たち(2007年):メリーランド州を舞台に、家族の再会を描いたドラマ。主人公リンとその家族が、結婚式のために集まり、複雑な人間関係や過去の確執が浮き彫りになります。エレン・バーキンの演技が光り、家族の絆と葛藤を丁寧に描いた感動作です。
- ダイ・ハード4.0(2007年):ブルース・ウィリス主演のアクション映画で、メリーランド州のNSA施設が舞台の一部。サイバーテロと戦うジョン・マクレーンの活躍を描きます。シリーズ特有のスリリングな展開と、現代のテクノロジー犯罪への言及が特徴です。
- ステップ・アップ(2006年):メリーランド州ボルチモアの芸術学校を舞台にした青春ダンス映画。ストリートダンサーのタイラーとバレリーナのノーラが、ダンスを通じて夢と愛を追い求めます。情熱的なダンスシーンと成長物語が見どころの感動的な作品です。
- アナポリス 青春の誓い(2006年):メリーランド州アナポリスの海軍士官学校を舞台にした青春ドラマ。ジェームズ・フランコ演じる主人公が、厳しい訓練を通じて自己成長を目指します。友情や努力、夢への挑戦を描いた感動的な物語が魅力です。
- ウェディング・クラッシャーズ(2005年):メリーランド州の豪華な邸宅や海岸沿いを舞台にしたコメディ映画。オーウェン・ウィルソンとヴィンス・ヴォーンが、結婚式に潜り込む男たちを演じます。ユーモアとロマンスが絶妙に絡み合い、軽快な展開が楽しめます。
- 旅するジーンズと16歳の夏(2005年):メリーランド州ベセスダを舞台に、4人の少女が魔法のジーンズを通じて友情と成長を描く青春映画。それぞれの夏の冒険が交錯し、家族や恋愛の悩みが描かれます。心温まるストーリーと若者の葛藤が魅力です。
- セイブド!(2004年):メリーランド州のキリスト教高校を舞台にしたブラックコメディ。妊娠した少女が信仰と現実の間で葛藤する姿を描きます。宗教や社会規範への風刺が効いた作品で、若者のアイデンティティ探求がテーマです。
- ドメスティック・フィアー(2001年):メリーランド州ボルチモアを舞台にしたサスペンス映画。ジョン・トラボルタ演じる刑事が、誘拐事件に巻き込まれます。家庭内の緊張と犯罪のスリルが交錯し、予測不能な展開が観客を引きつけます。
- 続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画(2000年):メリーランド州を含むアメリカ各地を舞台にしたコメディ。サシャ・バロン・コーエンが演じるボラットが、社会風刺を交えた過激なユーモアで観客を驚かせます。文化の違いや偏見を浮き彫りにする作品です。
- ブレアウィッチ2(2000年):メリーランド州バーキッツビルの森を舞台にしたホラー映画。『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の続編で、伝説の魔女を追う若者たちの恐怖を描きます。前作のフェイクドキュメンタリー形式を継承しつつ、新たな展開が特徴です。
- トラフィック(2000年):メリーランド州を含むアメリカ各地を舞台にした犯罪ドラマ。麻薬取引とその影響を多角的に描き、メリーランドの都市部が一部登場します。複数のストーリーが交錯し、社会問題への深い洞察が込められた作品です。
- ブレア・ウィッチ・プロジェクト(1999年):メリーランド州バーキッツビルの森で撮影されたフェイクドキュメンタリー形式のホラー映画。魔女伝説を追う若者たちの恐怖体験がリアルに描かれ、低予算ながら世界的な現象となりました。臨場感が最大の魅力です。
- プリティ・ブライド(1999年):メリーランド州の小さな町を舞台にしたロマンティックコメディ。ジュリア・ロバーツ演じる結婚を繰り返す女性と、リチャード・ギア演じる記者の恋物語が描かれます。田舎町の魅力と軽快な恋愛模様が楽しめます。
- エネミー・オブ・アメリカ(1998年):メリーランド州ボルチモアを舞台にしたサスペンス映画。ウィル・スミス演じる弁護士が、政府の陰謀に巻き込まれます。監視社会への警鐘を鳴らし、息をのむアクションと緊迫感あるストーリーが特徴です。
- ザ・ターゲット(1997年):メリーランド州を舞台にしたアクションスリラー。シルヴェスター・スタローンが演じる元軍人が、陰謀に巻き込まれながら戦います。地域の風景を背景に、緊張感ある追跡劇とアクションが展開します。
- トゥルーライズ(1994年):ジェームズ・キャメロン監督のアクション映画で、メリーランド州のシーンが登場。アーノルド・シュワルツェネッガー演じるスパイが、家族と任務の間で葛藤します。派手なアクションとユーモアが融合した作品です。
- イレイザー(1996年):アーノルド・シュワルツェネッガー主演のアクション映画で、メリーランド州ボルチモアが舞台の一部。証人保護プログラムのエージェントが、巨大な陰謀に立ち向かいます。スリリングな展開と派手なアクションが見どころです。
- RED/レッド(1994年):メリーランド州を舞台にしたアクションコメディ。ブルース・ウィリスら引退したCIAエージェントが再び活躍する物語です。地域の都市や郊外が背景に登場し、軽快なユーモアとアクションが楽しめます。
- エクスプロラーズ(1985年):メリーランド州を舞台にしたSF冒険映画。イーサン・ホークら若者が宇宙船を作り、宇宙へ旅立つ物語です。夢と友情をテーマに、80年代のノスタルジーと冒険心が詰まった心温まる作品です。
これらの映画は、メリーランドの多様な景観や文化を背景に、独自の物語を展開しています。特にボルチモアは、ジョン・ウォーターズ監督の作品で頻繁に取り上げられ、州の個性が強く反映されています。
出身女優
メリーランド州出身の女優は、ハリウッドや世界の映画シーンで活躍する才能ある人物を数多く輩出しています。以下は、代表的な出身女優のリストです。
- アンナ・ファリス:1976年11月29日、ボルチモア生まれ。「怖い映画」シリーズや「ハウス・バニー」でコミカルな役柄を演じ、独特のユーモアセンスで人気を博しました。
- ステファニー・ショスタク(Stephanie Szostak):1975年6月12日、メリーランド州で育ち、「アイアンマン3」や「ザ・デビル・ウェアズ・プラダ」に出演。フランス系アメリカ人としての個性的な魅力が特徴です。
- ジュリー・ボーウェン(Julie Bowen):1970年3月3日、ボルチモア生まれ。テレビドラマ「モダン・ファミリー」で知られ、エミー賞を受賞したコメディ女優です。彼女の自然体な演技は多くの視聴者を魅了しています。
- パーカー・ポージー(Parker Posey):1968年11月8日、ボルチモア生まれ。「デイズド・アンド・コンフューズド」や「スクリーム3」など、インディペンデント映画からメジャー作品まで幅広く活躍する女優です。
これらの女優は、メリーランド州の多様な文化的背景を反映し、独自のキャリアを築いています。特にボルチモア出身の女優たちは、地元の芸術シーンやコミュニティの影響を受け、個性的な演技スタイルを確立しています。
まとめ
メリーランド州は、歴史的背景と自然の美しさ、そして豊かな芸術文化を持つ州です。独立戦争や南北戦争での役割、チェサピーク湾の景観、ボルチモアの芸術シーン、そして映画や女優の活躍は、メリーランドの多面性を示しています。これらの要素が融合し、メリーランド州はアメリカの歴史と文化の縮図ともいえる存在です。今後もその魅力が多くの人々を引きつけることでしょう。
レビュー 作品の感想や女優への思い